更新日:2008年7月08日

バスク地方の暮らしとお菓子のレシピ「バスクの砂糖壺」


バスク地方は、フランス南西部~スペイン北部に広がる緑と水のゆたかな土地。お菓子とおいしいものが大好きなマテスク里佐さんのオーブンからは、今日も甘くて香ばしいいい匂いが立ち上っています。里佐さんがバスクで出会い・学んだお菓子やお料理、そして人々の暮らしの様子について、レシピとともにお届けします。

文=マテスク里佐
   

自家製コンポートで、「アンズのチーズクリームタルト」



   昨年のアンズの季節に「真空保存のアンズのコンポート」>>のレシピご紹介をしたところ、たくさんのコメントやご質問を頂戴しました。掲載しといてこんなこと言うのもナンですが、あまりリアクションを期待していなかったので正直言って驚きました!

   と言うのも、日本ではフレッシュなアンズの存在価値というか普及度がどうもイマひとつなんですよね。お菓子に使うアンズといえば、缶詰かドライが主流。私も日本では缶詰をよく使ってました。

   でもよく考えてみれば、日本は“お取り寄せ天国”。たとえご近所のくだもの屋さんで見つからなくたって、生産地から直買できる手段はいくらでもあるハズ。そしてお菓子やジャム作りが好きな人たちにとっては、フレッシュなアンズは心くすぐられるくだものなのだと思います。


このコンポートを作り始めるようになってから、冬にもアンズのお菓子を楽しむようになりました。このタルトも季節はずれの頃によく作ります。

   私のアンズお菓子ファイルの中から今回の掲載フォトは「アンズのチーズクリームタルト」。フランス風アンズのタルトはアーモンドクリームを入れるのが定番ですが、これはウィーン風にフレッシュチーズと一緒に焼き込んだものです。

   数年前、夏のヴァカンス先オーストリアのとある小さな町のコンディトライで出会ったお菓子です。時期はまさにアンズの収穫期。アンズ街道とでも呼べそうなアンズ畑が連なる道沿いに無人販売スタンド(10キロ単位くらいで売ってる!)がたくさん並んでました。そんな印象的な景色と共に、旅の想い出となったお菓子です。


アンズの酸味をおだやかな風味のチーズクリームが受けとめた味。


ウィーン菓子の定番、シュトロイゼル(クランブルのこと)をトッピング。これもまたアンズのおいしさを引き立てる素敵なマジックです。

   レシピ完成までにいちばん苦労したのは、チーズクリームの再現。フランスのKiriクリームチーズを使ってみると、どうもオーストリアで食べたチーズの風味とはかけ離れてしまう……。微妙な塩気がアンズの味とバッティングする感じだし、こってり感がアンズとはミスマッチ。そこで、ふだんよく作ってる“フォンテーヌブロー”(フロマージュブランと生クリームを水切りしたデザート)を焼きこんでみたところ、かなり近いお味になりました!

   アンズのお菓子に関しては、フランス菓子よりもウィーン菓子のセンスのほうに心酔しています。私のアンズのお菓子レパートリーのほとんどはこのお国でひらめきを得たものばかり。オーストリアを訪れるたびに、目を皿のようにして(?)アンズのお菓子を捜し求めています。

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わたしのガトーバスク



   私がふだん作っているガトーバスクは、小さな型で焼き上げるプチ・ガトーバスクです。これは地元で気に入ってるお菓子屋さんで売られてるサイズを真似たもの。フォークではなく手でいただけるお饅頭サイズ(?)が手頃で気に入ってます。プレゼントや手土産にもしやすい点も◎。


こうして積み重ねると、ますます“お饅頭”らしい!?

   私は、タルトやガレットなどの焼き菓子のクルート(焼き色がついたハジっこ部分)がたまらなく好きです。子どもの頃は、タルトの端っこばかり食べて真中部分を残すという荒業をして、母親に怒られていたほど! 小さく焼き上げると、このクルート率が増えて「どこをかじってもクルート!」のおいしさです。

   フィリングには自家製の黒さくらんぼジャムを入れてます。クリームよりも甘酸っいジャムの味のほうが、はるかに自分好みだから。ジャムのストックさえあれば、生地をつくるだけなので気軽に楽しむことが出来ます。


このお菓子をつくるときのいちばん楽しい作業はコレ。黒さくらんぼジャムをスプーンで詰めていきます。

   そして、密かに大切にしてるのが粉選びです。地元の粉挽き屋さんの地粉を買い求めて作ってます。いまやフランスの田舎でもほとんど見ることがなくなってしまったという、昔ながらのムーラン(風車または水車)の粉挽き屋さん。ここバスクにはまだちゃんと残っています。

   私はふんわりしっとりさせたいお菓子にはフランス大手製粉メーカーの特選薄力粉を、ざっくり系の焼き菓子にはムーランの粉を愛用してます。市販の粉よりも灰分が高めなので、少しベージュ色がかった素朴な小麦粉の色。適度なコシ、そして何よりも挽きたてならではの風味の良さ! ガトーバスクのような焼き菓子を作ってこそ、その威力が発揮されます。


濃い目の焦げ色をつけるようにしっかり焼き上げたほうがおいしいお菓子。

   生地やフィリング、そして材料のこと……ここまで3回連続してガトーバスクについて語ってきました。そろそろみなさんのガトーバスク熱も盛り上がってくれていることを期待しつつ(?)次回からレシピのご紹介に入りたいと思います。お楽しみに!


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追悼、おばあちゃんとお菓子の想い出



   この春ミモザの花が満開に咲きほこっていた日に、義祖母が亡くなりました。92歳でした。

   豪傑にしてチャーミング、健啖家の酒豪。90歳まで現役でキッチンに立っていた、根っからのお料理お菓子好き。フランスに到着後、夫に真っ先に紹介された人でした。


お元気な頃はおひとりで飛行機に乗って年に数度はバスクに遊びに来てくれました。これは私の両親の来仏に合わせて来てくださった時の思い出深いフォト。

   初対面の日パリのアパルトマンへ行くと、エレベーターを降りてすぐにお菓子の香りが……。家の扉はすでに開かれていて、モスグリーン色の眼をしてグリーンのブラウスをお召しのおばあちゃんが玄関で待ち構えてました。

   あまりの緊張でどんな風に初対面の挨拶をしたかの記憶はないのですが、家にあがると焼きたてのお菓子の香りでいっぱいだったことを覚えてます。その香りがどんなに私の緊張と不安を和ませてくれたことか!

