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| 地球温暖化がついに世界のメインステージに! |
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「今すぐに地球温暖化の進行を食い止める努力を始めなければ、世界経済は壊滅的な打撃を受ける」という趣旨の『スターン報告書』、少しまとまった時間が取れたので一気に読みました。そして……興奮と緊張と不安と期待で鳥肌が立ちました。ああ、やっとここまで来た!という思いでの鳥肌です。
これについては、ネットでさっと検索する限り、まだあまり日本語では詳しい評価や解説がなされていないので、できればcafeglobeでできないかしらと思ったりしています。が、とりいそぎここに感想を先に。

エコノミストの目から経済を説くこの報告書の肝は、「世界がこのまま温暖化に手を打たなければ、経済的な損失は840兆円に達するだろう。一方今から毎年世界中で合計4兆円を使って対策をすれば、この打撃は回避できる」というところ。4兆円は、世界のGDPのおよそ1%。早急に二酸化炭素の排出削減をしなければ、東京やロンドン、ニューヨークなどの大都市も水没確実と言われている。
この報告書は、10月30日に英政府が発表したもので、まとめたのは元・世銀チーフエコノミストのニコラス・スターン卿。イギリスのブレア首相と次期首相と目されているブラウン財務相が並んで発表をしていました。
本体は700ページに及ぶ報告書だそうですが、英語版の要約(27ページ)と、日本語のさらなる要約(4ページ)PDFが以下の英財務省サイトからダウンロードできます。
●STERN REVIEW: The Economics of Climate Change(英語)
http://www.hm-treasury.gov.uk/media/8AC/
F7/Executive_Summary.pdf
●スターン報告書-気候変動の経済影響:結論のまとめ(日本語)
http://www.hm-treasury.gov.uk/media/BCC/D8/
stern_shortsummary_japanese.pdf
内容を超かいつまんでご紹介するならば……
(1)いかに地球温暖化が待ったなしの崖っぷちまで来ているかということを、これまでの科学的な調査報告(IPCCなど)を引きつつ改めて警告。とくに二酸化炭素をこれ以上大気中に増やすべきではない、と危機を強調。
(2)地球温暖化が引き起こす洪水や旱魃などの自然災害、食糧不足、海面上昇などによる億単位の難民発生とそれらによる世界の不安定化の指摘。これらがあと数十年で起きる可能性が高いこと。
(3)それらによる経済的な損失は、20世紀の大恐慌や2回の世界大戦並みかそれ以上のダメージであると試算。世界中の人々の暮らしの質が低下すると警告。
(4)世界経済の破綻を避けられるかどうかは、今後5~10年で世界がどれだけ二酸化炭素を出さない経済に変身し始められるかにかかっている。まずは炭素税や政策を駆使して、脱炭素社会の実現をすぐに始めるべし。そのコストは、このまま行くと人類が被る経済損失よりずっとずっと小さいのだから、始めない理由はない。さぁ早く!
……といったところです。
内容自体は特別新しい発見や理論が入っているわけではないのですが、この報告書がすごいのは、世界のトップエコノミストによってまとめられ、G8のひとつイギリス政府の肝入りで発表されたということです。ついに政治経済の頂点に環境問題が登りつめた!のです。感無量。遅かりし由良の助、でないといいのですが。
イギリス政府は、どうやらかなり本気です。事の深刻性をわかっていることもさることながら、なんとか政権を維持したい、おそらくブラウン率いることになるであろう労働党が命運をこのトピックに掛けようということなのかもしれません。来年のドイツG8の主題のひとつに脱炭素合意を押し込むと鼻息も荒くメルケルさんにかけあっているようです。だいたい、上のような日本語のPDFを財務省自ら用意するなんて、アピールに本腰入ってます。さっそく今日までナイロビで開かれていた国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP12)にもこのレポートを持ち込んで、話題を集めているようです。
前々回のこのコラムで図らずも書きましたが、世界に対してアピール上手なイギリス(●バックナンバー参照>)です。さっそく『不都合な真実』のアル・ゴア氏(●バックナンバー参照>)を政府の顧問に迎えたいというような話もあるようです。
