更新日:2008年7月29日

バスク地方の暮らしとお菓子のレシピ「バスクの砂糖壺」


バスク地方は、フランス南西部~スペイン北部に広がる緑と水のゆたかな土地。お菓子とおいしいものが大好きなマテスク里佐さんのオーブンからは、今日も甘くて香ばしいいい匂いが立ち上っています。里佐さんがバスクで出会い・学んだお菓子やお料理、そして人々の暮らしの様子について、レシピとともにお届けします。

文=マテスク里佐
   

レモンよりもプチサイズ、「バスクの山桃」



   日本の果物の中で私がいちばん好きなのは、白桃! 数年前の夏、一時帰国中に八ヶ岳に滞在したおりは、まるで数年間分の恨みを晴らすかのように堪能しました。日本の桃は「水蜜」ですね。品種改良と手間ヒマの賜物、って味がします。

   それにに比べると、バスクの地元産の桃は野趣ただよう果実の味。原種のまま、なにもイジられていないような、山で採れる山モモです。香りは高貴なほどに桃なのですが、食べるとカリカリと音がたつ食感。はじめて食べたときは「これが桃のご先祖さまか」と、妙に納得してしまいました。


うぶ気の濃さもかなりワイルドな桃です。

   山モモはほかのストーンフルーツといっしょにマリネにしたり、野菜感覚にサラダ風に食してます。ちなみに私は日本人の習性でどうしても皮をむかずにはいられないけど、フランス人は桃も皮ごと手づかみで山ザルのごとく食ベる人が多いみたい……。

   スーパーマーケットに行けば、もうちょっと“進化”した桃が売っています。日本の水密レベルにはあと一歩だけど、山モモよりはずっと甘みもねっとり感も増しているのでデザート向き。お値段が手頃なので、惜しげもなく桃のコンポートを作ることが出来ます。

   桃のデザートは、過去記事でいくつかご紹介してますのでご参考までに!

つるんと湯むきするのが楽しい、「桃のコンポート」>>
ペリゴールの想い出、「桃のテリーヌ」>>
簡単、天然シロップのおいしさ「桃と葡萄のマリネ・カクテル」>>

   というわけでここ数年、加熱処理しておいしく食べる方法ばかりを探求していて、フレッシュを堪能するための桃は半ば諦めていたのですが……ありました、スペインに! サンセバスチャン在住の友人にとっておきの店を教えてもらいました。

   完熟食べごろフルーツが1個1個キレイに陳列している様子、店員さんがいつも果物の状態に目を光らせている様子、世界各国の選り抜き食材などが置いてる様子はまさに“バスクの紀伊国屋”とでも呼びたい雰囲気。さすがに、ここで売られている桃は日本の水密レベル並み! 去年の夏は、桃を買いたいがためにサンセバスチャンに何度も足を運んだほどでした。


カクテル好きな方なら、桃と聞けばすぐにお分かりのカクテルです。

   あまりにおいしい桃なので、「この桃があれば、アレをお家で作ることが出来る!」と去年我が家に小さなブームを引き起こしたカクテルがあります。次回レシピのご紹介です、お楽しみに。

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カラフル! 初夏のフランスの果物売り場



   初夏のマルシェは目にもおいしい! オレンジ、ピンク、赤、黄色……カラフルな果実がずらりと並んでる姿はまさに百花繚乱。見てるだけで気分が高揚してきます。

   自国産の果物がこれだけ種類豊富に揃うこと。そして日本のフルーツ価値観と比べると、比較にならないほど贅沢に堪能できること。フランスの食事情の何もかもが素晴らしいっ、なんて誉めちぎる気は全くありませんが、夏の果物三昧な生活は“豊かなフランス”を見せつける説得力があります。


Cambo村のマルシェにて。たまに自分の町以外の朝市に出かけてみると、観光気分(?)で楽しめます。

   桃、ネクタリン、プラム、アンズ。初夏のストーンフルーツはどれも魅力的ですが、“お菓子素材”としていちばん楽しみなのはアンズ。毎年、ジャムやコンポートをせっせと作るのが季節仕事です。

   6月も後半に入ると、「今年のアンズはおいしいかしら? 旬の週はいつ?」と、ソワソワした気分になります。なぜならアンズは、年によって時期によって産地によってもかなり味の差が出る果物。朝市の人に「今週が買いどき? それとも来週まで待ったほうがいい?」とプロのご意見を必ず求めることも、この数年で学んだことのひとつです。

   初めてフランスで迎えた7月、果物売り場にアンズが山積みされているのを見たときはちょっとした感動を覚えました。売り場には人がたくさん集まっていて、みんな1つ1つ指でプニュっとはさみながらセレクションにいそしんでる!

