更新日:2008年5月09日



ゴーゴー! フェミニズム♪

カテゴリ:フェミニズムというかヒューマニズム  2006年2月09日

「フェミニズムって嫌いなんです。なんかみっともなくて恥ずかしいし」

   と言い切ったのは、20代後半のある友人。ガックリ。彼女のように聡明で正義感も強くてとてもまっとうな価値観を持った人でもこう言ってしまうのか。あうー。

   でもここで「そんなことを言うもんじゃないわよ」なんて説教をしてしまっては、私も「怖いフェミニストおばさん」のジャンルに放り込まれて何を言っても「どうせフェミの言うことだし」と相手にしてもらえなくなるかもしれない。まずはぐっとこらえて効果的な戦法を考えることにしました。

   ずっと懸念はしていたのです。「女性にもっと選択肢を!」というフェミニズムの気運が世界中で盛り上がった70年代はもう遥か遠く、このところはフェミと言えば田嶋陽子さんのような、どちらかといえば角度と刃のついた論客ばかりがメディアではもてはやされていたから。

   フェミニストを高らかに宣言して挑発的に語る田嶋さんが男性タレントにブスだのなんだのコキ下ろされているのを見れば、「フェミニストは怖い」とか「フェミニストだって言うと損するんだな」と思う人が増えるのは当然だと思う(田嶋さんの数多い発言の中にはすごく大切な指摘も多いし、今ここで田嶋さん自身の評価をしたいわけではありません、念のため)。

で・も。
女性のみなさん。

   今私たちが、自分が働いて稼いだお金でお洒落をしたり、一人暮らしをしたり、仕事に邁進したり、子どもはいつ何人(ゼロ含め)持とうと計画したり、やっぱり育児に専念しようと決めたり……ということが誰に気兼ねなくできるのは、ずばりフェミニズムのおかげなのです。

   とくに日本ではなぜか「フェミニズム」という言葉が早いうちから敬遠されてきたのであまりみんな意識していないけど、大学に進む女性が普通になったのも、お茶出しは女の子とか寿退社といった不文律が世の中の会社から消えつつあるのも、OLという言葉を使わないようにしようと思う人が増えているのも、これみーんなフェミニズム的変化なのです。「オレは奥さんには働いてほしくないな♪」なんてのたまう男性に「やっだー、古ーい」と思うのも(思わなくてもいいけど)フェミニズムなのです。

   つまり、フェミニズムは、女性が社会的な差別のせいで自由に仕事を選べなかったり、家族のあり方を選べなかったりすることをなくそうとする動き全般のこと。女性も仕事を一生「続けなければいけない」とか、男性と同じだけ何かを「しなくちゃいけない」とか、何かを強制する動きのことではなくて、たとえば子どもを持っても仕事を続けたい人が、ひどい無理をしないでも続けられるようにしようという動きのことです。全然怖いことじゃない。少なくとも私はそう考えています。

というわけで。

   私たちはもっとフェミニズムを普通に口にして、意識して、もっと選択肢が広がるように頑張らないともったいないんじゃないか、と思うのです。たとえば年金で女性が損をする仕組みはおかしい、個人単位にして女性も自分が働いた分を男性と同じだけもらえるようにすべきだとか(個人単位にした場合、専業主婦は夫が納める分のきっちり半分への権利を持つようにすべき)。育児後の復職でもっと行政のサポートがあるべきだとか。みなさん一緒に頑張りましょー。はい、私はフェミニストでーす。


最近目についた、Why we don't care about feminism any more (and would much rather be thinking about a new pair of shoes)<フェミニズムを考える人が少なくなったのはなぜか(次に買う靴のことばかり考えている人は増えているのに)>、Feminism for bright young things<若く賢い彼女たちのフェミニズム>などの見出しの英新聞記事。

イギリスのメディアは日本のそれに比べて性差別への意識はとっても高く、フェミニズムや男女平等に関しての報道は頻繁に見かける。私と同年代(30代)のイギリス人の女友だちたちは「私はフェミニストだからね」とフツーに口にするし、一般的にもフェミニズムに嫌なイメージはほとんどない模様。