はい、お約束、今回も振り返ってわれらがニッポン。省エネ技術では世界一とも言われる日本、この動きにどう組んでいくのか、日本政府を世論で押し上げるのは私たち日本人の仕事です。ぜひ注目してください。
●こちらもご覧ください(cafeglobe.com関連記事)>
『あらためて、環境問題について、かなりマジメに』(2004年12月15日)
●こちらもご覧ください(cafeglobe.com関連記事)>
『地球温暖化、今動き出せばまだ間に合う!』(2005年1月12日~4回連載)
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| 英米のエンタメ界を席巻している映画 |
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マジメなトピックについて書いたばかりですが、先々週イギリスで、先週アメリカで封切られた映画『Cultural Learnings of America for Make Benefit Glorious Nation of Kazakhstan(ボラット、栄光のカザフスタンのためにアメリカ文化を学ぶ)』が英・米・カザフスタンの3ヵ国で話題沸騰のようなので、ちょっとご紹介します。
サーシャ・バロン・コーエンというイギリスの人気コメディアン扮する、カザフスタン人記者ボラットがアメリカを訪れて文化についてレポートする珍道中……という設定なのだけれど、一部紹介されている動画などを見る限り、このボラットがもう強烈にヤバい。人種差別主義者で性差別主義者で反ユダヤで、絵に描いたようにポリティカリー・インコレクト(反倫理的)。そして趣味もめちゃくちゃ悪い……。

「ボラット氏」はちゃんと自分のサイトも持っている。動画もあり。カザフスタンの人々に失礼なのを承知で言えば、たしかに、中央アジアあたりってこういうサイトがありそう……と思わせてしまうところが、そしてまた自分のそういう偏見に気づかされてしまうところが、本当になんというか、痛いというか痒いというか、くーっ、たまらないのです。●Official Borat Homesite >
「えっ、あなたの国では女性は奴隷ではないのですか」とか、「私たちの国では犬を撃つのが国民的趣味」「私の11歳の息子に最近生まれた子どもは、マドンナっていう女装の歌手に売ろうと思っている」「私の故郷では障害者をいじめて遊ぶのが普通」とか、たどたどしい英語でしゃぁしゃぁとまくしたてる。エッジーな笑いが好きな人には大ウケのようで、CNNの記者は「笑いすぎて健康を害する人もいるかも。注意マークをつけたほうがいい」とまで賞賛。CNNやCBSのニュースやトークショーにもボラットとして登場してここでも差別ネタのオンパレードをしてます。
このバロン・コーエン、出世作はテレビシリーズの『Ali G(アリ G)』。これまた倫理的に大問題で、ロンドン郊外の低所得者エリアに住むちょっと頭の弱いラッパー「アリ G」が、政治家や宗教指導者、CIA長官などをたずねて(相手には若者向けの番組の収録と嘘をついている)、「とか言っちゃって、マリアとヨゼフはヤッちゃってたんでしょ」「袖の下もらってるくせにィ」的なことを面と向かって聞いて相手の狼狽振りを楽しむという仕立て。くだらない質問の間に、ときどき誰もが聞きたいけれど聞けないようなことをアホの振りで聞くから痛快だったりするのです。微妙なユダヤ人ネタも、彼自身がユダヤ人で、ケンブリッジ大でユダヤ人の人権と歴史について勉強したという背景があってかろうじてクリア。
ところで、いきなり笑いのネタとして世界のコメディ舞台に引っ張り出されたカザフスタン(バロン・コーエンとカザフスタンは何の関係もない)は、動揺してはじめは批判声明を出していたけれど、最近「“ボラット氏”をわが国に招待したい。わが国に差別がないことを見てほしい」と正式に招聘。観光客が増えるのではないかと好意的な意見も出ているようだけれど、いまのところこの映画の国内上映は禁止とか。

映画のオフィシャルサイト入り口。これも入るとカザフスタン政府のサイトのような作り。ボラット氏のサイトのほうだったか、怒ったカザフスタン政府は「.kz」ドメインをバロン・コーエンに使用しないように申し入れるという顛末もあったとか。●Cultural Learnings of America for Make Benefit Glorious Nation of Kazakhstan >
日本で公開の予定があるのかまだわかりませんが、機会があったらぜひお試しください。腹が立っても私は責任とりませんが。YouTubeで「Borat」と検索すると大量に出てきます。
