更新日:2008年5月09日



ニョロニョロの次は、ヌルヌルとの仁義なき戦い

カテゴリ:ロンドン  2006年5月11日

   とっぷりと日も暮れた夜の10時頃。キャンプ用の懐中電灯と割り箸、塩水を入れた瓶を手に、私はひとり庭に出る。夜露に塗れた芝生を踏んで、目指すはハーブや野菜の苗を並べた一角である。

   あーやっぱり今日もいる……。懐中電灯の明かりの中に、白っぽいの、黒っぽいの、大きいの、小さいの。キラキラと銀色の足跡も鮮やかに、ナメクジたちが芽を出したばかりの私の苗を狙って集まってくるのだ。おのれ我が子の敵……とばかり、敵意を込めて、見つける端からつまんでは塩水に落としていく。

   塩水に落とされたナメクジは「ギャー!」とばかりに身をくねらせて、そのうち静かになる。とっても気の毒なんだけれど、心を鬼にしてナメクジ狩りを続ける。彼らの数の多さ・旺盛な食欲はすさまじく、ほっておけば、せっかく育てた苗も数夜で全滅確実なのだ。


9割くらいの芽が食べつくされてしまったのは、中央の2列に蒔いた、垂れ下がるタイプのミニトマト。ナメクジは気に入った味を見つけると、何度でも戻ってきてその草だけを食べる。あのネットリとした足跡には自分の匂いがついていて、ちゃんと昨晩いた場所に戻ってこられるようになっているというからオドロキ。


大切な青しそもすでに半分くらい消えてしまった。ちなみに、青しその双葉はスイートバジルの双葉に瓜二つ。やっぱり近縁なんだなぁ。

   ロンドンは東京より寒いからナメクジは少なかろうと思っていたけれど、大間違いだった。この国のじめじめとした気候は彼らには天国なのだとか。日本より種類も多くて、以前は10cm近いのを捉まえたこともある。虫には強いつもりの私も恐怖で正視できなかったけれど……(当時の家の前を流れていたテムズ河にエイッと放り込んだ。ヤツが這い上がってきたかどうかは不明)。

   世界一のガーデニング大国なのにナメクジ天国。となればもちろんナメクジ対策製品は百花繚乱。一般的にはゴキブリ退治用のホウ酸団子のように、庭のそこここに撒く毒餌が売られている。でもこれには化学物質が含まれているから使いたくない。オーガニックな手段としては、ビールを入れた瓶を土に半分埋めて落とし穴にする方法もあるのだけれど、やっぱり夜な夜な箸でつまむ方法がいちばん効果的なのだとか。


一方、まったく素通りなのが、ルッコラ(写真左)やタイム(写真右)。あの苦味や香りがきっとイヤなんだろうな。ハーブの香りはこういう虫たちに食べられないための自衛だということがとってもよくわかる。

   あとは、まだ試していないけど、ナメクジにだけ宿る寄生虫も製品として売られている。目には見えないほどの小さな線虫で、粉状のそれを水に溶かしてジョウロで撒くと、ナメクジを見つけて体に入り込み、殺してくれるのだとか。人間はもとより、ナメクジを食べる鳥やハリネズミにも害はないとのことですばらしいー! でも1箱2000円強、しかも効果は6週間しかもたないとちょっと割高なので、まだ躊躇中。

   それにしても、今回はあまりに被害がひどいので、今晩からは家の中に苗を持ち込んで、監視することに。いや、家の中までヤツらが入ってくるわけではなくて、苗の土の中に潜って隠れているであろう残兵が出てきたところでヒットしようというわけだ。

   本当はナメクジが大好物なニワトリやハリネズミ、ヒキガエルなんかが庭にいてくれればいいのだけれどなーと願いつつ、今晩がひとつの関が原、張り切って臨みます。


葱坊主にそっくりのつぼみをたくわえたチャイブ(写真左)もナメクジはお嫌いの様子。栗によく似たホースチェスナッツ(フランス語はマロニエ)の実を拾って土に埋めておいたら、こんな芽が(写真右)! ナメクジに食べられないようにか、他の草との日光の奪い合いに勝つためか、芽を高く高く伸ばしてからやっと葉を開いた。賢いなぁーと心の中で褒めてやる。でもこの子たち、いずれは数十メートルの大木になる運命。ウチでは育てられないので、あまり大きくならないうちに、どこかの森にこっそり植えてこなければ……!


