更新日:2006年5月29日



本当のおしゃれとは

カテゴリ:地球温暖化  2006 5月29日

   昨日新しく始まった「環境とか未来とか大切にしたいね通信」はもうご覧いただけたでしょうか? これから、主に環境や自然関連のニュース、イベントのお知らせ、プロダクト……などなどをご紹介していく予定です。

   で、昨日掲載になった記事でご紹介した、ロンドンで開かれているエコファッション展。各デザイナーやブランドからの提案の間に、訪れた人からの意見や感想が掲げられているコーナーがありました。


コーナーの左側には、「あなたが今日履いている靴を作ったのは誰?」「着なくなった服はどう処分してる?」「洗濯機の設定は何度?(英国の洗濯機は水温の温度設定ができる)」「あなたか今日身につけている化学物質は?」「ご自由にコメントを」と質問項目。

   七夕の短冊のような紙に書き付けられたコメントの中から印象的だったのを2つご紹介します。

   ひとつめは、「(今日身につけているのは)コットンとポリエステル。私はアイロンかけはしない主義。だから必然的に、アイロン不要の素材しか選びません」というもの。これは私もすでに長いこと実践中です。もっとも、アイロンの手間が面倒というのもありますが。

   パリッとアイロンの効いたシャツやリネンは本当に素敵だなと思うけれど、もはや分厚い豪華本や燃費の悪い高級車にも似た贅沢品で、対価が払える・払えないにかかわらず、たまのぜいたくにしておくものなのだろうなぁと思っています。漂白が必要な白い洋服も同様だし、ドライクリーニングも、大量に出すのは次第に「かっこ悪いこと」という認識になっていくのではないでしょうか。自分のことしか考えてない状態がおしゃれとはとても言えないわけで。


<写真左>原文は「Both cotton & polyester. I don't iron my clothes. I don't iron anything so drip dry fabrics are my choice.」<右>「I think I _AM_ A chemical. I wear hair spray, make up, mascara, deodorant, Topshop clothes etc....」

   もうひとつも、今日身につけている化学物質は?に対する返事で、「(身につけているとかじゃなくて)もう私自身がケミカル。ヘアスプレー、メイク、マスカラ、デオドラント、そしてトップショップ(イギリスの大手お手頃アパレル)……」というもの。もちろん自虐ジョークなわけだけれど、そういえばとハッとさせられます。

   とはいっても、「あれをやらない」「これをあきらめる」といったマイナスばかりではあんまり楽しくない。この展覧会はマイナスしつつのプラス提案だったのが肝なのです。ただしそのプラスは発想の妙や手仕事の再評価といった、アイディアとしてのプラス。アイディアはいくらプラスしても二酸化炭素は出ませんからね。罪悪感なしで楽しい。

   帰りしな、そういえば日本の一昔前までの暮らしは本当にエコだったんだなぁと思いながら歩きました。幸田文さんのエッセイにあるような暮らし。着物として洗い張りをしながら何十年か着たら、ほどいて座布団にしたり、半纏にしたり、ついには雑巾になって、ご苦労様でしたと。この展覧会に出したらさぞや評判になったのでは、とちょっと思ったのでした。

●「環境とか未来とか大切にしたいね通信」>


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ニョロニョロの次は、ヌルヌルとの仁義なき戦い

カテゴリ:ロンドン  2006 5月11日

   とっぷりと日も暮れた夜の10時頃。キャンプ用の懐中電灯と割り箸、塩水を入れた瓶を手に、私はひとり庭に出る。夜露に塗れた芝生を踏んで、目指すはハーブや野菜の苗を並べた一角である。

   あーやっぱり今日もいる……。懐中電灯の明かりの中に、白っぽいの、黒っぽいの、大きいの、小さいの。キラキラと銀色の足跡も鮮やかに、ナメクジたちが芽を出したばかりの私の苗を狙って集まってくるのだ。おのれ我が子の敵……とばかり、敵意を込めて、見つける端からつまんでは塩水に落としていく。

