フランスのジャム本を開くと、ときどき見かける「Calendrifutures」なる用語。「Calendrie(カレンダー)」と「Confiture(コンフィチュール)」を合体させた造語です。日本語に訳したらさしずめ「ジャム暦」といったところでしょうか。
フランスに暮らし始めた頃、この「ジャム暦」を追うがごとく(「追われる」のがふさわしい?)ジャム作りに熱中していました。フランスの旬の果物の自然なおいしさに魅了され、キロ単位でドンと買えるリーズナブルさが後押しした結果です。
以来、たくさんのジャム本を読み漁りました。いろんな果物、いろんなルセット(レシピ)をトライしました。自画自賛したくなるようなでき栄えのときもあれば、大失敗して凹んだことも多々あります。巨大な銅製のコンフィチュール鍋、保存瓶や保存にともなう小道具いろいろ……ジャム関連のグッズは何でも揃えました(形から入るのが好きなので)!

ジャムの瓶詰め・保存方法もいろいろありますが、私は、「煮沸消毒した瓶に熱々の出きたてジャムを口いっぱいまで注ぎ、瓶をひっくり返した状態で冷ます」式。これ、実は、スーパーの保存グッズ売り場で、見知らぬマダム(おそろしい量のジャム瓶をカゴに入れていた)から伝授された方法! 「毎年数10キロのジャムを作ってる私の結論よ。これが道具もお金もかからず、イチバン楽よ!」だそうです。

バニラの香りつき、杏仁の香りつき、シロップの中で煮る方法、マリネしてから煮る方法、実を残す方法、マーマレード方式……etc.アンズジャムとひと口にいっても、試行錯誤したルセットは数知れず! 3年ほど前から気に入ってるのは、このマリネ式。お砂糖をまぶしてひと晩(場合によっては数晩も)マリネしてから煮あげます。
家族や友人が泊まる際は、「ここぞ!」とばかりに朝食にジャムを出しました。自家製のジャムが何種類も出てくるので、皆が驚いてました。賞賛のことば以上に、たくさん消費してもらえることが嬉しかった。ジャムのストックが溜まりすぎて、あきらかに消費量が生産量に追いつかない状況だったのです。
そんなマイジャムブームもいつしか下火になり、私のジャム作りは自然淘汰される結果に。今は本当に自分が好きな果物、リピートしたいルセットのみです。朝食のおともという用途以上に、お菓子やデザートに使いまわせるか? これが絞り込みの条件になった気がします。

アンズジャムをつくる目的のひとつはコレ。自分のために作りたいお菓子ベスト3に入るもの、ウィーン風のアンズジャムサンドクッキーです。クラッシックなおいしさ、一生作り続けたいお菓子です。
「アンズジャム」はこれからも毎年作っていきたい、大好きなジャム。クッキーやビスキュイ(ビスケット)にはさんだり、ロールケーキに塗ったり、タルトのツヤ出しに使ったり。お菓子づくりのマストアイテムでもあるし、作りすぎってことはありません。私の母がとてもアンズジャム好きな人で、昔から食べなれているせいかも。とにかくこれがないとちょっと落ち着かないのです。
お鍋も必要なものだけが残りました。銅製のコンフィチュール鍋は、結局自分には必要ないワ、と判断。「売るのが趣味」な友人に託して、蚤の市で売却しました。「絶対に売れるから」と太鼓判を押してくれた通り、出した途端に即効で売れたそう。しかも買った金額とほぼ同額で! やはりフランス、ジャム狂の人が多いのです。