   初心者だった私は最初はおそるおそる数百グラムだけ買って帰り、迷わずコンポートをつくってみしました。クリームオレンジ色だった果肉が、シロップの中で光り輝くオレンジ色になった時の感激といったら。味見をしてみて、冴えざえとした酸味と芳香の良さにさらにびっくり……。

   あのはじめてコンポートをつくった日を皮切りに、わたしのアンズ好き・アンズのお菓子研究はまだまだ発展・進化中といったところ。そんなわけで、次回の話題はアンズを使ったお菓子です。

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スパイスたっぷり! バスクの「薬草リキュール」



   眩しいほど色あざやかなグリーンとイエローのボトル。「グリーンだからミント味かな?黄色はポワールのリキュール?」なんて単純に色で判断して飲んでみると、想像していた味とのあまりの違いにびっくり仰天してしまうようなお酒です。

   バスクの人に愛されている、バスク生まれの“薬草リキュール”です。カフェやレストランのバー、よそのお宅のリキュール棚にこのボトルが置いてあると、ほかのシックな色調のボトルとは異色な存在感にぱっと目が留まります。

    その名は『Izarra』、バスク語で「星」の意味。はるか遠く昔のバスクの人々には、もちろん食後酒としてではなく、薬として飲まれていたアルコールです。


薬草エキスたっぷりの蒸留酒に、アジアやオリエントのさまざまなスパイスで調香されています。基本スパイスはカルダモン、ナツメグ、サフラン、シナモン、コリアンダー。グリーンはさらに、ミント、胡椒、アンゼリカが加えられた、辛口なお味。イエローは、ハッカ、ビターアーモンド、アニスの香りが加えられ、蜂蜜入りの甘口リキュールです。

   時代とともに廃れてしまったのか、それとも医学の発展とともに飲まれなくなってしまったからか、いつしか“処方箋=ルセット”も伝承されなくなり、この薬はやがてバスクから消え去りました。

   時を経て、19世紀終わり。ひとりの植物学者がたまたま文献の中にルセットを発見、幻のリキュールを蘇らせることに成功します。一度は消滅しかけた薬が20世紀に再びこうして、“食後酒”として返り咲きました。

   以来この学者の子孫ファミリーによってのみ生産販売されてる、専売特許的なリキュールです。もちろん銘柄はひとつのみ。薬草のルセットは門外不出とされている、ミステリアスなお酒でもあります。

   明らかなのは、ピレネーの山で採れる40種近くもの薬草エキスが調合されているということ。“薬草エキス”って言葉で私の脳裡に浮かんだのは『養命酒』!これはまさにバスクの養命酒と呼ぶのが相応しい?

   今では、食後酒としてバスクの人々に愛されてます。こってりしたバスク料理をたっぷり食した後でも、これを飲めば胃もたれとは無縁なのかも?

   だとしたら何やらカラダに良さそうなお酒であることは確かなのですが……。ガトーバスクやガレット・デ・ロアなどに、『Izarra』を入れてるお菓子屋さんが存在するのを知ったときは驚愕でした! 『養命酒』をお菓子に入れてしまうとは……。バスクのお料理・お菓子、だいたいのものはおいしくいただけますが、こういうジャンルになると私には付いていけない味覚世界。こんなとき、バスクがとても異国に思えたりします。

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目玉焼きトーストの朝ごはん



   春は卵の季節。果物や野菜に旬があるように、卵にだって旬があります!

   スーパーマーケットのパック入り卵に慣れてしまうと気がつかないのが普通ですが、バスクの朝市で毎週卵を買っているうちに自然と分かるようになりました。自然のものなのだから、卵にも春夏秋冬があって当然ってことに。

   年に数回、いつもの卵屋さんに「今日は卵はないよ」と言われてしまうことがあります。真冬の凍える日が続いた週は産卵数が激減してしまうから。そんな日は、卵を手に入れるために何軒かの農家の人をハシゴするなんてことも。