でも記事によると、とくに20代や10代などの若い世代でフェミニズムに興味を持たない人が増えているのだとか。「フェミニズムが勝ち取ってきた権利を謳歌しているのに意識しないなんて」と嘆く声や、「いや、勝ち取ってきたからこそフェミニズムを意識せずに暮らせる女性が増えているのだ」と誇らしく語る声など、いろいろ。


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2006年02月15日 12:06


いつも興味深く覗いています。
青木さまの考えはよくわかります。
しかし、実際に「女性にもっと選択肢を!」と本当に思っている女性はとても少ない気がします。

みんな、不平不満はあるのですよ。でもそれは、女性に選択肢があるかないかの問題ではなく、自己レベルの問題です。

女性にもっと選択肢を!と言うレベルまで達していないように思います。 

投稿者 ふく : 2006年02月09日 07:37

さっそくコメントありがとうございます。
おっしゃること……よくわかります。残念ながら、じつは同感です。自分と周囲の小さめな半径から視野が離れられないでいる人は少なくないと思います。
でも気づいている人からもっと口にして、気づいていない人を感化していくというのもひとつの手ではないでしょうか? 理想は高く! もちろんこれも、たくさんある「手」の中のひとつにすぎませんが。

投稿者 Cafeglobeアオキ : 2006年02月09日 08:01

「気づいている人からもっと口にして、気づいていない人を感化していくというのもひとつの手ではないでしょうか? 理想は高く!」

↑そうですね。このように思っている人たちだけでも、自信を持って口に出せたらいいですよね。


投稿者 ふく : 2006年02月09日 08:31

青木様、おはようございます。
はじめまして。
いつもサイトを楽しく拝見させていただいております。

私は自称フェミですが、
カミングアウトには非常に慎重です。
フェミってカミングアウトすると、
ものすごい消耗することが多いですから。
(特に男性相手だと)

フェミについて色々考えていていつも思うのは、
早く男性でも子供が産めるようになるといいのに、
ということです。
女性の選択肢の少なさ(見かけ上は多いかもしれませんが)は、
割とそこに関係しているように思うのです。
(以前東京都現代美術館で観た岡田祐子さんという
アーティストの「俺の産んだ子」という作品は
フェミの皆様にはぜひ観ていただきたいです)

楽しく暮らしていくためには
私はフェミって必要だと思います。

投稿者 りか : 2006年02月09日 09:53

青木さんの思いにすごく共感しました。
確かに、若い人たちにフェミニズムを語るのは、憚られる雰囲気がありますよね。それって、ジェンダーフリーという言葉への極度の拒否反応ともつながっているような気がします。女性の中にまでこういう空気が流れてくることは、もしかしたらすごーーーく大きな何かの力がはたらいているのではないかと、勘ぐってしまいます。考えすぎでしょうか。

投稿者 きなこ : 2006年02月09日 18:08

私もフェミニストです!!
でも、時々、自分の考えはとても極端なんじゃないかと考え込んでしまう事があります。

例えば、男性と同じように仕事をして、収入を得て、趣味も…という風に考えるのは、男性社会の価値観に無理やり自分を滑り込ませているのではないか、と。女性は女性なりの強さがあるのではないか、と思ってしまうの事があるのです。