   オレンジのババロアのシャルロット、ガトー・オ・ショコラ、そして小さなメレンゲの焼き菓子。3種類ものお菓子が用意されてました。小さなボウルには、ガトー・オ・ショコラに添えるためのホイップクリームもおいしそうに泡立てられていて! そして飲み物はコーヒーでもお茶でもなく、きりりと冷えたシャンパン。

   この出会いの日を皮切りに、お菓子を掛け橋に孫嫁として可愛がってもらいました。パリにいくと必ずアペリティフやお菓子の時間に招いていただいたし、レシピノートの写しっこをしたり、レッスンをしていただいたり。お菓子や料理(そしてお酒も)が大好き! 1つ共通の世界を持ってるだけで、世代や環境やコトバの壁を越えて親密度を増せたことが嬉しかったです。

   夫と3人でパリの星つきレストランへ出かけるという楽しい夜もありました。私でも苦しくなってしまうようなポーションのお料理をぺろりと召し上がる姿、シャンパンの豪快な飲みっぷり、思わず笑ってしまうユーモアある言動に、サービスの人が微笑ましいコメントを言ってきたほどです。


レシピが無形遺産だとしたら、こちらは有形遺産。カトラリーやプレート、そしてお茶やお菓子まわりの小道具たち。結婚記念日やクリスマスごとにご愛用の銀製品をひとつひとつ贈っていただきました。どれも大切な宝物。

   私の手元には頂いたたくさんのレシピノートや古いお菓子本が残りました。そして年季の入ったお菓子道具や古い銀製品の品々。これからもずっとずっと、お菓子をつくる度に、お菓子をいただく度にいろんな想い出がよみがえると思います。

おばあちゃんのお菓子とお菓子にまつわるエピソード

●おばあちゃんのお菓子「杏のカトルカール」>>
●おばあちゃんのお菓子「ガトー・オ・ショコラ」、1つのレシピで2つのお菓子に。>>
●只今じっくり解読中、おばあちゃんの古い料理本&大昔のレシピノート>>
●おばあちゃんの得意技、コーンスターチ使いのカトルカール>>
●おばあちゃんからの贈り物、銀のデザート・スプーン>>
●我が家に招いたお菓子講師とは? そう、あの方です>>
●お作法道具の仲間入り、おばあちゃんからの「銀のケーキサーバー」>>


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“小嶋ルミさんレシピ”のシュークリームに初トライ!



   シュークリームが大好き。子どもの頃も、そしていろんなおいしさが分かるおとなになった今でも、変わらずにおいしく感じるお菓子です。そして日本にいたときも、フランスに暮らすようになってからも、同じようによく作ってます。

    シュークリームは私にとってのターニングポイント、お菓子“デビュー”を飾ったものでもあります。19歳の大学生の春、ドキドキして通いはじめたお菓子教室でのファーストレッスンのメニューがシュークリームだったのです。

   あまりに感動して、数日間私の頭の中はシュークリームが独占して夜も寝付けないほどに! しばらく大学の授業なんて放棄して、シュークリーム作りに熱中しました(さすがに数日目には親に叱られて復学しましたけど……)。


愛用レシピを浮気して、今回は小嶋ルミさんの「ミトンズシュークリーム」に初挑戦。クリームのぽてっとした感じ、ほっくりした佇まいは“ミトンズシュー”ならではの可愛さ!

   それに、フランス暮らしをスタートして「さてさて、フランスの材料でお菓子を作ってみよう」とまず作ってみたのもシュークリーム。新境地でのお菓子生活の幕開けもこれでした。

   バター、牛乳、卵、粉、生クリーム、砂糖、バニラ。お菓子の基本素材が全て使われ、高価な材料や特別の道具も必要としないシンプルなお菓子だからこそ、材料の質の違いや出来上がりの差を実感できるのが良いところ。


小嶋さんルセットの特徴その1。「生クリームを分離寸前まで泡立てる」。フランスの生クリームは乳脂肪分が低いので、濃くしたいときは生ミルクの上澄みクリームを足すことによってパーセンテージ調整をしています。


小嶋さんルセットの特徴その2。ひたすら「水分を飛ばすように炊き上げたカスタード」に上記の生クリームを「わざとムラが残るように混ぜる」。確かに画期的な作り方でとても勉強になったのですが、バスクの濃厚素材ばかりで作るとやたらコッテリしたクリームが出来上がってしまう。試食した夫の第一声は「これ、バタークリーム?」……というわけで我が家には定着しそうになく。

   そしてもうひとつ、シューは私にとって「オーブン試し」のお菓子でもあります。今まで何台ものオーブンを使ってきましたが、新調した日にまず焼いてみるのがシュー生地です。オーブンの扉の前でじーっと佇み、みるみる膨らんでいくシュー皮の様子を観察すること30分。熱の廻り方、焼きムラの有無、熱源の強度(特に下火の火力)は一目瞭然です。

   ところで、シュークリームといえば日本の全国津々浦々のお菓子屋さんにだってありますよね? なのにフランスのフツーのお菓子屋さんでは、あまり見かけないお菓子。特にここバスクで見たことあるのは、わずか1、2軒。エクレアは大抵のお店に置いてあるのに……。

   「自分で作らない限り、口にすることが出来ないお菓子」って希少価値(?)も加わり、ますます私のシュークリームづくりに熱が入るのです。


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ゲスト用の朝ごはん、「オーガニック・スコーン」



「バスク6daysの過ごし方」
5e jour 9h00 朝食用のスコーンを焼く

   スコーンをよく焼きます。日本で実家にいた頃はおいしい紅茶が手に入ったときのティータイムのお菓子でしたが、フランスに来てからは“朝ごはん”専用です。

   「スコーンって朝食に使える!」と気がついたのは、かつて夫の友人たちが急遽泊まっていくことになったとき。パンの買い置きがないことに気がつき、「朝ごはんに粉ものがないはマズいっ」と焦った私の頭に閃いたのがスコーンでした。

   「パンの代わりにどうぞー」と焼きたてスコーンをバターとジャムと出したところ、殿方3名から絶賛され(やっぱりフランス人男性ってホメ上手ですからね……)、私はかなり気をよくした想い出が!


今回作ったのは“ざっくり”タイプ。私の7年間のスコーン統計(?)によると、日本人ゲストはさっくりフンワリ、フランス人ゲストにはざっくりがウケる気がする。

   以来いろんな人におだててもらいながら、ゲスト滞在中の朝ごはんに必ず1回は焼いてます。こんなに簡単なのにこんなに喜んでもらえる理由はただひとつ。レシピうんぬんの力よりも、本当の焼きたてを味わってもらってるからだと思います。

   焼き上げのタイミングだけは、神経質なほど気を使ってるので。ゲストがシャワーを浴び始めた頃に準備をスタートすると、食卓についてもらう頃にちょうどタイミングよくオーブンから出すことが出来ます。


お客様との朝食風景は毎度こんな感じです。フランス人にはクロテッドクリームはあまり人気ありません、やっぱりバターがお好き。そしてなんといってもジャムの消費量がハンパない! 5日間で一瓶空になりました。

   木の実やドライフルーツを入れたり、ライ麦粉や全粒粉などをミックスして粉の風味を変えられるところも作り飽きない理由。加える水分も牛乳のほかに、ヨーグルトやフロマージュ・ブラン、はたまたマルカルポーネ(ものすごくフンワリ&リッチなスコーンになります!)やリコッタを入れるときも。

   もはやイギリスのスコーンからはかなり逸脱してますが。冷蔵庫にある乳製品やお菓子のストック素材を自由に組み合わせ(在庫整理という意味合いも)、気楽にアレンジできるところがスコーンの楽しさです。

   今回のゲストはオーガニック意識の高いおふたりだったので、粉の一部は全粒粉、中にはシリアル5種と胡麻、砂糖はカソナードという初アレンジで焼いてみました。

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「オランジェット」のレシピを比較研究してみました!



