更新日:2008年5月09日



ロンドンの地下鉄テロ、振り返って日本 その2

カテゴリ:東京  2005年9月03日

   日々の編集作業に忙殺されているうちに、すっかり更新が遅くなってしまってすみません!

   まずご挨拶からさせてください。このたび『Cafeglobe』の編集長を交代することになりました。後任には、長くCafeglobeで一緒にやってきてくれている松本典子が就任いたします。松本ともども、どうぞいっそうのご愛顧をお願いします! とはいえ、私も引き続きCafeglobeの編集には携わって参ります。このページも(タイトルを少し変える予定ですが)続けて参りますので、どうぞ変わらぬご贔屓を。

いわば北関東訛り(!?)の犯行告白ビデオ

   さて、前回続きを書くと申し上げたロンドンのテロ。だいぶ時間が経ってしまったのですが、昨日、イギリス人にとってはショッキングな映像がアルジャジーラで流されました。7月7日の自爆犯のひとりが生前に残したと思われる犯行告白ビデオ。容疑者らしき人物は、「お前たち(you)が民主的に選んだ政府が、私の同胞(my people)に爆弾を落とし、ガスを使い、拷問を続ける限り、お前たちには直接の責任がある。私たちは戦時下にある。私は兵士だ」という主旨のことを無表情でカメラに告げています。

   イギリス人がショックを受けたのは、自爆犯たちがアルカイダと関係があったのかもしれない(そもそもアルカイダが組織として機能しているのかも疑問視されているけれど)……など以上に、イングランド北部のリーズという街のアクセント(訛り)丸出しの容疑者の話しっぷりなのです。勝手な翻訳を許していただけるなら、北関東訛りのちょっと素朴な青年、という感じ。

   ごく普通の、よくいる感じのパキスタン系の自国民が、いとも簡単にイスラムを語ったカルトにはまり、育った社会に向かって突然「敵たちめ、思い知れ!」と暴発する。それも組織的に集まって計画的に犯行をたくらむ。そんな若者たちが自分たちの国の中で次々と育ってきているのではないか、という想像に、イギリスの人たちは背筋を凍らせています。


「南アジア系や東アフリカ系っぽい人が大きな荷物を持って自分の車両に乗ってくると、見ちゃ悪いと思っても、どうしても目の端で見続けちゃうのよね……」と言っていたのは、爆破された地下鉄路線で毎日通勤している友人。疑いの目で見られることに耐えられなくて、外出恐怖症になってしまったインド人学生などもいるらしい。写真は、地下鉄構内のエスカレーターにて。なんとなく人々がキョロキョロしている気がする。

   年の半分をロンドンで過ごす私も背筋を凍らせているわけですが、そこでどうしても考えてしまうのが、ついに人口減少が始まった日本の将来。労働人口を確保するために、女性や高齢者が働きやすい社会を作ることはもちろんだけれど、それでもそう遠くない将来、日本も外国人労働者を受け入れることになるはず。そのとき、日本に来てくれる文化や宗教や肌の色の違う人たちと、私たちはどう社会を作っていくのか。

日本人口のうち1000万人が肌の色の違う人だったら?

   ダイアナ妃にベッカムにと、白人の国というイメージが強いイギリスだけれど、パキスタン系などのムスリム人口は180万人。イギリスの人口は日本の半分だから、日本ならざっと360万人相当。さらに難民申請を出している人や不法に潜っている人も相当いる。アフリカ系やカリブ系、(私も含めた)東アジア系も含めれば、人口の1割弱が非白人。日本で1000万人弱が肌の色の違う人だと想像してみてください。この存在感は大きいものです。

   それでも、人種や文化の違う人たちと共存できる社会作りに関しては、イギリスは世界の中でも相当うまくやってきているほうだと思う。ロンドンは、人種のるつぼと枕詞がつくニューヨーク以上にいろいろな人種の人がよーく混ざっている。テレビの局アナもちろん、タレントもかなり「色とりどり」になってきているし、外食メニューでいちばん売れているのは「チキン・ティカ・マサラ」というカレー(インドにはそんなレシピはない、イギリス生まれのカレー)。

   努力の甲斐もあり、うまくやってきているように見えたイギリス。一連の事件で、反イスラム、反難民受け入れ(テロを賛美するイスラム過激派指導者が、月20万円もの生活保護を受けていたことが判明したこともあり)の声がこのところ高まってきてきているけれど、どう切り抜けるのか。それとも非寛容・排他的になってしまうのか。日本もいずれ通る道、要チェックだと思います。


馬にまたがって我が家の周りをパトロールする女性の警察官。これはじつは冬に撮影したもので(警察官が着ている長いスカートのようなカバーが馬のコートになっているのに注目)、警察が都心に重点配備されている今、我が家のある郊外などではなんだか警察官の姿がやけに少ないような気も……。

【追記 9月8日】
当Blogのタイトルを、「from editor」から「Get Real, Love Your Life」に変更いたしました。
Cafeglobeのテーマでありキャッチコピーであるこの精神を考え、つづっていきたいと思います!


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ロンドンの事件といい、ニューオリンズでの政府の対応の遅さといい、人種問題について改めて色々と考えさせられることの多い今日この頃。
とても興味深いテーマですね。

投稿者 Gin : 2005年09月07日 23:14

Ginさんコメントありがとうございます。
ニューオリンズの被害のひどさは本当に驚きました。ハリケーンのせいで、ふだんは外国の目に触れることのない、アメリカの真の姿が晒されてしまった感がありますよね……。
イギリスのマスコミや人々は、ブッシュ政権をこき下ろす絶好の機会とばかり、おおいに盛り上がっています。Ginさんはドイツにお住まいのとのことですが、そちらの報道や世論の雰囲気はどうですか?

投稿者 アオキ : 2005年09月08日 05:54

ブログ名、変わったんですね。
なるほど。
でも、実生活で超現実的な観点を持っている人ほど、アートや創造的な物事に興味があったりするものですよね。
美術館には知識人が多い。

投稿者 hana : 2005年09月11日 23:25




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青木陽子
Cafeglobe
ファウンダー・取締役
女性誌編集者時代、自分を含めまわりの女性たちが本当に読みたい媒体がないことに気づき、1999年に現社長の矢野とともにCafeglobeを立ち上げ、6年間編集長をつとめる。現在、パートナーの暮らすロンドンと東京の二重生活を実践中。
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illustration / Nakagawa Isami

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