   草樹の緑が芽吹いてくる季節になると、どの農家の人の籠にも卵がいっぱい詰まってる! 籠の上までこんもり積まれた卵を見ると、「あぁ、春だなぁ」と嬉しくなります。


籠はみんなそれぞれ風情があって、とてもかわいい。持参した卵ケースに、ひとつひとつ目の前で入れてくれます。

   バイヨンヌの朝市で売ってる卵はどれももちろん、“フェルミエ卵”(農家の産みたて卵)。鮮度は保証つきなのですが、フェルミエだからすべて極上の卵かって言うとこれまたちょっと違うのでありまして。「フェルミエ卵こそ吟味して選ぶべし」っていうのが私の6年間の卵体験による結論。

   養鶏舎でオートメーション化されていない卵だからこそ、農家によって如実に差が出るのは当然のこと。鶏の餌、鶏そのものの健康度、そして鶏の年齢など。飼育環境と鶏の違いが見事に卵の質に現れるのです。

   お気に入りの農家の人を見つけてしばらく買い続けたものの、段々と卵のレベルが落ちて来てるって感じたり、割ってみたらほとんどの卵が大量出血していて(!)悲鳴をあげてしまったことも。

   ここ1年ほどは、馴染みの鶏農家を3軒キープしてます。特に今いちばんひいきにしてる農家の卵は、惚れ惚れしてしまうほどの極上品! 黄身はツヤツヤのオレンジ色、白身も黄身もぷっくらと盛り上がってて新鮮そのものです。


マルシェ帰りの朝は、“目玉焼きのせトースト”で朝ごはん。うちは卵を全く食べない日もあるけど、食べるときは豪快に主役にして食べます!

   マルシェの買い物客の中にはここの卵の固定ファンが少なからずいる模様だし、かなりの限定品です。だから「早起きは三文の得」が我が家の標語。もうちょっと布団にくるまっていたいなーって思っても、この卵のためならムクっと起きられる(?)そんな偉大な卵です。

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ルヴァン酵母パンとチーズの晩餐



「バスク6daysの過ごし方」
4e jour 17h00 ディナー用のパンを焼く

   2年程前から夫がパンづくりを楽しんでます。といっても、こねは Machine a pain(ホームベーカリー)、発酵はドライイーストというお手軽派です。

   このホームベーカリー、実は私がフランスの某お料理コンクールで優勝した際の景品のひとつ! 「せっかく頂いたのだから使わなきゃね」と軽い気持ちで始めたのですが、私よりも彼の方がハマってくれたのでシメシメです。

   いまや仕事帰りにスーツ姿で“水車の粉挽き屋さん”(バスクの伝統的な水車で挽いた粉を売ってるお店)に寄って、自分で数種類の粉をブレンドするように。理系人間らしく毎回ノートに記録しながら作ってます。ちなみに、うちのベーシックパンはライ麦粉パン、全粒粉パン、パン・オ・レの3種類。

   そんな我が家に、新たな“パン革命”がやってきた! 革命の引導者は、今回のゲストのニコラ(この家でもなぜかパンづくりは男性)。彼は数年前からルヴァンでパンを焼くのが日課という、達人なのです。この大きなパン(粉500g分)を2人で1日1個朝晩で食べきるというのだから、スゴい消費量。


全粒粉、小麦粉、ライ麦粉をほぼ同割で入れた配合。中に雑穀を入れ、胡麻をたっぷりトッピングして焼きあげたルヴァンの天然酵母パン。焼き上がった時の香りの素晴らしさが秀逸! そして冷めても風味がしっかり残っておいしい。チーズとの相性もばっちり。


粉屋さんへ行ったら全粒粉が売り切れだったので、オーガニックのお店へ材料調達に。使用した穀物は、胡麻、オートミール、亜麻の種、ひまわりの種。そして大切なルヴァン種もこちらで購入。

   農家で調達してきたバスクのオッソイラティ。そして彼らのお土産サヴォアのチーズ。今夜の主役はとびきりのフロマージュ4種類。これに相応しいパンを用意しよう! ルヴァンのパンづくりを作ってもらいつつ、私もいろいろ勉強させてもらいました。


手前から、農家で買ってきたバスクの『シェーブル(ヤギのチーズ)』、『オッソイラティ』、『サヴォアのトム』、『マール・ド・レザン』。マール・ド・レザンは、ワイン作りの際の葡萄の搾りカスで覆われてるという、サヴォア特産の珍しいチーズ。葡萄の香りがしっかり染み込んだ、独特の風味をもたらしてます。


ひと口噛みしめてみて、あまりのおいしさに衝撃を受けました。チーズと交互にいつまでも食べつづけられる味……。自分史上、パンを一度にこんなにたくさん頂いた日は初めて。こういうパンが自分たちで作れるなら、ご近所のイマイチブーランジュリーは不要!