   「Orangette(オランジェット)」はオレンジとカカオの香りとビターな甘みを楽しむチョコレート。まさに大人のため、大人だからおいしく感じるチョコレートです。

   前回ご紹介したフランス大物パティシエ3名のショコラ本の中から、オランジェットのページをご覧に入れます! 達人たちの思い入れ、こだわり、そして個性をちょっぴりでも感じていただけたら。


ジャン=ポール・エヴァン氏の『Fruits enrobés』。氏のチョコレートのファンの方なら、この写真だけで「あっ、エヴァンだ」ってお分かりかも? オレンジ以外にもジンジャーのコンフィで作ることもオススメしてます。

      ジャン=ポール・エヴァン氏の凛とした美的感がが伝わってくるオランジェット。ブルーのガラス皿にのせられたスタイリング、それが正方形の版型とあいまって素敵な写真。この本の中で、1、2を争うくらい気に入ってるページです。


クリストフ・フェルダー氏の『Orangettes italiennes』。ものすごいアップ写真、オレンジの色が目にまぶしい!

   氏が今まで食べた中で最高のオランジェットは、ヴェネチアの有名レストラン『Cipriani』のものだったそう。「皮に果肉をほんの少しだけ残したコンフィが素晴らしかった」と語ってます。で、ご自分もそれを意識した作り方にして「イタリエンヌ」と命名しているわけです。

   コンフィのレシピの中で、シロップに使う水をわざわざ「ミネラルウォーター」指定しているところがミソ。やっぱり違うの? コンフィ作り好きとしては、とても気になる! そして使用チョコレートはもちろんカカオ70%を指定してます。


ピエール・エルメ氏の『Ecorces d’agrumes confites』。エルメ本の特徴、背景ブラックのマクロ写真が迫力満点。「柑橘類のコンフィ」ということで、ルビーのグレープフルーツ、オレンジ、そしてレモンのコンフィを紹介してます。

   私がこの本で密かに愛読してるのは、エルメ氏の「テンパリング解説」。大型本2ページを割いて文章ぎっしりでレクチャーしてます。いろんな本・著者のテンパリング説明文を読んできたけど、彼の解説ほど分かりやすかったものはない! 天才とは人に教えるのも上手なんだワ、と唸ってしまった。

   以前、何度も失敗して“テンパリング・スランプ”に陥ってしまった時に彼のこの解説をじっくり読んで再挑戦したところ、あっさり復活できた経験があるのです。以来私にとってこの本はテンパリングのおまじない本。

   こんな殿上人の後に紹介するのもナンなのですが、不肖わたくしも『オレンジの丸ごとコンフィ』と『オランジェット』をご紹介してますので、ご参考までに。オランジェット検索で初めて訪れてくださった方も多かったようで、たくさんの反響をいただきました! バレンタインの候補にもどうぞ。

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吟味したマロン・グラッセと「ブッシュ・ド・ノエル」



   昨年のNoelでは、25日お昼の部を我が家が主催しました。ハテ、あの日私はどんなメニューで臨んだのかしらン? 前夜のシャンパンがカラダに残留状態での準備だったし、相変わらずバタバタだったし、写真撮ってる余裕なんてありませんでした。

   唯一お客様が到着する前にカメラに納めておけたのはお菓子だけ。2種類用意しました。ひとつは昨年、義祖母に直伝してもらったクリスマス菓子「くるみペーストのブリオッシュ」。(このお菓子にまつわるエピソードとレシピは、こちらの過去記事をどうぞ>>)。本来こちらはクリスマスの朝食にいただくお菓子です。

   もうひとつ用意したのは、お馴染みブッシュ・ド・ノエルです。夫は「お菓子2つは大変だからブリオッシュだけで充分だよ」って言ったのだけど、「ウーン、それだと私の気が済まないのよ!」と主張してせっせと作ってしまいました。自分がシェフの時は、自分の定番クリスマスケーキだってやっぱり欲しい。そしてそれはやっぱりブッシュ・ド・ノエルなのです。


大学生時代にお教室で習って以来、10ウン年のお付き合いのお菓子です。ジェノワーズにチョコレート・バタークリームというシンプルな組み合わせだけど、飽きないおいしさ、何度でも食べたい大好きなレシピ。デコレーションで雰囲気をガラリと変えることができるのも、このお菓子の魅力のひとつだと思います。夫の家族にもとても好評だったのでホッ。

   ここで私がハタと悩んだのは、ケーキの糖度について。私がフランスで口にするブッシュ・ド・ノエルを激甘に感じてしまうってことは、彼ら(特に祖母!)にとって私のはピンぼけな甘さに感じられてしまうってこと。

   かと言って、お気に入りのレシピをイジるのは絶対にイヤ! そこで私が取った打開策はシロップです。これは日本人仕様の甘さ控えめなお菓子をフランス人仕様にマイナーチェンジさせたい時に、私が使う常套手段。

   生地をホワっとしっとりさせる程度のシロップ塗りが好みですが、この日は念入りにたっぷりジュワーっと染み込ませることに専念しました。お酒好き一家なので香りづけのブランデーの量を増やすことも忘れずに。すると香りが甘みを補強してくれて、だいぶ彼ら好みの濃厚風味なお菓子に変貌させることができるんです(この影の努力、みんな分かってくれてるかな……)。


実は昨年の今ごろ、お気に入りのマロングラッセを探し求めてバスクのショコラティエ数店のマロングラッセを食べ歩いて比較研究してみました。、栗の品質・口触り・甘み具合・グラサージュの美しさなどなど、お店によってかなりお味に違いがあることがよーく分かって興味深かったです。

   あとはやっぱりNoelですから、マロングラッセをアクセントに。日本の御節に栗きんとんがマストアイテムであるように、フランスのクリスマスにもマロンは欠かせない存在です。

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愛され続けて150年のロールケーキ



   東京、パリ、そしてバスク……お馴染みのそれぞれの街に、好きなカフェやお菓子屋さんが幾つかあります。

   そんな自分用のアドレス帳の中で、ちょっと特別な位置を占めているのがオーストリアのコンディトライ。なにせバスクからは遠いので足繁く通うわけにはいかないけれど、こうして夏休みを利用しての訪問は大きな楽しみでありまして。


まずはお菓子の前菜に(?)、オープンサンドイッチをオーダーします。ケーキに負けず劣らず、おいしいです。


日本のお菓子屋さんで出されても違和感がなさそうな“いちごのロールケーキ”です。150年以上前のレシピだなんて!と、ちょっと感慨深くなる。スポンジはふわっとしながらコシがある感触、そして生クリームの爽やかな口どけが嬉しくなるお菓子。


そして、締めくくりはやっぱりコレ。オーストリアにいるって実感が湧いてくる「アイス・カフェ」。コーヒーは苦手なのに、コーヒー使いのスイーツ好きにはたまらない味。

   人気店や有名パティシエ、そしてお菓子の流行が次々と塗り変わっていく状況とは縁遠く、ウィーン菓子は老舗店で職人技に支えられる伝統菓子が主流。新作のお菓子など見当たらず、創業以来の古いレシピで作り続けられてるお菓子が大多数です。でも、古臭いどころか逆にとても斬新に感じられる! これぞウィーン菓子の魔法といえましょう。

   今年で4度目の訪問を果たした、コンディトライ&カフェ『Zauner(ツァウナー)』。毎回せっせと違うお菓子をいただいてますが、まだこのお店のラインアップの半分も制覇していないかも! ウィーン菓子の底力を知り尽くすまでの道のりはまだまだ長いのです。


ザルツブルグ界隈ではつとに有名な老舗コンディトライ。別荘滞在中の旧皇室御用達店としても名を馳せています。宿から車で30分の距離ですが、足を運ぶ価値のあるお店!

