うむむ、そうなるのか……。と唸ったのは、こちらロンドンのある公立小学校の3年生のクラスでのこと。「インターナショナル・デイ」という企画のお手伝いで、日本をテーマに選んだクラスを訪問したのです。
『となりのトトロ』を見ながら焼きそばを作って食べたり、「はじめまして」といった挨拶の言葉を覚えたり……と納得のいくメニューの中に、日本のMANGAを描いてみよう!というものがありました。
そのときに先生が配布した参考資料の内容は、顔の描き方(十字を最初に描いてから目や鼻の位置決めをするアレ)、マンガ的髪型のパターン(鬼太郎やスーパーサイヤ人もあった)、ギャグ表現のデフォルメの仕方など。「聞き耳を立てていることがわかるように耳を巨大にして描くのです」と画像の意味が説明されているのを見ると、美術史の時間にイコノグラフィーのテキストを見ているような気分で、なんだかムズ痒い。

「耳は体のパーツの中でも動かないもののひとつです。マンガでコミカルな表現をする際も、耳はあまり動きません。でも、耳の使用を示唆するために耳の大きさがデフォルメされることはあります」という丁寧な説明のついた解説。このほかに「髪型や髪の色を変えることによって、キャラクターの性格や特徴を表現することができます。『ゲゲゲの鬼太郎』や『ドラゴンボール』などを参考にしてみましょう」というコーナーも。
日本で育ったマンガ世代なら、こういったマンガ表現の約束事は説明されなくても自然に身につけているけれど、MANGAを発見してまだ日の浅い世界の人たちからすると、こうやって大急ぎで学ばないと、というところのようです。
たしかに、落ち込んでいるときの額の縦線とか、怒ったときのこめかみの十字路のようなマークとか、突然見てもわからないですよね。そういえば、以前こっちの人に、冷や汗をかいた顔を描いて見せたら「どうして泣いているの?」と言われたこともあったっけ。マンガならではの表現だったんですね。うーん、面白い!

各クラスでワークショップをしたのちに、全校生徒が集まって、それぞれがテーマに選んだ国について発表しました。そのとき先生が「よくできましたね。今の時代、地球を共有しているいろいろな国について知ることはとても大切です」とおっしゃったのが印象に残りました。あとは生徒ひとりひとりから小額を集め、途上国に寄付をするということもしていました。