更新日:2008年5月09日



疑い深いみなさんのために私の部屋の写真を

カテゴリ:東京  2006年3月03日

   女性ファッション誌の編集をしていたとき、私はカルチャー班と言って、ライフスタイルなどの記事を担当していました。インテリアの取材をすることも多く、それは素敵な、ため息が出るようなお部屋をよく訪ねたものでした。

   素敵な部屋をカメラマンにさらに素敵に撮影してもらい、記事に仕立てることを繰り返しているうちに、ふと気になりました。たしかに素敵なインテリアは参考になるけれど、私たちのストレスの元にもなってないか?と。

   言ってしまえば、お金にも時間にも余裕のある人のインテリアを、それが普通のこと、あるいは誰もが目指すべき姿かのように紹介するのは必ずしもいいことじゃないのではと思ったのです。お金にも時間にも余裕のないフツーの読者にとっては、参考になるよりもプレッシャーになるばかりなのでは? 私自身、原稿を書きながら「どうして私の部屋はあんなに狭くて物が多くて生活臭たっぷりで……私ってダメだ!」と自己嫌悪に陥ることが多かったので。

   その後Cafeglobeを始めた際、この疑問から生まれたのが「フツーな人の、フツーな暮らし」でした。憧れのインテリアもいいけど、もっと等身大の人たちの暮らしを覗かせてもらって、「私もやってるやってる!」とか「そのアイディア、即いただき」と思えるのもいいんではないかと。生活感たっぷりの部屋を見て安心するのもまた楽しいのではないかという狙いです。

   話は少しズレますが、以前からちょっと気になっているのが、「家をきれいにしておかなくちゃ」ストレスに押しつぶされそうになっている女性がけっこう多いんじゃないかということ。ほとんどが共働きをしている女性で、仕事と家事の“両立”を成し遂げようと頑張り、疲労困憊してしまう。

   パートナーの協力具合・収入との兼ね合い・仕事の条件・その人自身の体力などいろんな要素があるから一概には言えないけれど、もしやもしや、女性誌が持ち上げる理想のインテリアの呪縛に多かれ少なかれかかっているんじゃないか。洗濯もの山積み、風に転がる干草玉のようなホコリ、流行遅れのデザインの家具や家電のせいでストレスを感じるのは行きすぎなんじゃないか、というわけです。

   とくに女性は若い頃から女性誌のインテリアページにずっと晒されてきているから、男性よりインテリアへの目標が高くなりがちで、現実との乖離にストレスを溜めがち。男性にいくら女性誌級インテリアへの協力を求めても、彼のモチベーションはなかなか高まってこない。私の夫もしゃあしゃあと「ホコリで人は死なない」「きれいなインテリアは君の趣味の問題」と抜かすけれど、でも一理あるとも思うのです。

   女性のみなさん、素敵なインテリアはほどほどに。お友だちだって、みんなお客さんが来る前に掃除をして必死に繕っているだけで、普段はきっとグチャグチャな部屋でモリモリとたくましく生活しているんです。私は少なくともそうです。私の家など、それはおっそろしい状態です。捨てるのが苦手だから物だらけですし。でも、よっぽどのお金持ちかナポレオン並みの睡眠時間で平気な人でない限り、それが普通で、恥ずかしいことなんかじゃないと私は思ってます。

   本当にグチャグチャなのぉ?という疑い深いみなさんのために私の部屋の写真を撮って公開……しようかと思ったんですが、本当にあまりにひどいので、やっぱりやめときマス。人格疑われそうなほどひどいので。エヘ。と、私も弱気になってしまうあたりが、インテリアの呪縛なのかな。あるいはそんなことに拘泥できるほど私たちは豊かだということなんでしょう。はい、理屈はともかく。今週もおつかれさまでした。みなさんよい週末を!


まだまだ道のりは長いけれど、私なりの理想の部屋は、古びた大きな本棚と観葉植物がたくさんある部屋。中古の無垢のテーブルや椅子を少しずつ集めていきたいな、と。写真は、知人が大勢の仲間と共同生活をしている不思議な館の図書室。お金をかけなくても素敵な暮らしは作れるかもしれないと希望を持ったここでの体験についてもそのうちご紹介したいと思います。

●フツーな人の、フツーな暮らし>


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ちょっと悶々としている時、アオキさんからのタイムリーなメッセージ。

私もステキなお部屋に憧れつつも、毎日怪獣息子に汚されては溜息つくばかり。息子の友達数人で壁に落書きされた時は「もう友達とお家遊びはダメ!」と禁じてしまったほど。

でも、その後、思ったのです。なんかインテリアばかり気にしてて中に住んでいる人たちに目がいっていない、それはとてもそっけない生活ではないか、と。

オットは笑って落書きは部屋に愛着を与えてくれると逆に気に入っているもよう。そうだよね、そんなカリカリになると快適であるはずのインテリアが逆がストレスに。グチャグチャも愛嬌よね。

アオキさん、肩の力が抜けるメッセージをありがとう。

あ。今日はおひなさん。
みなさまハッピーひなまつり♪

投稿者 きむ : 2006年03月03日 02:42

すごい.....びっくりです。なんという素晴らしき考え方。某女性編集長とはエライ違いますね。同じイギリスの暮らし方を提案しまくっている方ですがセンスがまるで違います。アオキさんはとってもセンスがいいと思います。いえいえ部屋がキレイだとかそういうことではなくcafeglobe を立ち上げる経緯と今現在の暮らし方。見せ方ももちろんですがそれに付随するメッセージにカウンターパンチをくらった気分です。これこそメディアを有効活用されている見本の様なものですね。あ〜ビックリしました。これから遡って全て読破したいと思います。
どしゃぶりセンチメンタルの栗山氏が大好きでcafeglobeを読むようになりましたがこのページを見て納得しました。これからも楽しみにしています。また思うことがありましたらコメントさせていただきます。

自己紹介:元広告業、現在小売業の傍ら印刷媒体の勉強の日々を送っている者です。研究テーマは「好影響を与えるメディア」です。

投稿者 akiko : 2006年03月03日 12:59




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青木陽子
Cafeglobe
ファウンダー・取締役
女性誌編集者時代、自分を含めまわりの女性たちが本当に読みたい媒体がないことに気づき、1999年に現社長の矢野とともにCafeglobeを立ち上げ、6年間編集長をつとめる。現在、パートナーの暮らすロンドンと東京の二重生活を実践中。
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illustration / Nakagawa Isami

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