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マカロン100個が瞬く間に消えた日



   引き続き、ビュッフェ・パーティの模様をお届け。今回はお菓子編!

   来客日のお菓子の献立。これを考えるのは、とても好き。お菓子日記やノートを見ながら、「アレを作ろう、これを作りたい」「ああしてこうして、あのお皿に盛って……」と、夢想するのが楽しい。


お菓子候補を挙げていく中で、最後まで外せなかったのはマカロンとチョコレートのお菓子。手で取りやすいのでパーティ向き。

   おもてなしって料理を作る段階よりも、献立メニューを考える時が大変ですよね。客人のお国柄、嗜好やスタイル、年齢、そして材料や時間と手間リミットとのバランスを考えながら悩むのが、ひと仕事でもあり楽しみでもあり。

   特に今回みたいに、50人中大半がフランス人で日本人は少数派なんていう場合、フランス人の嗜好と食べる量(やっぱり大人も子どもも、日本人より食べます!)を優先しないといけないし。

   私はいつも、料理よりも先にお菓子の献立を決めてます。楽しいことから考え始めると、すんなりイメージが決まっていくので!決して「お菓子が主役なパーティ」にしてはいけないけれど、「最後のお菓子もおいしく食べてもらいたい」っていう思いを大切にしています。


唯一、前もって作っておいたのはマカロンだけ。数日前に準備して冷凍保存させました。100個近く作ったのだけど、あっ!という間に消えてしまった。フレーバーは、カフェ、いちご、レモンの3種。


子どもたちが集まる場にチョコレートは外せない。ありったけのシリコン型で焼いた、フォンダン・オ・ショコラ。出す直前にほんわり温め直しました。

   とは言っても、冒険は禁物! 来客の日に、いきなり初挑戦するお菓子や、デコレーションに気合が入るお菓子は避けるべし。既に何度も作って、手と頭に作業が叩き込まれているくらいのお菓子を作るようにしてます。でないと、時間のロスにもなってしまう。

   手軽に作れて、ビュッフェに向いていて、みんなに好まれるお菓子。今回は5点の候補から、最終的に3点のお菓子に絞り込みました。果物2kgで作ったクランブル、マカロン100個、チョコレート500g分のフォンダン・オ・ショコラ。

   これが瞬く間に皆さんの胃袋に消えました。ひとつのお菓子をビュッフェ台に運び、台所で次のお菓子を盛っている間に、ひとつめのお皿は空っぽ……。爽快だったけど、焦りました。「お砂糖に群がる蟻んこみたいっ」と言い方は失礼ながら、ほんとそんな感じだったので。


この豪快な食べっぷり! 作り甲斐があるってものです。

   てんやわんやで写真を撮る余裕がなかった私に代わり、フォトグラファーとなってくれてたT子さん、ありがとう。特に、ロゼンヌちゃんのガブリショットは傑作です。お陰様でご覧の通り、記事にすることが出来ました!

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夏の定番デザート、「自家製あんずソースとババロア」



   前回に引き続き、あんずアルバムのお菓子から。「あんずソースとババロア」。これまた懐かしくて郷愁を誘うお菓子、ずっと昔から作りつづけているお菓子です。

   毎年あんずのコンポートを作り終わると、まず最初に作ってみたくなります。その年のコンポートのお味を確かめるという目的もかねてます。


夫のおばあちゃんから頂いた、ご愛用だった古いガラスの器。こういうレトロなお菓子がとても似合います。

   つるんとした口どけと、バニラの香りのカスタード。これに、冷たいあんずのソースはこれ以上ないほどマッチする!ソースというよりも"あんずのスープ"というくらいに、たっぷり流していただいてます。

   ババロアって、日本のお菓子本の常連ですよね。ところが意外なことに、フランスではあまりお目にかかったことがないお菓子。70年代頃のお菓子本には必ず載っているのですが、今時のお菓子本にはあまり登場しません。

   もはやクラッシックすぎるお菓子なのかしらん?それでも人気は健在。お客さんの日などに作ってみると、素直に喜んでもらえます。


私にとって冷菓といえばこの型。物心ついた頃からゼリーやババロアはいつもコレだった。母のお下がりだから、もう40才以上!アルミ型は錆び知らずでお手入れがラクで、重宝します。

   ババロアは、ドイツのババリア地方に古くからあった飲み物が起源だというのは有名な逸話。私も幼い頃、家にあった大御所・今田美奈子先生の本などを読みながら、ヨーロッパのお菓子ストーリーに心ときめかせていたものです。

   ここ数年、ババリア地方に実際に何度か足を運ぶことができました。ババリア地方で本場のババロアを食べてみたい!と期待はしていたものの、レストランのデザートではやはり出会えず……。

   そこでミュンヘンの本屋さんで、「ババリア家庭料理」を紹介する本を1冊買ってきました。すると、ちゃんと載ってました!「ババリアン・クリーム」なる名前で。長年の探し物をようやく見つけたみたいな気がして、嬉しかったです。

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懐かしのお菓子、「あんずのカップケーキ」



   私のお菓子アルバムの中から、あんずのお菓子をピックアップしてみます。

   選んでみたのは、ちょっとノスタルジックな、子どもの頃から食べていたような、お母さんが作ってくれたようなお菓子たち。フランスでも、あんずはレストランなどのデザートよりも家庭のお菓子に使われがちな果物。こういう風情がしっくりくる素材だと思います。

   まずは、シンプルなカップケーキから。子どもの頃、私はこういうお菓子をよく食べていました。


自家製あんずのコンポートをのせて、こんがりキツネ色に焼いたカップケーキ。缶詰めのアプリコットみたいにツヤピカしてないけど、この自然な色合いが好きです。

   当時、家族でアメリカに住んでいたのですが、その頃に我が母のお菓子つくりは黄金期(?)を迎えました。なにせ渡米したのは'79年、日本とアメリカの生活レベル格差は今の数倍もあった時代だから、母がカルチャーショックを受けたのは当たり前。

   広々キッチン、巨大強力オーブンに、ディッシュ・ウォッシャー。家が決まったとき、「お菓子をたくさん作らなきゃ!」と意欲がみなぎったそうな。

   次から次へと新作お菓子を作ってくれたので、子どもとしては「うわぁ、ラッキー!」って感じでしたね。みるみるうちに、母のお菓子道具や型が増えていくのを見るのも楽しかった。マフィン型もそのうちのひとつ。

   通ってた小学校で、自分のお誕生日にママ手作りのお菓子を持参して、クラスメートにふるまうという風習がありました。みんなが持ってくるお菓子は、判で押したようにマフィンだった! でも、大抵は私の苦手なマフィン・ミックスの味(私のアメリカの菓子に対する偏見と恐怖心は、この時代に芽生えてしまいました……!)