男性と同じフィールドで、同じ価値観の中で頑張るのも大切だけれど、例えば主婦という立場で、身近なコミュニティを変えていくのも大切かな、と考えたり。

もちろん、どっちがどうだ、というわけではないのですが…。

オノヨーコさんの意見は、時に極端かも知れませんが、とても励まされます。
これからもフェミニストとして胸を張って頑張ります!
乱文失礼致しました。

投稿者 virginie : 2006年02月09日 22:58

実は私は、男女雇用均等法施行2年目に社会人になりました(ふふ、もう20年近く前の話ですね)。当時は景気もよく、私の勤め先には社内保育園まであって、これから女性が働きやすい環境になるなあと思っていたのですが。90年代の不況で、いろんな意味で保守化してしまった気がします。でも、経済的に厳しい時期こそ、夫が突然リストラされても妻の収入があったり、肩身狭くならず主夫できたり、協力しあっていける状況って大事だと思うんですけれどね。
私もイギリスに来て、ごく普通に思うことを誰に話しても通じる気がします。「フェミニズム」と肩肘はらずとも、対等にやっていける環境づくり…そんなの、日本でも既に普通のことだと思っているのだけれど?もしそうじゃないとしたら、私たちの世代が、うまくロールモデルをつくりきれてないのかな?

投稿者 hollyhock : 2006年02月10日 01:27

間接差別という言葉がありますね。

フェミと声高々にいわなくても、行動で示すこともありかなと思います。

たとえば、うちの会社では最近は新入社員はあまり採用せずに5年を最高期間にした契約社員がほとんどです。でも、最近の法律だと、5年の契約期間って、育児休暇の取得に条件があって、契約社員になって2年目と3年目にしか子供を産めない構造になっているんです。

男性はほとんどの場合育児休暇を取らないことを考えると、女性に対する間接差別ですよね。こういうことに対して、おかしい、って声を上げていくことも、フェミです、っていうことと同じくらい重要なんだって思います。モグラたたきみたいに、見つけたら一つづつ叩いて行かなくちゃいけないけど。でも、個別のことには賛同してもらいやすいし、積み重ねって大事だから。

投稿者 worry : 2006年02月10日 16:45

この記事には凄く共感しました。フェミっていえば「男女の自立の問題」で且つその中身は「女性も過労死をするまで男性と同じように働くことを理想にしている」と誤解されているのがホントに残念。確かに「フェミ」と一言でいっても考え方は多種多様だから中にはそのような考えを持っている人がいるのも事実だと思うけれど、私が知っている限り大半は違いますよ!フェミは絶対に専業主婦を否定してもいないし専業主夫だって大歓迎。(もちろん共働きでもシングルでもOK!)女尊男卑でもなく男尊女卑でもない「男尊女尊の社会」が理想だと思うんですけどねぇ。

投稿者 poppy : 2006年02月10日 19:06

カフェグローブの掲示板で「フェミニスト」という言葉が出てくるたびに私も思いましたけど、フェミニスト=ラディカルフェミニストって混乱している人がとても多いですよね。フェミニズムという非常に多角で大きな動きの中のごく一部の一番過激な部分が、なぜか全体のイメージとして誤解され定着しちゃってる。

友人でフェミニズム専門の社会学者に言わせると、専門家の間でも「フェミニスト」の定義は長い間統一的見解が取れなかったそうですが、今はかなり広義な定義で落ち着いているそうですよ。

「全く同じ仕事をしている二人に女性と男性で給料に差があったらおかしい?」と聞かれて「それはやっぱりおかしいと思う」って感じた人はみんなフェミニストなんですって、実は。

投稿者 Koko : 2006年02月11日 02:35

みなさん、たくさんのコメントをありがとうございました! 拝見するたび、すぐにお返事をしたくてたまらなかったんですが、なかなか時間が許してくれず、すみません……。
どの方のコメントにも「そうそうそう!」なのですが、とくにKokoさんの「“それはやっぱりおかしいと思う”って感じた人はみんなフェミニストなんですって」というところにズシンと来ました。その説明、わかりやすくていいですね。
フェミニズムにはいろーんな形があるけれど、基本は人間ひとりひとりが差別されずに自由に生きられる社会をっていうところですよね。こう言ってしまうと抽象的になって、また響きにくくなってしまうのかもしれないけれど……ウウ、難しいです。
オノ・ヨーコさんは私も大好きです。>virginieさん
「ひとりで夢みる夢は/ただの夢/いっしょに夢みる夢は/現実となる」はいつも私のそばに置いている言葉のひとつです。

