更新日:2008年8月15日



環境問題、ここがわかればスッキリするかも

カテゴリ:地球温暖化  2008年6月13日

  温暖化などをはじめ、今私たちが直面している環境問題。いろいろ怖いことは聞かされるけど、まだなんとなく問題が漠然としていてスッキリしない、そう思っている方は多いと思います。

  私は、そんなときに役に立つのは、地球の基礎をざっくりとでも理解することだと思います。そこで、これまでに丸い地球の上にのっかっている自分を想像してみて(2007年7月12日)地球の大きさを実感でつかみ、地球がまとっている空気の厚さを把握して(2007年12月13日)といった原稿を書いてきました。丸い地球がそんなには大きくないこと、さらに大気圏がたよりないほどに薄っぺらいことをなんとなくイメージしていただけたでしょうか。

  今回はその続き、「地球は、宇宙に浮かぶ閉じたカプセル」です。


化石燃料が埋蔵されている場所、海洋汚染、燃料消費などさまざまな着眼点で地球儀をグラフィカルに表現するというアートの試み。地球をこうやって客観的に見てみると、環境や貧困などの問題がよくわかる。photo / Worldprocessor(九州大学 Kodomo project)

■山も海も私たちの体も、すべての物質は地球の一部でできている

  地球は、宇宙に浮かぶ丸いかたまりです。酸素、炭素、水素、カルシウム、ナトリウム、鉄、金などさまざまな元素のかたまりです。山も川も海も空気も、私たち人間の体も、すべての物質はこれらの原子の組み合わせでできています。COOL! Peopleで福岡伸一さんも話してくださいましたが、私たちが食事をしてエネルギーを取り込んだり、死んでいずれ体がなくなるということも、地球という固まりの中で原子が循環しているひとつの現象にすぎません。

  そして、地球は真空の宇宙に浮かんでいるので、基本的には物質(原子)の出入りのない透明カプセルのようなものです。出入りがあるのは太陽から光や熱として届くエネルギーや、つめたい宇宙に自然放熱するエネルギーだけ。そんな環境で、植物は太陽のエネルギーを取り込んで二酸化炭素と水から体と酸素を作り(光合成)、動物は植物を食べて食物連鎖を構成しつつ最後はまた炭素や水素に戻り……という営みを何億年も繰り返してきました。石油(原油)や石炭は、大昔の動植物の体が完全には分解されずに地中に溜まったものです。

  これらの化石燃料を燃やして手に入るエネルギーを使うと生活が格段に便利になることを発見した人間は、とくにこの100年、猛烈な勢いでそれらを掘り出して使い、繁栄をきわめてきました。でも後先を考えず使いたいだけ使ってきたので、今、残り少なくなった資源を巡って争いが起きています(紛争や、今の原油高騰)。

■空気中に増えた二酸化炭素は、植物しか吸収できない

  それ以上に問題なのが、化石燃料を燃やしてエネルギー(熱や電気)を取り出した後に残る、二酸化炭素です。空気中の二酸化炭素を減らすことは、光合成をする植物にしかできません。ところが、人間は森も減らしてしまったので、地球カプセルの中で、地中の化石燃料が減る代わりに、空気中の二酸化炭素が急に溜まってきていきます。二酸化炭素は熱を反射する性質が強いので、地球をふとんで包むような働きをし、地球がどんどん温かくなってきている……というのが地球温暖化です。

  地球が閉じたカプセルだとわかると、鉄やアルミ、プラスティックといった物質をリサイクルすることの意味もよくわかるようになります。鉄やアルミは、岩石として地球の中に存在しています。プラスティックは原油です。これを、私たちが飲料缶や食品パッケージ、レジ袋などとして使い捨てにしていくと、地中の資源はいつかなくなり、埋め立て地にグチャグチャに混ざったゴミとして移動する。これはもう回収できません。いらなくなったものをグチャグチャに捨てずに分別して再び資源にすることの意義は、地球が閉じたスペースだからあるのです。

  あとたった40年ちょっとの2050年には、世界の人口は90億人になると予測されています(現在65億人)。化石燃料は残り少ないし、値段もさらに高騰するでしょう。ウランという燃料を使う原子力発電が推進されていますが、ウランもあと数十年分しかないと言われています(※)。ウランも高騰するでしょう。

■自然エネルギーの推進に全力で進むべき

  じゃあどうしたらいいの? というときに、自然エネルギーなのです。限りある化石燃料やウランと違い、降り注ぐ太陽のエネルギーは無限です。風も太陽の力で起きています。これらの自然エネルギーは地球上のどこにいてもたっぷり手に入るので、資源の奪い合い戦争も起きません。


北海道苫前町の苫前グリーンヒルウィンドファーム。日本海に臨む牧場の中に設置されていて、食糧と自然エネルギーが同時に生産されている。photo / 全国地球温暖化防止活動推進センター, (財)北海道環境財団


  でもまだ完成してない技術なんでしょ? と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。発電効率はこれからどんどん上がって行くでしょうけれど、基本的にはもう確立した技術と思っていいレベルです。さらにこれから一気に投資をして開発していくことで、今化石燃料の数倍と言われているコストにも競争力がついてくるはず。化石燃料やウランが高騰を続ければ、自然エネルギーのほうが安いという時代は意外にすぐにやってきそうです。

  地球の話から、温暖化、資源ゴミ、そしてエネルギー問題の話になってしまいましたが、なんとなく大きな風景が見えたと思っていただけたら幸いです。地球は閉じたカプセル。その中で人間が物質の形を変えたとき、ある物質が溜まって自然のバランスを崩してしまうようならそれが問題(地球の変化)につながる。この基本を理解すると、今呼びかけられているさまざまな「環境のためにすべきこと」の意味がわかりやすくなると思います。


※使用済みのウランを再処理して何度も燃やして使うと謳うプルサーマルなど試みが進んでいますが、これこそまだ実験段階の技術で、ふげんなどの事故が続いていることは覚えている方も多いはず。また、使用済み燃料を再処理する過程で放射性物質が空気や海に常に排出されることから、放射能汚染も心配されています。放射性物資は拡散するから安全と政府も言っていますが、一部の放射性物質は海藻など動植物の中に溜まる性質があるため、今後食物から人間が被爆する可能性も言われています。
詳しくは↓
エネルギー・[r]eボリューション(グリーンピース・ジャパン)
加藤登紀子さんも核燃料の再処理には反対と



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「丸い地球の上にのっかっている自分」、とてもよくわかります。
その感覚をきちんと言葉で説明してくださってありがとうございます。
イングランドでは日本以上に冬と夏の一日の長さが違うので、余計に平面の世界地図ではなく地球、という球体のものを意識してしまいます。
閉じたカプセル、というのはイメージしやすいですね。

投稿者 クバニータ : 2008年06月13日 04:22




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青木陽子
Cafeglobe
ファウンダー・取締役
女性誌編集者時代、自分を含めまわりの女性たちが本当に読みたい媒体がないことに気づき、1999年に現社長の矢野とともにCafeglobeを立ち上げ、6年間編集長をつとめる。現在、パートナーの暮らすロンドンと東京の二重生活を実践中。
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illustration / Nakagawa Isami

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