カトルカールのアレンジ・レシピ。フランスに来てから、大好きなフロマージュブランを入れて焼くようになりました。ほのかなチーズの酸味があんずに合います。

   「お母さんのカップケーキのがおいしい……」と心の中でボヤきながら、アメリカン・ママ達のマフィンを食べてました。私とマフィンのほろ苦な(?)想い出です。

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苺のフォンテーヌブロー・クープ



   先月、記事の中で「ショートケーキのないお菓子の国」という書き方をしたところ、cafeglobeのしろいしさんから「ショートケーキって日本のお菓子なんですか?」という質問をいただきました。


「いちごのショートケーキ」、グラス版。

   そうです、こちらのフツーのお菓子屋さんには苺のショートケーキは存在しません。これはフランス菓子ではなく、ニッポンのお菓子。食べたことないのだから当然、フランス人にはウケないお菓子です!

   以前、友人宅で総勢10人くらい(ニッポン人は私だけ)でお茶をしたときのこと。お盆に並べられた『Sadaharu Aoki』の美しきお菓子たちを、ひとりづつ好きなものを選ぶことに。ヘーゼルナッツやピスタッシュ、チョコレートを使ったものあたりから消えていく……彼らのチョイスを観察するのは、なかなか興味深かったです。

   そんな中で、「いちごのショートケーキ」が日の丸国旗のごとく、ぽつねんとした佇まいに見えてしまった。で、これを嬉々として選んだのはもちろん私ひとり……。私にとっては、懐かしさが先にたつ、和スイーツみたいな感覚なんですよね。

   「苺ショートケーキを、フランス人にウケさせる」は、私のちょっとした課題テーマです。先日、おもてなしの日に作ってみたのがこちら、「苺のフォンテーヌブロー・クープ」。とても評判が良かったです。もちろん、日本人も大好きな味です(でなきゃ、私だって作りません)!


私はグラス・デザートが大好き。おもてなし時、お料理もお菓子も作って(そして掃除もして)となると、さすがにかったるい時もあり。そういう時、ちゃちゃっと作れて、手抜きをバレさせない(?)のがグラス・デザートだと思う。いわば自分の救済策!


生地は、ふわふわジェノワーズを避けて、シュワっと軽いけどしっかり焼いたビスキュイ生地。


バターたっぷりは平気なのに、ホイップ・クリームたっぷりのお菓子には拒否反応を示すフランス人は多い(これまた興味深い現象だと思う)。そこで、クリームはフロマージュブランを使った「フォンテーヌブロー」にしてみました。

さて、「“フォンテーヌブロー”って何?」という方、次回ご紹介いたします!
お楽しみに。

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おすすめの新刊本2冊、マカロンづくりの参考書



   ここ最近、フランスの大抵の書店でお菓子本コーナーにドーンと平積みされているのがこちらの2冊。

   パリ風マカロンの教習本です。出るべくして出た、待望の本ですね。

   レジのお姉さんが「マカロン、マカロン、マカロン~♪」と鼻歌を歌ってきたのには笑ってしまった! お菓子の本を買うとき、レジの人にこういうリアクションをされることって、フランスではよくあります。「店員さんとお客さん」という位置関係ではなく、個人対個人の関係だから。日本の本屋さんでこんな反応されたら引いてしまいそうですけど……。


左は、クリストフ・フェルダー氏のシリーズ本の第6弾。この中で今一番心惹かれるのは、「フォアグラ・マカロン」! ハレの日のアミューズに作ってみたい。

   さて中身はと言いますと、かなり細かい説明に全行程の写真付き。日本では普通でしょうが、フランスでここまで親切な本って案外少ないので、それだけで好感度大。マカロンを美しく染色するための着色料使いのコツなんかは、とても参考になります。フランスでも、こうした“リアルなお菓子本”が増えてきそうな予感? 今後のお菓子本モードの流れが楽しみです。

   それにしてもマカロンの威力ってスゴい。喜ばれる度合いが他のお菓子とまるっきり違うんですよね。フランス人(とくに女性)にプレゼントすると、“感無量”といった表情で喜んでもらえて、頬っぺに熱い(?)キスを授かりますから。とても作り甲斐があるお菓子だと思います。


私は教室で教わったレシピを愛用中。生地状態と自分のオーブンでの焼き加減のマスターに励みました。一旦習得すれば、どんどん世界が広がる素敵なお菓子。

   でも、パリのお菓子の先生いわく「配ってばかりいると、そのうち当たり前に思われて感謝されなくなるから要注意ヨ」。なんとも含蓄のあるお言葉! レシピと同じくらい大切なことを教わった気がした……。

   実は今度、フランス人奥様方(夫友人妻たち)にマカロン・レッスンをする予定です。日本人の私がパリジェンヌにマカロンを教えるなんて僭越行為かもしれないけど、お菓子作りなら語学ハンデもカバーできるしネ、という思惑もあり。お菓子は私の社交にとって、恰好のコミュニケーション・ツールなのであります。


コーヒー&ショコラの組み合わせが好きな私は、カフェ・マカロンにガナッシュを挟むのが好み。しかし、こうみると「もなか」に見えなくもない!

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「懐かし系」がお好き? フランス人女性が選ぶお菓子本



   先日、立て続けにふたりのフランス人女性からお菓子の本をプレゼントされるという幸運にめぐまれた私です。パリに住み、しっかり仕事をしながら妻・母業もこなしている多忙な日々の中、ちゃんとお菓子だって作ってしまうような女性たち……。バイタリティ溢れる女性は、気遣いの達人・プレゼント選びの達人でもあります。

   同世代のこういうフランス人女性が選ぶ料理本とは、一体どんなもの? 本をプレゼントされるという嬉しさと同時に、ものすごい好奇心が沸いたことは言うまでもありません!


横長の小さな版型、そして暖色系の表紙。コンセプトがそっくりな2冊のお菓子本、どちらも2006年刊行本。フランスの女性には、こういう本が圧倒的に人気なのでしょうね。

   偶然にも2冊の本がとても似たスタイルの本だったことに驚きました。有名パティシエの豪華本でもなく、きれいでお洒落な写真が載っている本でもない。どちらも写真がついていない「昔懐かし系」のお菓子本です。当たり前ですけど、フランス人にとってのフランス菓子は特別なものでも非日常的なものでもないわけで、だからこそお菓子屋さんでは買えないお菓子、家庭的なお菓子にこだわる人が多いのだと思います。

   シンプルなレシピの横に、ふんわりしたトーンの絵が描いてある。この絵がなんとも女心をくすぐってくれるのです。お菓子がある風景っていいなぁ……。そういう温かな気持ちを高めてくれる効果は写真以上! もともと絵本料理本には弱いタチなので、すっかり気に入って何度も手にとって眺めています。

   タルトやサブレ、オーブンで焼いたシンプルな果物デザート。紹介されてるお菓子はどれも馴染みの家庭菓子ばかりです。例えば「タルト」っていうとどこか肩の力が入ってしまう人でも、こういう本を手に取れば、ちょっとハードルが低く感じるのではないでしょうか。


とてもフランスらしいイラストの数々。

   件のふたりにもお手製タルトをご馳走になったことがあります。ブルーベリーのタルトとりんごのタルトでした。料理が好きな彼女たちだからかもしれないけど、生地もちゃんと手作り(市販の生地を使う人もかなり多いご時世なのに)していて、ただただ尊敬。