投稿者 アオキ : 2006年02月16日 00:17

こんにちは。ゴーゴーフェミニズムの記事に共感したのでトラックバックしようとしたのですが、うまくいかず取り消してしまいました。でも、こちらには足跡が残ってしまったのですね。すみません。

kokoさんのコメントはすごくシンプルで共感できました。

それと、二年ぐらいのぞかないうちに、サイトの雰囲気が変わっていてびっくりしました。これも世のながれなのでしょうが・・・ でも、自分にとってイイナと思える部分を拾いつつ、今後も楽しませて頂きます。

投稿者 ろしーた : 2006年02月16日 10:35

いつも拝読しております。

「田嶋さんが男性タレントにブスだのなんだのコキ下ろされている」という箇所は、本件には(例え話にもならず)全く必要なく、ご本人に対し大変失礼な発言です。非常識だとおもわれませんか?
「田嶋さんの評価をしたいわけではない」という断り書きをされていますが、貴殿の発言の影響力を鑑みれば、また、他人の田嶋さんへの評価の引用とはいえ、このような具体的な評価を貴殿のブログにわざわざ記述すること自体が、貴殿の田嶋さんへの評価であるとみなされても仕方がないと思います。何の言い訳にもなっていません。
自分は清廉潔白、というしたり顔で毎度自分勝手な理屈をこねつつ、その一方で他人様の容姿を公の場所で安易にネタにしている、己の姿を一度省みて、恥を知ってください。

投稿者 キミコ : 2006年02月17日 18:47

他人様の容姿を公の場所で安易にネタにしているとは思いませんけど?
田嶋先生はブスで結構と自分で言っているし、青木さんは田嶋先生がブスとこき下ろされているのを見たと言っているだけですよね。キミコさんが正義漢として息巻いても空回りに見えます。

投稿者 roco : 2006年02月17日 23:36

『「見た」と言っているだけ』なのは承知の上でコメントさせて頂いています。(よく読んでください)
問題は、それをここでわざわざ言う必要があるのか?というところなのですよ。それを見て、rocoさんのように「何とも思わない」と思う方も居れば、「へー、田嶋さんはそんなすごい容貌なのか!」と思う人も居るかもしれません。私には「ブスだのなんだの」と書いたのは、ご自身のお話が面白くなるように、ネタとして取り入れたように読めます。(だって、厳密に言えば文脈に必要ないですし)
個人の意見なんだから自由だ、という考え方も勿論あると思いますが、ご自身でも十分認識していらっしゃるように、この方の発言にはある程度の影響力がありますよね。しかもページ自体も個人のブログ等ではありませんし、仮にも取締役ですよ。そのような場所で容姿について書かれる人のことも、考えて頂きたいと思ったまでです。

投稿者 キミコ : 2006年02月27日 11:57

最近は自称アンチフェミの方が(主に性的側面において)
一方的な女性=被害者 の視点で語ったり、
逆にフェミを名乗る方が、性の商品化や性別固定役割に
過剰に賛同したりして、
フェミを名乗る人も叩く人も根底は
「性別の差異を考える」って同じで、
後は個別の議論の問題だと思う。
 
でも、この真っ当なスタンスを
今のところフェミとかジェンダー以外に救い上げる言葉がない。
それを否定すれば、「性別は関係ない、個人の問題」
になるから誤解承知で、使わざる得ない…。
困ったなぁ・・・
とにかく青木さんが「今の時代、男も女も関係ないです」って
タイプの方でないとわかって
断然カフェグローブファンになりましたw
これからフェミ系の記事もいっぱい、取り上げてくださいね!

代替用語を作ったところでどうせ「ジェンダーフリー」みたいに
リベラリングされそう。

投稿者 mi : 2006年05月18日 02:05




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青木陽子
Cafeglobe
ファウンダー・取締役
女性誌編集者時代、自分を含めまわりの女性たちが本当に読みたい媒体がないことに気づき、1999年に現社長の矢野とともにCafeglobeを立ち上げ、6年間編集長をつとめる。現在、パートナーの暮らすロンドンと東京の二重生活を実践中。
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