   以来数週間、我が家のパンづくりもイーストパンを卒業してルヴァン発酵一辺倒に。それに応じてパンの消費量はうなぎ上り、それに反比例するかのようにお米と日本調味料の減り方はペースダウンしてます。

   主食が変わると自然と料理が変わる、食卓が変わる! パン革命にとどまらず“食卓革命”を起こしそうな気配です。

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レモン大豊作にうれしい悲鳴!



   ここ最近レモンの使い道を考える日々です。義両親の庭で育ったレモンがドッサリと届くようになったから。そう、レモンって二度成りの果物なのです。夏の収穫が8月末に終わりホッと一息ついたのも束の間、11月にはもう実をつけ始めました。そして立春の頃まで収穫が続きます。


全部で3本の木、それぞれ個性的な実をつけるところも愛着が沸きます。「これはあの木の実だな」と分かるようになりました。こちらはゴツっとした感じの皮、大きくずっしり重たいレモン。

   特に今年の冬はもの凄い! 夏のそれに勝るとも劣らない収穫量を見せています。今年のバスクの天候はしっかり寒いながらもサンサンとした冬の太陽に恵まれているからかも。

   私は普段からお菓子・料理にレモンを多用するクチなので、無駄にしてしまうってことはないのですが。うーん、さすがに今冬の収穫量は少々もてあまし気味……。


こちらは1本だけ品種が違うレモン。皮の色、ジュース、香りにかすかに柚子に似たものを感じさせてくれる柑橘です。ミカンのような薄くてつるんとした皮なので、これでコンフィを作るとしっとり柔らかく仕上がるところが好き。焼き菓子よりもデザートの飾りなどに愛用してます。

   で、ついに私もデビューしました、レモン風呂! これは昨夏レモンについて書いた際に、カリフォルニア在住のこけし様のコメント(樹齢60年以上のレモンの木を栽培されてるそう)から拝借した素敵なアイディア。柚子風呂ならぬレモン風呂、今年の冬の贅沢な使い道です!

   でもこうしてせっせと新たな消費法を模索しているあいだにも、レモンの木は豊作を続けているわけで。実はつい昨日も再び30個のお届けがあって、嬉しい悲鳴をあげてしまいました。

   というのも、先月クリスマスにプレゼントしたコレをエラく気に入ってもらえたらしく、箱にびっしり詰めたものをあっという間に食べ終わってしまったそうです。要は「また作ってね」というリクエストってこと……。

   コレとはこちら、レモンのコンフィです。


キッチンの作業台がふさがってしまうほど大量に作ったのですが、プレゼントや年末年始の来客時のお茶請けとして完食することができました。爽快!

   次回レシピのご紹介です。お楽しみに!

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バスクの野山へ、ブラックベリー摘みに



   ミュールが少しづつ黒づいてきたら、「夏もそろそろ終わり」のお知らせ。季節の移り変りを感じます。「mûre(ミュール)」は、英語でブラックベリー、日本語で黒いちごのこと。

   緑豊かなバスク地方は、野生ブラックベリーの宝庫です。夏の天候や雨の恵み、そして生えてる場所によってだいぶ差があるのですが、8月末から9月頃が旬の季節。


黒く色づく前の姿はまるでフランボワーズ。フランボーワズとブラックベリーは親戚、だそうですから。

   ふっくら黒光りしている実は、驚くほどまろやかな甘みと香り。そして、野生ならではのアクの強さも少々。

   茂みあるところにブラックベリーあり、とばかりにそこら中に自生してます。川原道などにもたくさん生えてますが、人間や犬の散歩道周辺のものは摘まない方がベター(理由説明はいりませんよね?)。山深く鬱そうと茂った藪の中、出来るだけ高い所に生えてるのを摘みに出かけます。

   バスクの野山がどれだけブラックベリーの宝庫かと言いますと、2時間ほどせっせと摘めばジャム作りに充分な収穫量が期待できるほど。山をドライブしていると、一家総出でお鍋やボウルを抱えて摘んでる微笑ましい光景をちらほら見かけます。


「牛とブラックベリー」の図。こんな風に牧場付近にもたくさん自生してます。

   あれを見たら、誰だって「私もジャムを作ってみたい」って思うハズ! 以前、友人夫妻と山に出かけた時、最初は散歩途中の味見だったのに、なんと彼らがバッグからジップロックの袋を取り出した(なんて準備がいいんでしょう……)!

