今、私の目の前に分厚い本があります。これはちょっと特別な本です。

『もうひとつのノーベル平和賞 平和を紡ぐ1000人の女性たち』(金曜日) 日本でも1000人以上の女性たちが1人ずつの翻訳を無報酬で担当することで和訳が完成。平和のために地道に活動している女性に光をあてようと女性たちが動き、結果的にはこれもひとつの平和運動になりました。
本の名前は『もうひとつのノーベル平和賞 平和を紡ぐ1000人の女性たち』(金曜日)。2003年、スイスの女性たちが発起人となり、2005年のノーベル平和賞に1000人の女性をノミネートしようという活動がスタート。世界中の女性のネットワークを通じて、平和のために活動している1000人の女性が選ばれました。この本は、そのひとりひとりの活動やライフストーリーをまとめたものです。
日本語版は、英語の原文を日本語を使う1000人の女性が翻訳。翻訳チェックや監修者などを合わせると千数百人が関わる大プロジェクトになり、3年がかりで去年12月に出版されました。私も、翻訳チェック者として参加させてもらいました。
1000人の女性たちの多くは、国際的にはそれほど知られた存在ではありません。でも、それぞれの国や地域で差別・貧困・暴力・抑圧・戦争などの問題に立ち向かい、平和のために長期間闘って成果を上げてきた女性たちです。ページを繰るほどに、それぞれの人たちの思いや、彼女たちと一緒に努力をしている人たちの思いが伝わって来て、頭が下がると同時に、「私も頑張ろう♪」と思うことができます。

ロシアによるチェチェン弾圧、またチェチェンの中の権力の腐敗などを精力的に取材、チェチェン人の声を世界に代弁していたアンナ・ポリトコフスカヤさんも1000人の中に含まれていました。私も彼女に注目していたので、暗殺のニュースには背筋が凍りつきました。
今の日本で「平和のために闘う」なんて言うと、なんか他人事というか、あんまりピンと来ないかもしれません。でも、私たちが誰かに日常的に殴られたり、強制的に働かされたり、誰かに性的関係を迫られたりしないでいられるのは、そして学校に通えたり、選挙に行けたり、同期の男性社員と同じお給料をもらえているのは、私たちより前の世代の人々、とくに女性たちがそれらの権利を勝ち取ってきてくれたからです。この本の1000人の中にも、何人か日本人女性がいます。
そしてこれらの権利は、きちんと気をつけて守っていないと、わりとすぐまた奪われてしまうものです。何かを変えたいとき、守りたいとき、「私ひとりがやったってきっと変わらない……」と無力感にさいなまれたら、この本がきっと役にたちます。ぜひいちど手に取ってみてください。
この本は、「アンナ・ポリトコフスカヤに捧げる」となっています。彼女は、チェチェンの人々の人権を守ろうと精力的に働いていたジャーナリストで、2006年にモスクワの自宅マンションのそばで暗殺されたニュースを覚えている人は多いと思います。彼女も、1000人の中のひとりでした。こうやって暴力や権力は今もじわじわと私たちを追い込もうとしています。
とはいえ、じつはこの本、定価が8000円します(税込8400円)。ちょっと高いですよね……なので、ぜひ近くの図書館をチェックしてみてください。蔵書がなければ、購入の依頼を出しましょう。それがこのプロジェクトのサポートにもつながります。
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