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イギリスはナメクジが多いなんて、意外です。寒いからいないのかと思っていました。私も小さな庭で家庭菜園をやっているのですが、昨年、初夏にヨトウムシ(夜盗虫。ヨトウガの幼虫)に悩まされ、夜な夜な割りばしを片手に「テデトール(手で取る)」で除していたことがあります。この虫、小指ほどもある大きな茶色い幼虫で、昼は土の中で眠り、夜になると、ムシャムシャと葉っぱを食べてしまいます。一晩でジャガイモの葉が全て消えてしまったことも。今年は対策として、臭いの強いハーブ類やネギを一緒に植えたり、コーヒーかすを蒔いたりしてみましたが、効果があるかどうか・・・。ナメクジ退治、がんばってください。

投稿者 zaozin : 2006年05月12日 10:42

「テデトール」!
最高です。使わせていただきます。イギリス人には通じないのが残念ー。
ヨトウムシは以前から気になりつつ、幸いまだ遭遇したことはありませんでした。ジャガイモが一晩で裸とは、すごい食欲ですね。
ひとつ質問ですが、テデトールで捉まえた虫はどう「処分」なさってますか? 踏みつけるのもちょっと感触が……。

投稿者 Cafeglobeアオキ : 2006年05月12日 16:44

ロンドンの住宅街の普通の道でも、雨上がりの夜になると大量のカタツムリが横断してますよね。時々足の下で「グシャ」という音が…
 

投稿者 hollyhock : 2006年05月16日 22:14

>時々足の下で「グシャ」という音が…

ウウ、まさに。イヤーなあの感じ。
こちらのカタツムリって、日本のよりも殻が薄くて柔らかいですよね……。うっかり強くつまむと指の力だけでも……。それだけに成長も早いのではないでしょうか。こんなに多いなんて。

とか書いていると、カタツムリやナメクジが苦手な方はイギリス嫌いになってしまいそうですね。大丈夫ですよ、雨の日以外は……雨の日多いんですけど。

投稿者 Cafeglobeアオキ : 2006年05月19日 18:38

わかります、我が子の敵。笑

ナメクジは夜行性で、ビールの匂いが好きらしいですから、缶ビールを飲んだとき少し残しておいて(ナメクジが缶に落ちたとき溺れる位)、被害のある場所に置いておくと効果があるか・・・?

イギリスって湿気が多いんですか?
ナメクジ&カタツムリの雨上がりの大行進・・・。やっぱり嫌ですねぇ。

投稿者 ざじ : 2006年05月23日 11:10

アオキさま、はじめまして。環境問題や貧困についての提言、ロンドンの生活も、いつも興味深く拝読しています。
うちのプランターも、スイートバジルと青シソのよく似た双葉でいっぱいです。幸い虫には悩まされておりません。
アメリカには、カタツムリやナメクジを食べるカタツムリ(の一種、snail destroyerと呼ばれているみたいです)を使って、オーガニックに駆除する方法もあるようですね。イギリスにはいない種類の生き物なのかもしれませんが、わりと効果は高いようです。

投稿者 crescente : 2006年05月24日 13:00

「テデトール」後の始末ですが、私はその都度、割り箸などで「ぐちゃ」っとやって、土に還します。最初はたまらなく嫌だったのですが、百匹以上やってると、なんともなくなりました。そんな自分がちょっと嫌ですが。ちなみに夫にその話をしたら、家で収穫したジャガイモを食べてくれなくなったので、黙って入れるようにしました(笑)。
ネットでいろいろ調べてみたのですが、単一栽培でなく、いろんな種類の植物を育てると、土質も変わるので、一度に同じ種類のムシに一斉にやられてしまうことは無くなるみたいです。確かに雑草だらけの空き地が、ヨトウムシの大被害にあってることって無いんですよね。そこで、今年は臭いの強そうなネギ、ハーブ類、あと、緑肥になるというシロツメクサを野菜と一緒に植えてみました。効果あるかどうかはまだ?ですが。

投稿者 zaozin : 2006年05月31日 10:43

みなさまコメントありがとうございます。まずご報告を。ナメクジ寄生虫作戦はかなり驚異的に効いているようです。「ようです」というのは、私が今東京に戻っておりまして、畑番の夫が、足の踏み場もないほどにいたナメクジがほとんど見えなくなった、とskypeで言っていたからです。すごいです。
でもcrescenteさんのsnail destroyerもよさそうですね。イギリスにはいないと思います。そのsnailさんは野菜は食べないのでしょうか。肉食オンリー? だとしたら、海にいる「ツメタガイ」のようなタイプなのかしら。検索してみたところ、「カワニナ」のような長い巻貝ですね。50匹で10ドル弱か。けっこうお手ごろですね。
そして単一栽培をやめていろいろ混ぜて……という栽培方法、私もこれから試みようと思っているところです! ニンジンのそばにマリーゴールドとか、あるようですね。それを考えると、大規模単一栽培農業が農薬どっぷりになる理由、想像できますね。

投稿者 アオキ : 2006年05月31日 23:53

ナメクジの嫌いなものとして、「銅」があると聞いたことがあります。その特性を利用して、園芸店でも銅のワイヤーなどを植木鉢につけるグッズなども販売されていると思います。
私は試したことがないのですが、10円玉を置くとナメクジが近寄れないとか。アオキさんが現在東京にいらっしゃるなら、10円玉をたっぷり持ち帰り実験してはいかがでしょうか?あちらのコインでももちろん効果あると思いますが、銅製ってありましたっけ?

