更新日:2008年5月09日



有機農業・自給自足の共同体にお邪魔してきました その2

カテゴリ:ロンドン  2006年3月23日

<前回からつづく

   そう、「できてるじゃん」「そう、これよこれ!」「……ムキーッ!」と羨ましくて言葉を失って身悶えしてしまうような生活がそこにはあったのです。

   まず、食事の大半が自前の有機作物だから、素性が知れているし、フードマイレージも限りなく少なくて環境にもやさしい。みんなでブッフェ式の食事だから残飯自体あまり出ないけれど、残飯やお茶ガラ、野菜くずは農園の中にある豚や鶏のエサに。


元修道院の敷地を下がりきったところには川が流れている。オークや白樺がそこそこに生えている、いかにもイングランドらしい田園地帯。まだ水遊びをしたそうなセッター2匹と、「もう帰るから上がりなさい」とジェスチャーする飼い主。


大量にとれたリンゴを保管する倉庫。5頭いる乳牛からとれるミルクで、バターやチーズも自給。チェダーチーズの熟成庫まであった。


これも、ここで収穫された大量のジャガイモ。イギリス人の主食はじつはジャガイモだから、日本人がたくさんのお米を見ると安心するように、イギリス人もこれを見るとホッとするんだろうな。

   食費は安いということで、では住居費はというと、いちおうルールでは、入居するスペースをマンションのように購入することで仲間に加わるのだそう。お値段は広さなどもいろいろなのでご紹介できないけれど、驚くほど安いってことはなかったけれど、妥当ですね、という程度。普通の収入のシングルマザーでも頑張れば手が届く、という感じ。

   そういうわけで、食と住がおおむね安定しているから、ここにいる人たちはのんびりゆったり暮らしている。働き盛り世代は外で仕事を持っている人が多いけれど、ワークシェアリングで週3日だけとか、午後だけとか、そんな人が多いらしい。あとの時間はここで農作業をしたり、食事当番をしたり、食堂で新聞を読んだり、おしゃべりをしたりして過ごしている。


初夏の昼下がり。一緒にコミューンを訪問したコロンビア人のピリが、アルゼンチンかどこか南米出身という男性と何やら初対面でいきなりディープに話し込んでいた。スペイン語の人も、国境を越えて話せる人が多くてうらやましい。

   これまたすごくいいなと思ったのは、子どもたちがコミュニティの中で育っていること。親が外で働いている間も、子どもは他の子どもと敷地内で木登りをしたりガチョウをからかったりしてずっと遊んでいるから託児所いらず。食堂にいると、ときどき子どもの一人が「転んだー!!!」と泣きながら転がり込んできて、新聞を読んでいるそのへんの大人(親ではない)の脚にかじりついて、なぐさめてもらっている。ここで育ったトム(前出のスティーブの息子)は、親以外の大人もいる環境で育ったことは本当にラッキー、最高に幸せな子ども時代だったと言う。

   そして、ここには知的障害のある人も、車椅子の人も、かなりご高齢の人もいて、それぞれ自分のできる範囲の仕事を受け持って誇りを持って暮らしている。本当は人間の共同体ってこのくらいが自然なんだろうなぁと、きれいごとでなく納得する風景だった。


お母さんが大学に教えに行っている間、他の大人に教わって建物の修復を手伝う女の子。この子のお母さんは40代前半のシングルマザーで、ここには最近加わったとか。決断は正しかった?と聞いたら、「もちろんよ! 唯一後悔するとしたら、なんでもっと早くここに来なかったんだろうってことくらいね」。

   ほかにも、暖房をできるだけ薪でまかなっていること、自家用車が増えたとはいえ、カーシェアリングが当たり前に行われていることなど、エネルギーへの配慮もそこかしこにされている。ここのひとりあたりの非再生可能エネルギー消費量は、東京やロンドンの平均的な一人当たり量の半分とか1/3とか、もっと少ないかもしれない。


どっさりと積み上げられた薪は、これでひと冬と半分くらいあるのだそう。薪も燃やせば二酸化炭素が出るけれど、それは育つ過程で吸収したのと同じ量。だから、再生されている森でさえあれば、地底から化石燃料を掘り出して燃やすよりも温暖化防止という意味ではよいとされている。


