更新日:2008年5月09日



歴史に残るエピック「LIVE 8」体験記

カテゴリ:ロンドン  2005年7月05日

国家的プロジェクトかと見まごう盛り上がり

♪それは20年前のことでした♪
♪これから始まるイベントをお楽しみください♪
♪みなさんはなんて素敵な観客♪
♪さぁ一緒に歌ってね♪

「サージェント・ペパーズ・ロンリーハーツ・クラブバンド」をポール・マッカートニーとU2のボノが歌ってスタートした「LIVE 8」。替え歌かのようにぴったりな歌詞のビートルズの名曲に、観客はしょっぱなから大盛り上がり。

あの「LIVE AID(ライブエイド)」から20年。今回もボブ・ゲルドフ(LIVE AIDの立役者)らの呼びかけに、今をときめく・あるいは誰もが愛してやまない超大御所ミュージシャンたちが次々に名乗りをあげてイベントが立ち上がりました。もちろん今回も、政治的メッセージはこれでもかのてんこ盛り、今週イギリスのグレニーグルで開かれるG8に対し、アフリカなどの最貧国の債務放棄などを正面切って求めています。

日本では地上波テレビでのライブ放映がなかったこともあり、残念ながらそれほどの話題にはならなかったようですが、こちらイギリスではそれはもう国家的プロジェクトかいという注目度&メディアの扱いでした。放映はBBC2という、NHK教育テレビに相当する(もうちょっと大人度・インテリ度が高いけど)地上波が、人気の司会者ジョナサン・ロスを起用して終日オンエア。タブロイド紙・高級紙はもちろん、経済紙の『ファイナンシャルタイムズ』までが歴史的エピックとして一面で大々的に扱う興奮ぶり。


我々ももちろんテレビの前にしかと陣取り。コールドプレイの演奏にリチャード・アッシュクロフト(元ヴァーヴのヒョロヒョロのボーカルね)が飛び入りしたのに鳥肌を立てたり(クリス・マーティンがバックボーカルなんてこんなときでなきゃあり得ない!)、ときどき中継される各都市のライブのローマ編でデュランデュランが出ないかハラハラしたりしておりました。

アナン国連事務総長まで飛び入り参加

細かいことは中継を細かくレポートしているこちらのブログに譲るとして、ブラッド・ピット、ビル・ゲイツなど続々支援表明に現れたセレブの中でも私がもっともゾクッとしたのは、コフィ・アナン国連事務総長の登場と「貧困に喘ぐ声なきアフリカの人々を代表してお礼を言います。Thank you.」という主旨のコメント。


……そしてとっぷりと夜が更けても、まだ同じ姿勢で観ている私たち。ロンドンが11時すぎに終わっても、ウィル・スミス引っ張るフィラデルフィアがちょうど佳境になってきていてなかなかスイッチを切れない。

イベント中も、今この瞬間にもアフリカでは3秒に1人の子どもが貧困が理由で死んでいること――薬さえあれば、栄養さえとれれば助かる命が、地球上の富の偏りのために年に1800万人失われているといったメッセージが、ミュージシャンらの言葉で、映像で繰り返し流されていきます。

とくに今回は、「目標はチャリティのお金集めではなく正義そのものなのだ」というメッセージが印象的。ボブ・ゲルドフは、「普通の人たちがこうして団結することで、G8という世界を変えることができる人たちに要求を突きつけることができる、この動きこそが大切なのだ」と繰り返しアピールしています。そうそう、この一体感! 私たちにも変化が生み出せるんだ、団結すれば、高慢な政治家や利己的な資本を動かせるんだという高揚感に、ハイドパークの20万人だけでなく、テレビの前の私たちも酔わされていきます。


フィナーレ近く、ステージの上には「LIVE 8. G8. BE GREAT.」という文字が。念押しするように、G8に再度プレッシャーということのよう。

引き続き政治にプレッシャーを

もっとも、酔って気持ちよくなって終わりでは全然ダメ。先日のG8財務相会合で決まったアフリカ諸国を中心とする4兆円超の債務削減(じつは日本とアメリカが渋っていた)、最近ブッシュ大統領が公言したアフリカ支援の予算を2倍にすることは(でもブッシュは津波支援のときも公言した額を守らなかったので要注意)、どちらもすでにこのLive8などの動きが背中を押したことはほぼ確実。さらに支援額を大きくしていくこと、アフリカ諸国の政治腐敗や独裁に対して働きかけていくことなどをどこまで押し込んでいけるか、まさにこれが変化への最初の一歩なのでしょう。とりあえずは明日始まるG8の動きに注目です。

また、とりあえず終了したLive 8のムーブメントを引き継ぐ形になっているのが、さまざまな人権系NGOを傘の下に収めた「Make Poverty History」。コンサート出演者たちが身につけていた白いシリコン製のリストバンドはこのアピールに賛同していることの印で、日本でも「ほっとけない 世界のまずしさ」というNPOが共同設立したキャンペーンサイトでチャリティ販売が始まっています。あなたもこれを手首に、世界の変化に注目してみませんか。

●Live 8のオフィシャルサイトはこちら(日本語あり)>


「Make Poverty History(貧困を歴史にしよう)」のホワイトバンド。1つ1ポンド(200円)以上ならいくら寄付しても可ということだったので、多めに寄付する代わりに少し余計にもらってきました。日本バージョンとはちょっと刻みが違うようです。


ホワイトバンドを身につけた友人のモリース。このバンド、男性にやたら似合う。


BBCの推測では、イギリスでは960万人が放映を見たのだとか。イギリスの人口は日本の半分なので、日本にしたら2000万人弱が見たってことで、これはやはりすごいかも。ちなみにこの日はウィンブルドンの決勝なども重なり、週末だというのに街はもぬけの殻に。月曜日の朝、オフィスで口々に交わされたのは「I've got square eyes.(テレビを見すぎると目が四角になると言うことから)」というヒトコト。

その後の追記:
ホワイトバンドについては、当Blogの9月24日のエントリー「ホワイトバンド、反論の反論」として思うところをまとめました。ご覧ください。


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青木陽子
Cafeglobe
ファウンダー・取締役
女性誌編集者時代、自分を含めまわりの女性たちが本当に読みたい媒体がないことに気づき、1999年に現社長の矢野とともにCafeglobeを立ち上げ、6年間編集長をつとめる。現在、パートナーの暮らすロンドンと東京の二重生活を実践中。
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illustration / Nakagawa Isami

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