投稿者 Hdidi : 2006年06月01日 09:48

こんにちわ、ドイツより投稿します。
私も今年から小さなプランターを買って、日本からの土産でもらったシソの種を蒔き、育てているところです。ドイツはイギリスより乾燥しているのか、それとも我が家が5階に位置しているせいか、今のところナメクジその他虫の被害はありません。以前東京のベランダでバジルを育てたときは自分が食べる前に食べられてしまい、涙を呑みました。。マリーゴールドは確かに強いようです。そのそばの鉢植えでも虫が寄らなかった覚えがあります。
さてちょっと話題がそれるのですが、海外在住の皆さん、ミョウガの苗もしくは種ってどうやって入手されているのですか?
ドイツでは八百屋ではもちろん、園芸コーナーでも見かけたことがありません。以前母に頼んで送ってもらおうと思ったら、ミョウガは苗で植えるものだと日本の園芸屋さんで言われて見つけられなかったと聞いていたので、日本でも簡単に買えるものではないのだと思ってましたが。
海外に住むと、こうした懐かの食材、なんとか自分で作って食したいですよね。ミョウガもそのひとつ。ぜひ育てたいのですが。。
海外で買える場合、英語名は何と言うのでしょうか?またもしドイツ周辺に在住の方で、情報をお持ちでしたら教えて下さい。ちなみに水菜は「mizuna」という名前で種が売ってました。日本産だったのか!

投稿者 aki.j : 2006年06月01日 20:36

ミョウガ!!!!!! 反応しました。
そうなんです、ミョウガは私ものどから手が出るほど欲しい。種は見かけませんね……。でも花があるわけだから(ふだん食べるのは花芽ですよね)、種もあるのでは。雑草のように強い草だと聞きますし。
イギリス在住の方で苗をお持ちの方、種情報をお持ちの方、私からもお願いします……。

>Hdidiさん
銅はそれなりに効きます! じつは銅テープはもう買いました。けっこう高くて、4mで1000円です。イギリスでは1ペニー硬貨と2ペニー硬貨が銅製です。1ペニー硬貨で囲ったほうが安上がりかも?
銅が効くのは、おそらく電導性がとても高いため微弱電流が流れやすく、ナメクジがさわるとナメクジの体の電荷の違いか何かでビリビリ刺激が来るようです(その意味では金、ゴールドでもいいのかも)。見ていると、さわったとたん「ドキッ!」という感じでビビッているのがわかります。でもその先においしいものがあると、数十匹に一匹くらいは頑張って渡るヤツがいます。万能ではないようです……。

投稿者 アオキ : 2006年06月02日 00:42

あるコミュニティサイトで質問投げましたら、いくつかお返事いただけまして、やはりミョウガは苗だそうです。皆さん日本から持ち込んでいらっしゃるようで、オランダ、イタリアなどでも育つとのこと。ただし日陰で湿気のある場所を好むそうなので、通常のプランター栽培では難しいようです。深めのプランターなどで似た環境を作るといいそうで。
苗はオランダ、イタリア在住の方などは結構増やして分けることもできるとおっしゃってました。
イギリスでもどなたかいらっしゃるかもしれませんね。残念ながらドイツ在住で持ってらっしゃる方は今のところいないので、私は来年に向けて、持ち込み策も検討してみます!
以上、情報でした!

投稿者 aki.j : 2006年06月05日 02:27

aki.jさま
情報ありがとうございます。そうですか……やっぱり種は難しいんですね。イギリスでも育ちそうなので、イギリス国内で分けてくださる方を探してみようと思います! きっといますよね……。

投稿者 Cafeglobeアオキ : 2006年06月08日 20:40

aki.jさま

すみません! 今、aki.jさまからのコメントを拝見しようと思って管理画面を操作していたのですが、手がすべって削除をしてしまいました……本当に申し訳ありません!!!!!
もし、もしよろしければいまいちどご投稿いただけませんでしょうか。本当にごめんなさい!

投稿者 Cafeglobeアオキ : 2006年06月16日 17:50




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青木陽子
Cafeglobe
ファウンダー・取締役
女性誌編集者時代、自分を含めまわりの女性たちが本当に読みたい媒体がないことに気づき、1999年に現社長の矢野とともにCafeglobeを立ち上げ、6年間編集長をつとめる。現在、パートナーの暮らすロンドンと東京の二重生活を実践中。
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