   塩水に落とされたナメクジは「ギャー!」とばかりに身をくねらせて、そのうち静かになる。とっても気の毒なんだけれど、心を鬼にしてナメクジ狩りを続ける。彼らの数の多さ・旺盛な食欲はすさまじく、ほっておけば、せっかく育てた苗も数夜で全滅確実なのだ。


9割くらいの芽が食べつくされてしまったのは、中央の2列に蒔いた、垂れ下がるタイプのミニトマト。ナメクジは気に入った味を見つけると、何度でも戻ってきてその草だけを食べる。あのネットリとした足跡には自分の匂いがついていて、ちゃんと昨晩いた場所に戻ってこられるようになっているというからオドロキ。


大切な青しそもすでに半分くらい消えてしまった。ちなみに、青しその双葉はスイートバジルの双葉に瓜二つ。やっぱり近縁なんだなぁ。

   ロンドンは東京より寒いからナメクジは少なかろうと思っていたけれど、大間違いだった。この国のじめじめとした気候は彼らには天国なのだとか。日本より種類も多くて、以前は10cm近いのを捉まえたこともある。虫には強いつもりの私も恐怖で正視できなかったけれど……(当時の家の前を流れていたテムズ河にエイッと放り込んだ。ヤツが這い上がってきたかどうかは不明)。

   世界一のガーデニング大国なのにナメクジ天国。となればもちろんナメクジ対策製品は百花繚乱。一般的にはゴキブリ退治用のホウ酸団子のように、庭のそこここに撒く毒餌が売られている。でもこれには化学物質が含まれているから使いたくない。オーガニックな手段としては、ビールを入れた瓶を土に半分埋めて落とし穴にする方法もあるのだけれど、やっぱり夜な夜な箸でつまむ方法がいちばん効果的なのだとか。


一方、まったく素通りなのが、ルッコラ(写真左)やタイム(写真右)。あの苦味や香りがきっとイヤなんだろうな。ハーブの香りはこういう虫たちに食べられないための自衛だということがとってもよくわかる。

   あとは、まだ試していないけど、ナメクジにだけ宿る寄生虫も製品として売られている。目には見えないほどの小さな線虫で、粉状のそれを水に溶かしてジョウロで撒くと、ナメクジを見つけて体に入り込み、殺してくれるのだとか。人間はもとより、ナメクジを食べる鳥やハリネズミにも害はないとのことですばらしいー! でも1箱2000円強、しかも効果は6週間しかもたないとちょっと割高なので、まだ躊躇中。

   それにしても、今回はあまりに被害がひどいので、今晩からは家の中に苗を持ち込んで、監視することに。いや、家の中までヤツらが入ってくるわけではなくて、苗の土の中に潜って隠れているであろう残兵が出てきたところでヒットしようというわけだ。

   本当はナメクジが大好物なニワトリやハリネズミ、ヒキガエルなんかが庭にいてくれればいいのだけれどなーと願いつつ、今晩がひとつの関が原、張り切って臨みます。


葱坊主にそっくりのつぼみをたくわえたチャイブ(写真左)もナメクジはお嫌いの様子。栗によく似たホースチェスナッツ(フランス語はマロニエ)の実を拾って土に埋めておいたら、こんな芽が(写真右)! ナメクジに食べられないようにか、他の草との日光の奪い合いに勝つためか、芽を高く高く伸ばしてからやっと葉を開いた。賢いなぁーと心の中で褒めてやる。でもこの子たち、いずれは数十メートルの大木になる運命。ウチでは育てられないので、あまり大きくならないうちに、どこかの森にこっそり植えてこなければ……!


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青木陽子
Cafeglobe
ファウンダー・取締役
女性誌編集者時代、自分を含めまわりの女性たちが本当に読みたい媒体がないことに気づき、1999年に現社長の矢野とともにCafeglobeを立ち上げ、6年間編集長をつとめる。現在、パートナーの暮らすロンドンと東京の二重生活を実践中。
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