今週は、先日の「デジログ日誌」で予告した、グリーンピース・ジャパンによる青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場の試運転反対シンポジウムに出席した件について。

2月19日、表参道の東京ウィメンズプラザで開かれたシンポジウム。photo (c) Greenpeace/M.Noda 以下すべて同じ

司会進行は、新しくグリーンピース・ジャパンの事務局長になられた星川淳氏。ご存知ない方もいるかもしれないけれど、私たちが大好きなスローライフを20年以上前から著作活動などで訴えてきた、とってもスゴイ方です。
「核問題なんてわかんないし」「原子力はヤだけどすぐには止められないから仕方ないでしょ」と読み飛ばそうと思ったアナタ、ちょっと待って!!!! この試運転が始まると、東京など東日本はもちろん、西日本の人たちも放射能を浴びることになるのだとか。それを避ける最後のチャンスが今の今なんです。青森県の特に知事が、この試運転にGOサインを出すかどうか、今考えているところだからです。危険で私たちのお金の無駄遣いになる再処理を、止めたいと思いませんか?
ごく大雑把ですが、ポイントにまとめてみました。
●「核燃料の再処理」とは、原発から出た使用済み燃料を化学的に処理、プルトニウムや燃え残ったウランを取り出して原発用の燃料に使うこと。そのほか、処理前以上の量の放射性のゴミが出る。
●再処理の過程で、大気や海に放射能を持った物質が放出される。これは事故のときではなくて、計画として日々放出することになっている。その放射能の量は、1日に原発1基から出る放射能の1年分。
●この再処理工場の建設にはすでに2兆円以上が使われた(計画では7000億円だったのが3倍に膨らんだ)。
●さらに試運転をして工場内が放射能で汚染されてしまうと、将来工場を閉鎖処理する費用などで19兆円必要になると見られている(今の国家予算の4分の1!)。この費用は電気代や税金で私たちから徴収される。
●でも、そんなにお金をかけて取り出しても、プルトニウムを原発で使う目処が立ってないから(※1)、今のところまったくの無駄。
●プルトニウムはめちゃめちゃ放射能がたくさん出る、放射性物質の中でも抜群に強くて怖い物質。だから核兵器の材料になる。たった8kgで1つの核兵器が作れてしまうという。余分なプルトニウムを持っているとテロリストに狙われる可能性がある。
●平和目的だと主張しても、すぐに核兵器にできるプルトニウムをたくさん持っていれば、世界中から「日本はプルトニウムをため込んでいる国」「核兵器を持っているのと同じ」と危険視される。
●再処理を手がけているのはフランスとイギリスだけ。イギリスは工場内でプルトニウムを含む溶液が大量に漏れた事故以来操業しておらず、もともと採算がとれていないので、このまま閉鎖もささやかれている状態。
ざっくりざっくり、そういうことです。どう公平に見ても、いや、せいいっぱい好意的に見ても、プルトニウムを使うあてがない今、一度再処理をしてしまえば工場の中が汚れてしまう、後戻りのできない試験を急ぐ必要はないはずですよね。
それなのに急ぐのはなぜか? 仕事とお金がほしい地元の一部の意向もさることながら、各地の電子力発電所に溜まってしまっている使用済み核燃料を移動しないと稼動を止めなければいけない原発が出てくるからといわれています(それだけ原発からは放射性廃棄物がたくさん出ているということでもあるわけです)。
この再処理工場の計画は50年前にされたものなのだそうです。その頃はもんじゅやふげんの頓挫も想像できなかったし、たしかに夢のように効率のいい未来プランだったのかもしれません。でも実際に未来になってみれば、そう夢のようには行っていない。じゃあ計画を練り直そう、というのが賢い普通の選択です。でも、「計画は計画だから」と突っ走ってしまうのは高速道路やダム計画とまったく同じ構図です。私たちの生活環境は壊され、お金の無駄遣いがされ、役に立たない大きな建造物が残る……。スローで豊かでハッピーな生活はますます遠のく。
せめてちょっと立ち止まろうよ、計画を見直してみようよ。と声をあげてみませんか。あとは青森県知事がGOを出せば、3月下旬か4月にも試運転は始まる可能性があるそうです。言わずもがな、青森県だけの問題ではありませんから、他県の私たちも意見を言っていいはずです。原子力発電で作られている電気を仕入れているのは電力会社ですから、電力会社に「そんな電気はほしくない」と伝えるのもいいだろうし、ささやかだけどますます電気を節約するのも大切でしょう。浜矩子さんもCafeglobeの連載でおっしゃっているように、自分のブログやBBSで不安を訴えるのだって絶対効果はあるはず。もう時間はあまりありません。おかしいと思うなら、一緒に動きませんか。