   みんなでせっせと摘んで、ビニール袋はあっという間にパンパンに。家に戻って、白ワインで煮込んだジャムを作り(料理上手なご主人がつくってくれた)、デザートのお供になりました。男性が即興で作ってくれたジャムのお味は、私にえもいわれぬ感動と発見をもたらしました。

   以来、ベリーのジャムというと、彼の白ワイン入りレシピを愛用させてもらってます。


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ジャムとコンポート作りの定番フルーツ、あんず



   日本にいた頃のお菓子づくりと、今の生活でのお菓子づくり。手に入る素材の違い、周りの人の反応の仕方……いろんな小さなことに影響を受けながら、作るものや作り方も少しづつ変化してきました。

   先日、この数年間の自分の「お菓子日記」を読み返してみたところ、我ながらおもしろい記述がいろいろ……。日記をつけるという習慣は全くありませんが、お菓子日記だけはこれからもずっと続けてみようと思ってます。

   いちばんの変化はなんといっても、果物の使い方、果物の使いっぷりですね。日記に「○kg購入」なんていう言葉が当たり前のように羅列してあって、いかに私が果物の衝動買いを繰り返しているかが分かります。


とは言え、買い急ぎは禁物。出盛りの頃がいちばんおいしいから。お値段が下がり始めた週を狙って、木箱買い。待ちすぎると逃してしまうキケンもあるし、このタイミング掴みも要経験!?箱ごと買うと、「あ、ジャム作るのね!」と必ず言われます。

   朝市の旬の果物。色美しく、みずみずしく、辺りに漂う甘酸っぱい香り。気がついたら大量買いしていた、なんて夢遊病のような行動を取ってしまうことが度々。これはもう立派に“お病気”と呼べるほどで、ここに住んでいる限り治りそうにありません……。

   7月の旬のフルーツといえばあんず。ここ数年、“木箱買い”が恒例化してます。ただし、あんずの場合は衝動買いではなくちゃんとした“計画買い”です。

   昨年7月のお菓子日記のメモはこんな具合。

「7月某日、木箱で7kg購入」
1.5kgはマリネ→残りジャム
5.5kgはシロップ煮


極限までフレッシュ感をキープさせた、自家製の瓶づめコンポート。冬場のお菓子つくりにも大活躍です。

   次回、「あんずのコンポート」をご紹介します。バイヨンヌの図書館の古い料理本で見つけた、ちょっとおもしろいルセット。お楽しみに!

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イッツァス村の黒さくらんぼ、2007年レポート



   悪い予感が的中してしまいました。

   心待ちにしていたイッツァス村の黒さくらんぼが、今年は不作。不作どころか、何十年に一度あるかどうかの凶作年! 初夏の訪れを告げる果物だけに、そしてフランス・バスクを代表する果物だけに、暗澹とした気分にさせられるニュースであります。

   理由はもちろん、異常気象。今年の春は、お日様が光り輝く日が極端に少なく、明らかに日照不足。そして連日激しく雨が降り、ときには強烈な嵐が吹き荒れました。ニュースで見て心配してくださった方もいましたが、バイヨンヌでは洪水によって死者も数人出ました。あの日、夫の知り合いは通勤途中に乗用車ごと水の渦に巻き込まれ(!)、ギリギリのところを消防隊員によって救助されたとか……。


昨年の写真から、青空と真っ赤なサクランボ。今年はこういうお日様の光がとても少ない。うーんこのままでは、2007年の葡萄の出来、ワインの出来も危ういかも。

   それでも「ひょっとしたら少しは……」と淡い期待を抱いて、昨年お世話になった農家の方に電話してみたところ、「今年の出来はお話しにならんよ」という答えが返ってきました。

   人の命すら落とすような強雨だったのだから、か弱いさくらんぼの実が大打撃を受けるのは当たり前。実りの時期を目前にして、ボロボロの傷モノになってしまったそうです。

   我々消費者側は、「今年はあの黒さくらんぼが食べられないのね」と残念がるだけでおしまい。のん気なもんです。しかし、生産者側である農家の方々の立場を考えると、本当に気の毒。皆さん酪農業との兼業なので、これによって生活を脅かされる心配はないと思います。しかし、かなりの痛手であることは間違いないし、お天道様商売のつらい宿命を感じます。

   そんなわけで去年スタートした私のさくらんぼジャム作り、今年はお休み。スーパーに行けば、他の地方のさくらんぼを手に入れることが出来ますが(バスクほど不作ではないにしろ、同じく出来が悪い)、浮気する気にならない!