   仕事帰りに子どもの保育園からのピックアップ、平日の夜8時に自宅ディナーに招待してくれることだけでもスゴいのに、ちゃちゃっとお手製タルトも焼いてしまうのね……。フランス人女性のパワーをこういう時につくづくと感じます。今度、私も日本の料理本をプレゼントしたいと思う(うーん、どんな本が喜んでもらえるでしょうね)。


こちらのお菓子本は、全国の「おばあちゃんのお菓子」投稿レシピを集めたもの。レシピの由来なんかも載っていて、読んでて楽しい。

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我が家に招いたお菓子講師とは? そう、あの方です



   12月のある日、我が家に「お菓子の講師」をお招きしました。

   暖房を全開にし(我が家は「耐えられないほど寒いっ」とおっしゃるので……)、冷蔵庫にはキンキンに冷やしたシャンパンを用意し、台所で腰かけてもらえるように小さな椅子を用意しました。その講師とは、夫のおばあちゃん。まさにご老体に鞭打っていただいて実現したレッスンでした。

   一緒にお菓子をつくったのは実に数年ぶり。今よりずっと体力があった頃は、彼女が自ら作ってくれるのを私が横で見守ったけれど、残念ながら今回は逆。おばあちゃんが口頭で指導してくれるのに従って私が手を動かす、というレッスン方式にしました。

   習ったお菓子は、「胡桃ペーストのブリオッシュ」。ブリオッシュ生地で胡桃のペーストをくるっと巻いて焼いた、滋味あふれるパン菓子です。私も今まで何度ご馳走になったか数えきれない、十八番中の十八番レシピであります。


おそらく普通の日本人にとっては、未知なる味わいのお菓子だと思う。私も初めて口にしたとき、新しい味覚との出会いを感じました。

   今回改めて知ったことですが、おばあちゃんが26歳でお嫁入りしたときに、お姑さんから「家の味」として教わったお菓子だそう。女の歴史が詰まったお菓子であります。

   以来昨年までの64年間(!)、年に数度は作り、そしてクリスマスの朝ごはんは必ずコレという慣習となっているもの。私にとっても、すっかり嫁ぎ先の「クリスマスの朝の味」と化しています。これがないとクリスマスの朝って気分にならないから不思議……。


年季の入ったご愛用ブリオッシュ型も引き継ぎました。使い込まれていながらもコンディションも良くって感激。私にとっては、高価な骨董品級のお宝モノです。

   そんな訳で、いつか必ず教わっておかなければいけなお菓子でした。おばあちゃんもずっとその機会をうかがっていたようです。しかし、「教えてあげるわよ」とは決して言わず、私が「教えて」と自発的に言い出すのをずっと待ってくれていた。こんなところにも、おばあちゃんの懐の大きさを感じます。


頂いたノートをチェックしてみたところ、どのノートにもこのお菓子が載ってました。ノートを新調しても、このお菓子だけは必ず写し書いていたのです。お菓子の名前は「おかあさんのブリオッシュ」となっています。おばちゃん、可愛い……。

   果たして行ったレッスンは、ハプニングあり笑いありの数時間でした(シャンパン飲みながら……)。無事に焼きあがった時は、お互いの顔を見て笑ってしまいました。

   それにしても今回のレッスン実現に向けて誰よりも張り切り、出来上がったお菓子に歓喜していたのは、まぎれもなく夫! 子どもの頃からの「クリスマスの朝のおばあちゃんの味」を、まさか私が引き継ぐことになろうとは想像していなかったみたいです。

   次回、レシピをお届けします。お楽しみに!

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バター量はヒ・ミ・ツな「ガレット・デ・ロワ」



   新年といえばこのお菓子、「ガレット・デ・ロワ」の季節がやってまいりました! クリスマスのお菓子と入れ替わるようにしてお菓子屋さんの店頭に続々と登場してます。

   折込パイ生地の中にぎっしりとアーモンドクリームを敷きつめた、これぞフランス菓子の真骨頂とでも言うべき伝統菓子。フランス人なら老若男女みんなが愛してやまないお菓子でもあります。

   このお菓子を食べているときの人々の嬉々とした表情といったら……。フランス菓子の本質、フランス人とお菓子の濃密な関係をしみじみ感じる瞬間です。


バイヨンヌのパン屋さんMauriacのガレット・デ・ロワ。ここのパイ生地は良質のバターを使ってるのがよーく分かります。

   実は自分でこのお菓子を作ったことは一度もありません。そして、これからもきっとないだろう……。今月中はこれを口にする機会がとても多いので、さらに自分でも作っていたりしたら大変なことになりそうだから。

   何と言っても折パイ生地とアーモンドクリームのコンビですもの。バター摂取量はフランス菓子の中でもピカイチなお菓子ではないでしょうか。これを何度も口にするのはさすがに避けたい、っていうのが本音。

   私はお菓子をつくるとき、カロリーのことは全く忘れてます。気にするくらいなら最初っから作らない方がマシって考え。あくまで作りたい気持ちを優先です。ただし、食べるときに全く意識しないかと言えばウソです! 特にフランスのお菓子屋さんのお菓子などは、日本のそれよりポーションも濃度も大柄なので、頭の中で使用バター量などを空想計算しながら心の中で冷や汗……なんてことがよくあります。


ガレットにフォークを入れる瞬間……いろいろな思いが頭の中をよぎる。

   昔、自宅に友人を呼んでお菓子つくりをしたときのこと。私がいとも平気な顔をしてバターの塊を用意してるのを見て、彼女が小さな悲鳴をあげました。「エっ、こんなにバター入ってんの!?」。その叫びを聞いて、逆に私はとても新鮮な感情をおぼえました。お菓子の内訳を全く知らないでいるのも、ある意味幸せだなぁと。

私は、自分の中に一線というものを引いてます。「これを超えたらちょっとマズいんでないの?」という一線。それを超えているお菓子の1つがガレット・デ・ロワです。そしてその線引きの基準は、1ポーションあたりの摂取バター量が〇〇g以上という数値。〇〇の数値は敢えて内緒にしておきますね。皆さんを恐怖させるといけないので……。

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食感に特徴あり! フランス南西部の地方菓子



   ガスコーニュ旅行中、私がとても楽しみにしていたお菓子があります。その名は「croustade(クルスタッド)」。フランス南西部一帯で親しまれている地方菓子です。

   バスクもこのエリアに含まれているとは言え、ガトー・バスクという押しも押されぬ地方菓子があるせいか、クルスタッドの存在感はイマひとつという感を否めません。

   ガスコーニュへ行ってみると、どこのお菓子屋さんの窓辺にもこのお菓子がお行儀よく並んでました。クルスタッドの本拠地はやっぱりガスコーニュなのね! 現地でしかと確認できる、こういう楽しみはフランス地方旅行の大きな愉しみです。


驚くほど地味な佇まいのお菓子屋さんを発見。剥き出しの金属パイプに板を並べた台にお菓子が並んでる……! ちょっと寂しい、だけど妙に好奇心をそそられました。

   名前の語源は、croustillant(形容詞)「パリパリしている」。

   名は体を表すの如く、食感が身上のお菓子です。透けるくらい薄い生地を何層にも重ね、アーモンドクリームと果物を敷いて焼き上げます。クシャクシャっと無造作に焼き上げた上の部分はパリパリしている、いやパリパリしてなくてはいけないお菓子です。