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| BBCに見るイギリスの「国策」? |
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『デンキ画報』のページでも少し書きましたが、最近、YouTubeとかPodcastの利用頻度が高まってきて、すっかり地上波テレビを観ない生活になってきています。タレントの名前がわからなくなってきたので仕事柄ヤバイと意識して地上波をつけても、今度は出演者たちの叫んだり手を叩いたりのオーバーアクションやチカチカするテロップに圧倒されてしまう。それでも我慢して観てみると、いかにも盛り上がっているけれど、ひどく薄い内容のネタをワーワー大声出して時間が来るまで引き伸ばしているような番組も多いし。消耗。
テレビって昔からこんなに内容が薄かったっけ? 昔のことはよく覚えていないけれど、ひとつ言えるのはネットで得られる情報の深さ・密度の濃さに慣れてしまったことも理由なんじゃないかと思ったりしてます。あと最近ではNHKのニュースが、センセーショナルなテロップを使ったり、「信じられない事件」などのように主観的な言葉をつけて煽るような表現をし始めたのも気になっています。信じられないかどうかは視聴者が決めるべきでしょ。
NHKといえば、視聴料をほぼ強制的に徴収するという点で似ている英国のBBCはよく利用しています。テレビ(日本ではBBC World)もラジオもWebも。テレビにも唸らされる番組が多いんですが(とくに風刺系コメディ!)、圧巻なのが十数局あるラジオとWebです。ニュースサイトはおそらく世界一、二を争う充実ぶり、今年になってからはテレビやラジオの番組も次々にPodcast化してきて、ものすごい予算とエネルギーのかけようです。
●BBCのニュースサイト>
それでイソイソと私もニュースを得たり、痛烈な皮肉コメディに喜んだりしているわけですが、少し引いて眺めると、これはイギリスという国の生き延び戦略そのものなんだなぁと気づかされます。
大英帝国時代に世界中から搾取してきた資産もあらかた使い果たし、北海油田ももうカラッポ。産業革命で丸裸になった北の自然は生産力が低いし、人口だって日本の半分。軍事費こそ世界5位あたりをウロついているけれど(ちなみに1位はアメリカで日本は2~3位)、本来たいしたことない国だと思うのです。それでもイギリスと言えば世界の舞台でも文化としてもとっても存在感がある。
もちろん外交では安保理の常任理事国であることも大きいでしょう。でも、それ以上に大きな要素だと私が思うのが、情報戦の成果です。そのひとつの表れがBBCなのではないかと。
まず、BBCに限らずイギリスのメディアは世界のニュースがやたら多い。パレスチナ(これは負い目を感じてるからもあるでしょうけど)問題からミャンマーやラオスでの民族浄化まで、日々お茶の間に届きます。BBCの海外特派員数は世界一で、毎日着々と世界の津々浦々からのレポートが公開されています。日本についても、高齢化の度合いや若者の気分、女性の地位などがけっこうな頻度で報告されているのを見かけます。
どうも、「とにかく世界の事情に通じていなければ」という姿勢が国としてあるようなのです。一度世界を制覇した国なだけに、地球の端々の情報を常に把握しておくことのメリットを知っているんじゃないか。何かあれば仲裁に入ったり、早めに批判声明を出したりすることで、小さい国でも一目置かれる存在で居続けられる。ビジネスチャンスも見つけられるだろうし、リスクもよく見える。
そして、英語の強みを生かして、世界に向かっても大量の情報を惜しみなく提供することで、自分たちの視線を世界に広める。自分たちの価値観もどんどん輸出してしまう。私なんぞも、彼らの思う壺にハマっているという見方もできるかもしれないわけです。
翻ってわれらが日本。他の国がうまくやってるのを見れば、愛国心がやっぱり鎌首をもたげてきますね(愛国心はほっといても育つものだと確信する理由です)。大メディアでの海外ニュースの圧倒的な存在感の軽さ、ただでさえ挙動不審と誤解されがちな文化習慣や価値観を伝える努力の小ささ。損してます、絶対。世界はますます小さくなってきて、浜さんの連載でも再三お伝えしているようにグローバル化の苛烈な競争時代に突入しているこのご時勢。日本あっての世界ではなくて、世界あっての日本。自分探しはそろそろやめて、自分マーケティングを。どれだけ「美しい国」かを外向きに説明しなければと焦っています。
●浜矩子のわかりやすいお金の正体の話>
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