オーガニックや省エネなど身近なエコと違い、難しくて硬い話が多いからか、この問題に関して興味を持つ女性や若い人が圧倒的に少ないのは現実。そこで比較的やわらかい顔をした私にお声がかかったというわけです。

今回の試運転がスタートしてしまうか、じつは世界中から注目が集まっているのだそう。シンポジウムには米国議会で証言などにも立つ第一線の核科学者、エドウィン・ライマン博士が米国から再処理ストップ呼びかけの応援に駆けつけた。
●グリーンピース・ジャパンによる再処理工場についての説明>
●Wikipediaによる再処理工場についての説明>
※1
もともとの計画では、ここで取り出したプルトニウムは、「もんじゅ」や「ふげん」などのプルトニウム用の新型原子力発電所で使われる予定でしたが、ご存知のように相次いで事故を起こしたために停止・廃炉検討中になっています。そこでプルトニウムをウランに混ぜて普通の原子炉でも燃やせるように工夫したのが「プルサーマル」計画(六ヶ所村の再処理工場計画を正当化するためとも言えそうです)。でもこれも各地で地元の反対に遭い、唯一の頼みの綱になっている佐賀県の玄海発電所も地元議会が沸騰中で、プルサーマルも実現できるかわからない状態。つまり今のところ日本国内でプルトニウムを使う具体的な予定はないのです。
動き出すしかない、と考えていた矢先の再掲載・再リンクに感謝です。
実は、青木さんの最初の上記の記事、記憶にはとどまっていましたがどこかでスルーしていました。ごめんなさい。
しかし、映画『六ヶ所村ラプソディー』『被爆者』(鎌仲ひとみ監督)を見て、現実認識の甘さにがくぜんとし、まさに呆然となりました。
“この空気・一呼吸まで脅かされる!”、唯一の被爆国が何故??
湾岸戦争から9.11後のアフガン・イラクでも使用された劣化ウラン弾に怒りながら、まだ実感が伴わずにいた頭を叩きおこしてくれました。
「ヒバクシャ」は過去のものではない、広島・長崎、そして第五福竜丸乗組員が唯一の被害者ではなかったことを改めてつきつけられ、そして、六ヶ所村試験稼動が始まった今、わたしを含め、ほぼ未来永劫の世代が分け隔てなくヒバクシャとなる可能性があるという現実です。
(放射性物質の内部被爆による病気との因果関係は広島の医師・肥田舜太郎氏と監督の共著『内部被爆の脅威-原爆から劣化ウランまで』ちくま新書、2005年が参考になります)
母なる大地・海への冒涜がこのようなかたちで行われる暴挙。
影響を及ぼす放射性物質が海を、大地を通じて草木・食物を犯すということ。もちろん食物連鎖から人間への影響はより濃縮されたものになりますよね。
一方で少子化対策などとはどの政策に基づくものなのか?
一人でも多くの人にこの映画を見てもらいたい、六ヶ所村で今何が起こっているか、知ってもらいたい、と願っています。
(監督ブログもあります、今後の上映日程などわかります)