イギリスの田舎は公共交通が絶望的に頼りないのでクルマが必需品。そこで、通勤や街に行く予定のある人は自分の予定を黒板に書いて、一緒に乗っていきたい人を募集する。

   ……とまぁ、いいことばかりを書きました。ま、いいことばかりなんです、ハイ。私ももちろん、「いつか仲間に入れてもらいたいって願い出ようかな」と思いながらの見学でした。だからネガティブポイントがあるなら、いまのうちに見つけておかなくちゃ、と。たしかに小さいことはいくつかありました。

   まず、正直やっぱり平均的イギリス人の味覚はちょっと……Hmmmmm……なので、自分が食事当番の日はいいけれど、中にはかなりキツい日もあるだろうということ。これがイタリアだったらなあ。やっぱりね。あと、半農になるわけなので、虫や大量の動物の糞などが苦手な人は厳しいでしょう。

   それから、このコミュニティはもう30年目なので、中心的な人たちが60前後。哲学者(職業という意味でなく)が多いから、話は面白いし人格者が多いけれど、同時に偏屈な人も多そう。相当刺激的なやりとりを覚悟しなければ。もっとも、彼らもイマドキの風の必要性は意識していて、今からは若いカップルを中心にリクルート?したいとのこと。ただし、希望をする人には事欠かないようで、そういう人たちからの手紙はびっしりと束になってまとめられていた。

   最後に、ここに行きたくなった方もいるかもしれないのですが、スティーブから場所などは書かないでと釘をさされているので、私からはお伝えできないことをご容赦ください。でも、イギリスにはこういったエココミューンをリストアップしたガイドブックもあるので、探してみると見つけられるかもしれません。そもそも、思うに、私たちもめいめい私たちらしい……たとえば日本の風土に合ったこういった暮らし方を模索するべきなんでしょう。すでに始めている人たちも少なくないようですし。世界中でいろいろな試みが増えることが、今の地球には必要なことなんじゃないかな、と思います。


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19世紀の終わりからイスラエルにできた「キブツ」を、そのまんまパクってイギリスに作っただけという印象です。

左翼運動(社会主義思想)の果てにできたというところもまったく同じだし生活スタイルもそのまんまパクリ。 

ちなみにイスラエルのキブツのほとんどがボランティアの受け入れを停止したのはHIV感染者のイギリス人がキブツの他のボランティアに故意に感染を隠して、性交渉をしたためだそうです。

いかにもイギリス人がオリジナルで唯一だといわんばかりの文章は、パクリ元のキブツの創始者であるイスラエル人に対して失礼だとは思いませんか?

きちんとそのあたりを調べて書きましたか?

それともcafegrobeの読者は同じものでもイギリスだと「すてきー!理想よね」になって中東だと「なんだか気持ち悪い~こわーい」っていうメンタリティの持ち主だと筆者の方は思っていらっしゃるのでしょうか?

投稿者 ヤナ : 2006年03月26日 01:48

ヤナさま

コメントありがとうございます。
キブツの考え方と実践を真似たというのはそうかもしれませんね。あの頃、いわゆる先進国のとくに若者の間を駆け巡った、安っぽく言えばヒッピー文化の中で、お互いがヒントを得あっていろんな試行錯誤をしていたと思います。ここのようなコミュニティはたとえばアメリカやオーストラリアにも多数あると聞いています。日本にもありますよね。なので、キブツが先かもしれないし、キブツよりもっと先にやっていた人もいるかもしれない。そもそも、誰が最初に始めたかなんてどうでもいいのではないでしょうか。私はあくまでも自分が出合った例をご紹介したもので、「ここがオリジナル! 一番最初!」という意図はありません。

ですので、もちろんキブツやイスラエルの人々をとくにそれで貶める気持ちなぞありません。キブツの思想と実践は、とくにあのスケールで試みられたことは偉大だったと思っています。もう少し早く生まれていたら、きっと行っていたかも、と思ったこともあります。

イギリス人のHIV感染者がうんぬんというのは私はまったく知りませんが、そういった「~人が」と人間をグループ化して扱う言説は気をつけてお使いになったほうがいいと思います。本当にそういう異常者がいたとして、その人がイギリス人だったからといって他のイギリス人には何の関係もないことだからです。この「イギリス人」を「日本人」に置き換えてみれば、少し分かりやすいのではないでしょうか。