   イッツァス村の黒さくらんぼが、来年こそ元気に実をつけてくれますように……!


昨年はさくらんぼの大当たり年だった! 12kgのさくらんぼで大量に作り上げたジャムとコンフィ。「いくら何でも作りすぎでしょ」と実は反省していたのですが、今となっては「豊作年にたっぷり作っといて正解!」と思います。天候不順が当たり前の時代になってしまったのだから……。

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バスクの密かな自慢野菜



   晩春から初夏にかけて、私がマルシェで毎週せっせと買い求める野菜はグリーンピース。毎年、お初ものが登場した週は心が躍ります。その喜びレベルはイチゴがお目見えした時と同じくらいと言ってもいいほど。それくらい私はグリーンピースが好きなのです。

   ただでさえ好きなのに、幸運なことにバスクはグリーンピース栽培が盛んな土地ときている!これを知ったときの嬉しさ、理解してもらえるでしょうか? 日本で慣れ親しんできた素材、大好きな素材の現地産が手に入ることって、本当にありがたい。


こうまで美しく健康的な野菜だともはや鑑賞に値する。京都で買った竹籠に入れて。

   バスクの農家のグリーンピース、これがまあ素晴らしい。要は本当の採れたて、ものすごく新鮮だということ。直前にパチンパチンとハサミで枝を切ったであろう元気さ。ハリとツヤがあってつるつる(お化粧品の宣伝文句みたい)。枝まで元気にピンと伸びていて、さやを開けば弾けるようなの青い香り、豆の酵素パワーを感じます。

   初めてこれでお豆ご飯を作ったときは、驚きの感動でした。青豆ごはんという食べ方を教えてくれたのは日本ですが、私にグリーンピースの真の味を教えてくれたのはバスクです。


青豆ごはんの次によく作るのは、「春の野菜のパスタ」。青い野菜を取り合わせ、バイヨンヌの生ハム、バスクのチーズと一緒に。ローカル産物だけで料理を作ると嬉しくなります。

   グリーンピースと言うと、忘れられない台詞があります! 発言主はイギリスの美人料理研究家ナイジェラ・ローソン。料理番組で「ワタシ、グリーンピースをさやごと買って料理するって行為が信じられないのよ。何の意味があるのかしらね?」と言いながら、冷凍豆をザザァーっとお鍋に放り込んでました……。

   いやはや、ビックリしましたです。いえ、私はアンチ・冷凍グリーンピースではありません。あれはあれでメリットがたくさんあると思います。それにアンチ・ナイジェラでもありません、念のため。

   料理番組(特にイギリスの)がエンターテイメント性をも重視してるってことはよーく分かります(実際、他の国の番組より楽しい)。だから、ひょっとしたら御本人の台詞ではなく、番組制作者側が用意した台本を読んだだけなのかもしれない。だけどこの台詞にはカチンときてしまいましたね、野菜好き人間としては!

   「フレッシュの野菜を使うことに何の意味があるの?」と問われたら、驚くというより哀れみを感じてしまう。彼女にバスクのグリーンピースをぜひ食べてもらいたいものです(逆に「青クサくておいしくないわね」と言われたりして……)。

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レモンの収穫、楽しみ方あれこれ



   5月は義両親宅を訪問する頻度がさらに跳ね上がる月。その理由はレモン! 「レモンの実、大きくなってきたわよ」「ハイハイ、伺います」と、毎週のようにレモン狩りに参上している有様です。

   鉢植えのレモンの木、これが5月になるとたわわに実をつけます。実を枝からもいだ瞬間、パァっとミクロの芳香が飛び散るのですが、この香りの素晴らしさといったら! クラクラ目眩しそうなほどに良い香りがします。


可憐なピンク色の花、スカっと爽やかなライムグリーン色の葉、そして大きなレモンの実。当然ながら完全なる無農薬レモンですが、結構日持ちします。だからまとめて収穫できないこともないのだけど、敢えて少しづつ、毎回2~3個にしています。なぜなら、もぎたての香りは儚く短い。

   か細い枝から両の手で数えられるほどの収穫量だったのが、毎年ぐんぐん成長して今や需要が供給に追いつかないほど。すると俄然張り切って、消費方法をあれこれ考えるのが私の貧乏性でして……。以前は「お裾分け」っていうかわいい量でしたが、今や私がほとんどを消費させてもらってます(お菓子に変身させて還元)。

