更新日:2008年5月09日



紅茶の本場英国の、愛すべきリアルなお作法

カテゴリ:ロンドン  2006年4月20日

  「よく歩いたー、あつー。すっかり汗かいてのど渇いちゃった、○○ちょうだい」

   この○○にあなたなら何を入れますか? 私ならグラスになみなみと注がれた水、夏なら麦茶とか緑茶とかが欲しいところです。が、イギリスの友人たちは大抵「ティちょうだい」と言います。日本で言えば大サイズのマグカップ(スタバのTallくらい)にたっぷり入れたミルクティ(もちろんホット)をあっという間に飲み干し、「おかわりちょうだい」と来ます。


これが我が家のミルクティ。アールグレー+豆乳です。日本で紅茶のイメージの薄手&華奢なカップ+ソーサーも英国内にはもちろん存在するのですが、かなりお上流(ポッシュ)なオバサマが小指を立てて飲んでいるイメージで、どちらかといえばギャグネタ的扱い。

   紅茶やコーヒーはくつろぐひとときのための飲み物だと思っていたけれど、イギリスでは、のどが渇いたとき、人の家やオフィスを訪ねたとき、人が来たとき、朝食と、昼食と、簡単な夕食と、各食後と、おやつと、出かける前にのどが渇かないようにと、家に帰ってきたときと、仕事から逃避したいときと、暇なときと……のべつまくなしに飲みます。超勝手な個人的観察では、みなさん日に10杯超は飲んでいるのでは。

   そして、そのほとんどは牛乳を入れたミルクティ。お砂糖はお好みで。器はドカンと巨大なマグカップが主流。お客にもこれで勧めます。お客というか、人を見かけたら紅茶を飲まないかと勧めるのがエチケットになっている感もあり、うっかりしていると何杯も飲まされます。こっちの人に合わせて飲んでいると、お腹がガブガブになって目から紅茶がしみ出してきそうな気になります。

   フツーの家ではティバッグが主流なのですが、紐も紙のつまみもついていないお得用。お値段も安くて100バッグ入りで240円前後から。ミルクティにすることが前提なので、めちゃくちゃ濃く出ます。これをマグカップに放り込み、熱湯を注いだら、スプーンでかき回したりグイグイと突ついて絞ってできるだけ濃く出します。カップの底が見えなくなるくらいが適当。ここに牛乳(最近では豆乳の人も多い)をちょろりと入れて完成。


紅茶の種類は人によって好みはさまざま。いちばん安くて普及している濃~く出るタイプの紅茶(写真のティバッグ)のあだ名は「Builder's(ドカちゃん)」。肉体労働の人が飲みそうな、質実剛健な感じ、ガッツリ強い味……というニュアンス。「アールグレーとビルダーズ、どっちがいい?」とお客に聞いたりします。

   有名な、紅茶が先か牛乳が先かという議論については、2003年に王立化学会というところが「おいしさの点では牛乳が先が正解」という見解を出したのが話題になっていました。でも、フツーの人はマグカップの中に出た紅茶の濃さを目で確認してから牛乳の量を調節できる「紅茶先」がほとんどのようです。いちいち気にしてないというのが本当のところ。

   不思議な国のアリスのお茶会シーンなどで見るような、あるいはフォートナム&メイソンで見るようなお上流的・午後のハイティ的世界もあるにはあるけれど、リアルな英国の紅茶事情はそれとはだいぶ違うようです。書いていたらやっぱりのどが渇いてきたので、これから一杯入れてきます。ごくごくっと、やってきます。

●紅茶飲みならではの言い回しはこちらで↓
Phrase171
He is not my cup of tea.
(迷える女のとっさのひとこと)


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「いつもやっている飲み方」と同じだったので、なんだか共感しつつ、嬉しくなりました。
我が家では、デイリー用にPG-Tips' teaを使ってます。これもガツンと濃い味が出るのでミルクティー向きかと。

投稿者 MH : 2006年04月20日 11:16

イギリス流の紅茶の飲み方、全く知りませんでした。読む限り、気軽に飲む「茶」ですね。
紅茶と言えばハイソなイメージだったので、ちょっとカルチャーショックでした。

投稿者 yasuda : 2006年04月20日 22:24

10年ほど前にイギリス人の男性とお付き合いをしていたので、彼と一緒にイギリスに行ったことも何度かありました。 本当に誰の家に行っても"How about a cup of tea?"と聞かれて、ミルクか、レモンかなどとは勿論聞かれずに自動的にミルクティーでしたね。 しかも、"How many?"という言葉が続いてきたので最初は何のことか分からなかったのですが、お砂糖何杯?ってことだったのですよね。笑)
安い紅茶なのに、すごく美味しいと感激したのですが、Builder'sというのがあるとは知りませんでした。よかったら銘柄も教えてもらえますか?イギリスに遊びに行く友人に頼んで買ってきてもらおうかな、と思います。

現在はアメリカに住んでいるのですが、紅茶があまり美味しくないので残念です★

投稿者 AKO : 2006年05月10日 01:06

小さなキューカンバーサンドイッチをつまみつつ……というハイソなお茶会もごく一部ではまだ行われているとは思います。
でも本当にPOSHで、庶民のものではないですね……。

>AKOさん
Builder'sというのは、ごくごく一般的な安い紅茶(フレーバーなし、とくにブレンドの名前もなし)の総称です。
大手はTetly(http://www.tetley.co.uk/UK/)、MHさんお使いのPG Tips(http://www.pgmoments.com/)などでしょうか。あとはスーパーごとに独自ブランドのお得用なお茶が売られています。「そのお店でいちばん安い普通の紅茶買ってきて!」とお願いすれば、それはほぼ確実に「Builder's」でしょう!

投稿者 Cafeglobeアオキ : 2006年05月12日 18:35

数年前、イギリスで住んでいた家はいつも何かが壊れていたので、しょっちゅうプラマー(水道管工)さんやらカーペンターさんやらが来てました。仕事を終えた彼らにお茶を出すと喜んで飲んでました。私が出すお茶は、まさにBuilder'sスタイル。紅茶はこれが一番好きです。
ティーバッグは、OxfamをサポートしているYorkshire Tea をよく買ってました~。

投稿者 Vickie : 2006年05月22日 12:50




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青木陽子
Cafeglobe
ファウンダー・取締役
女性誌編集者時代、自分を含めまわりの女性たちが本当に読みたい媒体がないことに気づき、1999年に現社長の矢野とともにCafeglobeを立ち上げ、6年間編集長をつとめる。現在、パートナーの暮らすロンドンと東京の二重生活を実践中。
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illustration / Nakagawa Isami

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