で、中東だとこわ~いと思っているというところはすみませんがおっしゃる意味がまったくわかりません。
(@_@;)
中東が怖いとはまったく思っていませんし、批判を書いたことも述べたことも一切ありません。むしろ、個人的にはまだあまり知らないエリア・文化圏なのでとても興味があります(去年、NHKのアラビア語講座を見始めたものの……覚えているのは挨拶くらいですが……)! 怖いとしたらニュースで報道される機会の多いごく一部の急進的なイスラム教原理主義の人たちのことがあるかもしれませんが、キリスト教原理主義者も同じくらいやばいですし、ユダヤ教も原理主義的な考え方はちょっと困るなぁと思います。排他的というのはこの狭い地球上、危険だと思います。

抱かれた疑問に対してのお答えになっていれば幸いです。

投稿者 Cafeglobeアオキ : 2006年03月26日 13:22

最初にイスラエルで主にしゃべられている言葉はヘブライ語で、中東の人間すべての母国語がアラビア語だと思われているのでしたら、それは大きな間違いだと思います。

イギリス人云々というのは、あなたの被害妄想がすぎるような気がしました。いろいろな意味で、あなたが理想だと持ち上げるコミュニティの数々が崩壊の危機に瀕しているという例であげただけなんですが・・・

あと原理主義者~はそれこそ不愉快で無知そのもの言葉遣いで、本当に中東に対する差別感を感じます。

例えばユダヤ教の原理主義者は迷惑だとおっしゃっていますが、その原理主義の内容についてどのようなことをご存知なのでしょうか?

日ごろ、ハレディのコミュニティの真ん中にでも住んで家族にハレディでもいない限り「ユダヤ人原理主義者」によって困らされることはほとんどありません。シオニズムと原理主義者は違いますよ。 

見た目で差別してませんか?

記事と返信から感じたことをもう一度書きますね。

あなたは「ヨーロッパ=カッコイ」「中東=原理主義者がいてアラビア語をしゃべる地域でなんか困るわ」っていう思い込みでものをしゃべっていませんか?

投稿者 ヤナ : 2006年03月28日 01:51

イスラエルのキブツにふれないから、「『ヨーロッパ=カッコイ』『中東=原理主義者がいてアラビア語をしゃべる地域でなんか困るわ』っていう思い込み」だ、というほうが思いこみではないかと思います。

そもそも、ここに実例としてあげられたような共同体の思想って、高校の社会科で出てきたと思いますけど、イギリスのロバート・オーウェンなどをはじめとする「空想的社会主義」といわれる人たちが掲げた活動ですよね(空想的社会主義の人たち、と分類される人すべてが掲げた訳じゃなくて、オーウェンら何人かが、実践しようとしたわけですが。また、空想的社会主義というのは、彼らの後に出てきたマルクスやエンゲルスがそのように彼らを呼んだので、そのように言われるようになったわけですが)。そういう位置づけを考えると、現在のイギリスでそういう活動があるというのは、重要なことだと思います。このような流れで考えると、イスラエルのキブツにふれなくてはならない、ということはないと思いますし、キブツにふれるのなら世界各国でこのような共同体は多くあるわけですから、世界各国での展開についてふれなくてはならなくなります。日本でもヤマギシの会とかね。

投稿者 worry : 2006年03月28日 09:08

イスラエルのキブツにふれないから、「『ヨーロッパ=カッコイ』『中東=原理主義者がいてアラビア語をしゃべる地域でなんか困るわ』っていう思い込み」だ、というほうが思いこみではないかと思います。

そもそも、ここに実例としてあげられたような共同体の思想って、高校の社会科で出てきたと思いますけど、イギリスのロバート・オーウェンなどをはじめとする「空想的社会主義」といわれる人たちが掲げた活動ですよね(空想的社会主義の人たち、と分類される人すべてが掲げた訳じゃなくて、オーウェンら何人かが、実践しようとしたわけですが。また、空想的社会主義というのは、彼らの後に出てきたマルクスやエンゲルスがそのように彼らを呼んだので、そのように言われるようになったわけですが)。そういう位置づけを考えると、現在のイギリスでそういう活動があるというのは、重要なことだと思います。このような流れで考えると、イスラエルのキブツにふれなくてはならない、ということはないと思いますし、キブツにふれるのなら世界各国でこのような共同体は多くあるわけですから、世界各国での展開についてふれなくてはならなくなります。日本でもヤマギシの会とかね。

投稿者 worry : 2006年03月28日 09:09




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青木陽子
Cafeglobe
ファウンダー・取締役
女性誌編集者時代、自分を含めまわりの女性たちが本当に読みたい媒体がないことに気づき、1999年に現社長の矢野とともにCafeglobeを立ち上げ、6年間編集長をつとめる。現在、パートナーの暮らすロンドンと東京の二重生活を実践中。
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