   この時期、ドレッシングやソース作りのお酢はレモン果汁に取って代わられるし、炭酸水にぎゅっと絞った即席レモン水もお気に入りの使い道です。顔をすぼめてしまうような、角のある酸味が全くないので、柚子感覚で香りを楽しむことが出来ます。


私にとってレモンはバニラに次いで欠かせない、大切で貴重な香り素材。このレモンがあるとお菓子を作りたくなります。

   そしてお菓子づくり。皮の風味を焼き菓子に焼きこむのが一番好きな使い道です。それからフルーツのコンポートの風味付け、果汁をレモンクリームに仕立てた生菓子に。さすがに使い切れない分は冷蔵庫で保管しておき、6月~7月のジャムづくりで活躍させます。こう考えると、レモンって名脇役にも主役にもなれる、かなりアドリブの効く果物だと思います。

   おかげでここ数年で、私のレモンのお菓子レパートリーは飛躍的に増加しました。お菓子の記録写真を素材別・フルーツ別にファイリングしているのですが、レモンファイルが明らかに他のよりずっしり重い! 今年はレモンファイルをさらに「焼き菓子」と「生菓子」に分類しよう、と考えてます。


レモンファイルから、昨年作ったお菓子をひとつ。サブレ生地の上にレモンと白ワインのムース、トッピングはレモンクリーム。尊敬するお菓子職人のおひとり、横溝春雄氏のレシピを参考に作りました。何かで読んだ、横溝氏のレモンという素材への思い入れに偉く共感したので。今年もまた作りたい。

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マルシェの朝摘み苺と買物事件簿



   苺の季節到来です。日本の方からすると、「えっ、今ごろ?」と思われるかもしれませんが。ようやくマルシェに露地物の朝摘み苺が登場するようになりました。まだスタンドの数は少なめですが、5月の声を聞けば「今日はどの農家の苺にしようかナ」と選り好みできるほど出回ります。


バスクの苺はガリゲット種が主流。苺らしい甘酸っぱさと香りの高さが特徴。デザート、お菓子、そしてこのままで……めいっぱい楽しみたい。

   とてもデリケートな箱入り娘です。日本みたいにお行儀よく並んではいないけれど、同じくらい大切に、丁寧に取り扱われてます。先日、苺を買うために列に並んでいたところ、前の前にいたおじさんが大きな買物袋を台にぶつけ、あやうく苺パックをドミノ倒ししそうになった!

   幸い、箱入り苺たちは無事だったのですが、ほんとうに危機一髪でした。私も心の中で「うわぁあ」と大声あげてました。そしてその瞬間、農家のおばさんの激しい雷が落ちた!「何してるのー!!苺が全部落ちてたらどうしてくれるのよ、キィイーっ!!くどくどくど……」。強烈でした、ハイ。私はひそかにオジサン援護派でしたけど(助かったんだから、そこまでプリプリしなくたっていいのにね)。

   おじさんが「エヘヘ」とばつが悪そうに笑って誤魔化した様子が、人間くさくて最高でした。そして、普段はお買物中もペラペラとおしゃべりが止まらないフランス人であるのに、この場にいた人達がシーンと傍観者然を決め付けていたのにも笑っちゃいました。マルシェって私にとって食料調達の場だけでなく、フランス天然気質を鑑賞できる寸劇舞台って感じ。見ててホントに飽きません……。


春のお花も続々と登場中。八百屋さんがお花も売ってるので、野菜ついでに買えるところが好き。


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マルシェの春野菜、まずは「菜の花」からスタート



   朝市がいっせいに春の風情になりました。冬が終わった! という実感が沸いてきます。バイヨンヌの朝市は農家直売形式なので、真冬のあいだは寂しいほど出店数や野菜の種類が少なくなるのです。それが3月に入ると、数ヶ月ぶりに見かける農家のおじさんおばさんの顔も見えてホッとします。

   だからこそ、春は朝市が本当に楽しくって、一番通い甲斐のある季節。旬のものに毎週ひとつづつ再会できる楽しさは、冬の氷河期(?)を乗り越えた喜びでもあります。


旬の花は、水仙の花。春の到来を感じさせます。

   目に飛び込んでくる色彩の数、つまり食卓に上る野菜の種類がぐっと増えることが何よりも嬉しい。先週の旬は「菜の花」。ほかの野菜は素通りするけど、菜の花だけは大ファンの農家のおじさんがいます。彼も「毎年、菜の花だけを買っていく東洋人」として私の顔をインプットしているようで、「おっ、今年も早速買いにきたね」と言われました。