   当然、焼き立てはとっても美味! でも逆に言うと、焼いてから時間がたてばたつ程、パリパリ→ふにゃふにゃ→グニャグニャな食感に。これほど食感の劣化が激しいお菓子も珍しいと思います。以前、買ってきたクルスタッドを口にしてみて「あれ、コレ何かに似てるー」と考えて、それが「翌日の春巻き」だと分かったときはちょっと悲しかった……。


昼食のデザートに注文。パリパリ感はまあまあでしたが、中のレーヌ・クロード(プラムの一種)のお味が爽やかでとても美味でした。

   「パリパリ」と言えば、先日パリの某チャイニーズ・レストランでパリパリの究極(?)なる北京ダックを食べに行ったときのこと。中国人の友人と一緒だったので、オーダーは全て彼女に任せました。オーダーし終わった後、彼女がわざわざマネージャーを呼んできてマンダリン語で強い調子で何かを言い、彼の表情が一瞬曇ったかのように見えた……。

   「今、何て言ったの?」と彼女に訊ねれと、「『まさか昨日の残りなんて出さないでしょうね!ちゃんと焼き立てを頂戴よ!』と言っておいたのよ」だって……。普段おっとりしているのに、果敢にお店の人を挑発する様子に笑ってしまった。そして、ますます彼女のことが好きになった私です。はたして出てきた北京ダックは、それはそれは素晴らしいパリパリ感でした。

   おいしいものって、受身な態度では手に入らないのかもしれない。彼女みたいに、こちらも充分に気合を見せて相手をタジタジさせるくらいでなければ。例え同じ店で食事したとしても、おいしいものを出してもらえる人と出してもらえない人、という差は絶対に存在するはず。そしてそれは、日本よりも海外ではより顕著な気がします。

   クルスタッドを注文するとき「まさか、昨日のじゃないでしょうね!」と言える勇気、私も欲しい……。

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お菓子の香水、今秋の新顔は「アルマニャック」



   我が家のリキュール棚に新たな瓶が加わりました。Pruneaux à l’Armagnac「プルーンのアルマニャック漬け」。ガスコーニュ旅行中に見つけました。

   アルマニャックはワインから作られる蒸留酒、ガスコーニュ地方の特産品です。葡萄畑沿いの道を車で走っていくと、アルマニャック醸造所が幾つも。去年、年代もののアルマニャックをお歳暮に頂いたので、ほんとは買うつもりなんてなかったのだけど……美しい葡萄畑を眺めているうちに気分が盛り上がってしまい、買ってきました。

   こうして新しいリキュールを旅先で見つけると、私が真っ先にトライしてみるのがバニラアイスクリームとの組み合わせです。アイスクリームの上にぽたぽたっと垂らし、アイスクリームごと「試飲」します。

   そのままグイっと飲むにはアルコール度数が強すぎる場合も、アルコール分をさほど感じずに、香りをしかと確認することが出来ます。そして大抵の場合、とってもおいしく感じて「もっとかけちゃえ」と増量する羽目に……。


先日の来客ディナーの際も、この簡単デザートに。バニラアイスクリームとアルマニャックとプルーン、そして簡単なガトー・セック(ダックワーズ生地をフィンガー風に)を添えて。思いのほか好評でみんなお代わりをしたので驚いた。やっぱりシンプルでおいしいものが一番のご馳走なのね、としみじみ。

   香りの特徴、バニラとの相性、そして、どんなお菓子や果物に使おうかな……と、そこからどんどんイメージを膨らませるのが何より楽しい。うーん、やっぱり私にとってお酒なしのお菓子作りは考えられません。

   ちなみに、写真のリキュール棚は今年の春に馴染みのブロカント(古道具屋)で一目惚れ、即断でオーダーしたもの(ひとりで家具を即買いしたのは初めての経験!)。楕円型の棚の側面がぐるりとガラス張りになっているので、瓶の姿が透けて見えます。


今回改めて数えてみたところ、所有リキュールは20種ほど。登場回数がダントツ多いのは、相変わらずグランマルニエ、コニャック、ラムですが。使用頻度が少ないものは、来客時の食前酒などとして消費。

   中身もさることながら、お酒の瓶のデザイン性もかなり重視している私にとって、願ってもない家具なのです。模様替えのつもりで時々瓶の位置を入れ替え、目でも楽しむことが出来るので。当分のあいだ、アルマニャック瓶がこの家具のアリーナ席を陣取りそうな気配です。

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お誕生祝いの焼き菓子セット、あの日本の銘菓も!



   今年もこの時期がやって参りました。実は一家にとってはクリスマスよりも大事なイベントなのかもしれない、夫の祖母のお誕生日。先日91歳のお誕生日を迎えました。

   惣菜屋さんでアペリティフから料理、ケーキまで注文。シャンパン(おばあちゃんの命の水!)もたくさん持参し、養護ホームの自室でお祝いしました。今年はお誕生日ケーキを作るという大役はありませんでした。でも、やっぱり何かお菓子を作ってさしあげたい! 私とおばあちゃんの間の最大にして最強な絆はお菓子つくりなので。

   そこで今年作ったのは、焼き菓子の詰め合わせです。ホームの朝食に出てくる乾いたバゲットには辟易としているご様子のおばあちゃん、ここ最近は自室で市販のカトルカールなどを朝食にしている、という寂しい話を聞いていたこともありまして……。朝ごはんが楽しくなるように、ちょっぴり元気になってもらえるように。という気持ちを込めて焼きました。


おばあちゃんからいただいた銀のお皿に盛り込みました。手前から、「レーズンサンド」、「オレンジピールのカトル・カール」、「木の実のサブレ」。


日本で食して以来、「日本の洋菓子界の一大銘菓だ!」と夫が絶賛するレーズンサンド。小川軒の発明品ですね。私も大好きなので、今回メニューに取り入れてみましたが。さて、おばあちゃんの反応やいかに?

   その他プレゼントしたものは、相変わらずファンデーションやチークなどのお化粧品、そして香水。これが一番喜んでもらえる品物です。ホームの食堂に降りていく際も、部屋着から外着に着替え、きちんと白粉とチークそして口紅をつけているおばあちゃんですから。

   ちなみに彼女曰く、「エっ、90代なのにまだお化粧するんですか?」という台詞、これほど心傷つく野暮な台詞はないそうな。高齢の女性は女を捨てて当たり前、という失礼極まりない発想ってことです。私も深く納得しました。若い頃に美しさが際立っていた人だからこそ、幾つになっても出来るだけ綺麗でいたいと願うのは極当然な女心なのだと。そして、綺麗でいようという気力こそ生きるための活力になるのだと。

   おばあちゃんを見ていると、ハッパをかけられる気持ちになります、30代ごときでお化粧をめんどくさがったりするなんて、とんでもない話なのね……。

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フランスの田舎のお稽古事事情



   先月からお菓子教室に通いはじめました!とは言っても、パリのお教室なので不定期参加にさせてもらってますが。こうして同じ先生にきちんと継続して教わるのは実にン年ぶり。久しぶりの充実感(紹介してくれたK.Eさん、ありがとう)!


習ったお菓子その1、「いちごのシャルロット」。華やかでいかにもフランス菓子然としてます。

   教室といえば、先日こちらのコメントでこんな質問を頂きました。「バスク旅行に行く予定ですが、地元に料理教室はありますか?」。素っ気無いようですが、答えは「ありません」。私も来仏当初は、地元の人に尋ねたりして探していたのですが……。本当に見つかりません。

   日本やパリにはあんなにあるのに、なんでここにはないわけ!? 地方暮らしって損だワー、と恨めしく思ったこともあります。が、この土地の地味で堅実な暮らしぶりに感化され始めると、諦めにも似た理解の感覚を持つに至りました。日本が、パリが、特別なのよね……と。

   何年か住んでみて私なりに分析したその理由。まずは、優雅な専業主婦の数は少ないです。シビアに言ってしまうと、経済的にも時間的にもお稽古事に費やす余裕ある人は意外に少ないってこと。料理=家事の1つを習うなんて、非常に贅沢なお遊びなんですね。

   あとは、料理や味に対して、フツーのフランス人はフツーの日本人ほど貪欲じゃない気がします。悪く言えば保守的、良くいえばとても節操がある。隣国イタリアの料理ですらあまり普及していない点からいっても、この貞操観念(?)はある意味尊敬に値すると思う。

   かく言う私は……良く言えば好奇心旺盛、悪く言えば節操がない日本人代表の1人です。だって、いっつもガトーバスクでは飽きてしまうし、シャルロットやマカロンもいいけど、バームクーヘンだって素敵だし、ウィーン菓子のクラッシックなおいしさも捨てがたい。そして、自分でも作ってみたいという願望がある。この気持ち、「お仲間」の方にはきっと分かっていただけるでしょう。


習ったお菓子その2、ビスコッティ。実は手作りものは初めて、美味!

   日本は、ありとあらゆる文化圏の食べ物が手に入るし、お教室や学校に行けば技術もしっかりと教えてもらえるスゴい国だと思います(手間とお金を惜しまなければ、という条件つきですが)。日本人の研究心、器用さ、勤勉さの賜物ですね。これは、食の国と呼ばれるフランスの地方の実態を目の当たりにするからこそ、感じることです。

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モノが文化を語る、フランスのジャム用グッズいろいろ



   フランス人の食卓に、ジャムがいかに欠かせないものか。ジャム作りという家事が庶民の楽しみとしてどれほど根付いているか。これを実感できる場所は4つあります。

   1つ目、言わずもがなのジャム売り場。さすがに種類が多いです。1つをじっくり選ぶっていうよりも、大雑把に数種類をぼんぼん籠に放り込んでる姿をよく見かけます。消費ペースは日本人の数倍のはず。

   2つ目、書店や図書館の料理本コーナー。ジャム本の多さは、日本の比ではありません。お菓子作りとは別個のジャンルとして親しまれているのが分かります。


ジャム作りをきっかけにハマったもの其の1、古いジャム瓶収集。形、底面のデザイン、ガラスの色、気泡の入り方。どれも個性的で愛着が湧きます。

   3つ目は、スーパーのジャム用品売り場。これがジャム文化の濃さが一番あらわれている所かなって、思います。作るための道具だけではなく、保存アイテムが充実している点が特徴です。サイズ・密閉方式いろいろな保存瓶。そしてセロファン、固形パラフィン。初めて目にしたときは「なにコレ?」だったのですが、自分がヴィンテージの瓶を使い始めて納得。古い瓶には蓋がないので、セロファンやパラフィンを使って密閉させるわけです。


蓋の代わりをするセロファン・シート。ラベルシールとゴムがセットになって売っている。


こちらは固形パラフィン。鍋で溶かし、ジャムの上に流し固まらせることで密閉します。ヴィンテージ・ジャム瓶での長期保存には不可欠。

   ジャム用品売り場を眺めていて面白いのは、土地柄・客層によって充実度に差があることです。若い共稼ぎ夫婦などで賑わう大型店よりも、年配世代が平日にちょろっと買物するようなご近所スーパーの方が品揃え豊富です。我が家から徒歩圏内に、買物欲を失わせるようなシャビーなスーパーが1軒あるんですが、ジャム用品コーナーだけはすごい充実ぶりでなんだか微笑ましい。

   そして最後は、朝ごはん風景。皆さん、ぺたぺた塗るというよりも、こんもりのっけて食べていて、見てると思わずニヤニヤしてしまう。義父にあげたさくらんぼジャム(500g瓶)、1週間後には空瓶が戻ってきた! 彼に言わせると、「ジャムがなければ朝ごはんなんて食べてられっか」ということだそうです。


シール好き、この年になって再燃の兆し! ジャム作りをきっかけにハマってしまったもの其の2、はラベルシールです。

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コンフィチュールvsジャム、ことばの不思議



   「コンフィチュール」って言葉、日本にすっかり浸透しましたね! 2000年頃は、まだコの字も出現していなかったと思うのですが。

   今やフランス直輸入コンフィチュールが売られたり、コンフィチュール専門店もあるご時世。と、こうして書いたりする分にはいいのだけど……。実際に日常会話の中で「コンフィチュール」と臆面もなく言えてる人ってどれくらいいるのだろう?と、個人的に非常に興味あり。うーん、私は口に出すのはちょっと抵抗あり、です。ジャムはジャム、ですから!

   昨年いがらしろみさん(鎌倉でジャム屋さんをやっておられます)とお会いした時も、この話題で盛り上がったのであります。ろみさんの台詞で印象に残ってるのは、「コンフィチュールって言葉がひとり歩きしているみたいなんですよねぇ」。ひとり歩きって言葉、すごく的を得ているなって思いました。

   コンフィチュールっていうと、数種類の果物を組み合わせたり、リキュールを入れたり、高級感があったり、とにかくモノ珍しい味を連想してしまう人もいるらしく。おそるべし、フランス語マジックですね。「でも、やっぱりジャムはジャムよね!」と2人で頷き合ったのでした。


ジャム作り、一番大切なのは保存方法。差し上げた人がすぐに食べてくれるという保障はないので。きちんと行えば室温で1年以上だって余裕です。


開封したら、アンティーク瓶に移し変えて冷蔵庫で保存。当たり前だけど、アンティーク瓶はジャムを入れたときに一番見映えがします。

   次回、「コンフィチュール」ならぬ「コンフィ」のご紹介です。

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満足感は苺のショートケーキ並、な苺のデザート



fraises au sucre「苺の砂糖がけ」
fraises à la crème chantilly「苺の生クリームがけ」
この季節、あちこちのレストランで立派な一品として供されるデザート。前者にはセルフ式に砂糖壷がドンと添えられ、後者には生クリームがもわもわっと絞られて登場します。素材がおいしくなきゃ面目丸潰れなデザートゆえ、いちごは露地栽培のおいしいもの、クリームは注文ごとにその場でちゃんとホイップしたものっていう条件付きですが。


ようやく先週からバイヨンヌの市場にもお目見えしました。バスクの農家ではGariguettesという品種が主流。酸味・甘み・水分のバランスが絶妙。


生牛乳から取った自家製生クリームに砂糖小