   菜の花は、スーパーや八百屋さんではなぜかほとんどお目にかけない野菜。私にとっては、バイヨンヌの朝市に行かなければ手に入らない貴重な青菜のひとつです。栽培している農家の方は実際少ないようで、マルシェで売っているのはわずか3軒くらい。

   必然この地方の人たちは、菜の花を食べたことはおろか、存在すら知らない人も結構いるとか。以前、「菜の花のおひたし」を夫のお弁当に入れたところ、早速同僚の方々から「その野菜は何?」とチェックが入ったらしい。そして彼は(自分だって、私が使うまで知らなかったクセに!)得意になって説明したようです。


ホロ苦味が何とも言えずおいしい。バスク産だけど「和」を感じさせてくれるお野菜。

   それにしても私の作るお弁当は、“日本の食べ物=Sushi・Sashimi”という紋切り型常識を覆すものらしく、日々好奇の目に晒されている模様……。そもそも、お弁当っていうジャンル自体がビックリだったようですね。最初は相当恥ずかしそうにしていましたが(今でも多少)、日本の食文化の草の根外交、と開き直ることにしたみたいです。

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バスクのチョコレート商戦、その以外な現実



   2月第2週にもなると、チョコレート商戦はかなりの盛り上がりを見せているのではないでしょうか? 皆さんお住まいのエリアではいかがですか?

   こちらバスク地方では、「バレンタイン・デーにチョコレート」という習慣はほとんど見受けられません。ウィンドーにバレンタイン仕様のチョコレートが飾られているのは、チェーン店のチョコレートショップくらいであります。対して地元のショコラティエはどんなかと言いますと……なんとこの時期、悠長に冬休業している店もあるほど! 「バレンタイン? だから?」とでも言わんばかりに、淡々と普段のチョコレートを普段通りに売っています。

   小学生の頃から「バレンタインとチョコレート」文化を一種のお楽しみ行事として享受してきた私としては、ちょっと物足りない風景ではあります。また1つ楽しい行事を失ってしまった寂しさみたいな……。

   でも、他所の文化に迎合しないところ、我が道を行くところがバスクの美点ですから! こうなったらいつまでも、ストイックにバレンタインにバレンタインチョコを売らないショコラティエでいておくれ、と願うばかりです。

   そんないつもながらのショコラティエで、先日買ってきたものがこちらの品です。


軽い、おいしい、使う楽しみがある。バスクのおミヤゲ候補にどうぞ!

   我ながら、地味なお買物……。「ココアパウダー」です。しかし、たかがココアされどココアでありまして、おいしいショコラティエで買うココアパウダーは当然ながらおいしいのです。何よりも新鮮さがポイントですね。先日、自分用とプレゼント用にと2個買い求めようとしたところ、「最後の1個しかないから、また来週来て頂戴ね」と言われたので驚きました。フレッシュなものを売りたいので、必然あまりストックは置かない主義なのだとか。

   腐るものでは決してないのに。こういう頑固さもあるんだなぁ、とこれまた偉く感心した私です。スーパーなどで買物をしている時、「この国には在庫管理ってシステムがないわけ?」とイラつくこともある私でありますが……この時ばかりは「こういうストック切れなら大歓迎!」と思ったのでありました!

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ビタミンCたっぷり! 真冬の果物「クレマンティーヌ」



   あけましておめでとうございます。

   お正月はいかがお過ごしですか?
日本だったら、おコタに入ってミカン食べながらテレビや映画三昧という方をされてる方も多いのでは?

   コタツといえば、去年の春にパリに日本のマンガ喫茶がオープンしました。木枯しが吹き始めた頃に「コタツ始めました」とチラシに書いてあったのがちょっと可笑しかったです。パリのど真中で、コタツに入って漫画を読む。なかなかシュールだなぁと思います。

   脱線しましたが、取り上げたい話題はずばり「ミカン」。フランスでも、師走の声を聞く頃には果物売り場の顔的存在になります。「Clementine(クレマンティーヌ)」と「Mandarine(マンダリン)」という名で、おおまかに分けて2種類あります。さらに両種とも国産以外にスペインやモロッコなど南の国々からの輸入品も多いので、柑橘類の品種はかなりの数にのぼります。


マルシェの「葱のおじさん」(とてもおいしい葱を売ってる人)から買ったクレマンティーヌ。暖冬のせい?去年のより甘い。

   どちらかと言うとクレマンティーヌの方が爽やかな甘味で、私はこちらを好んで買っています。年末年始のご馳走続きで胃がお疲れ気味のときなど、まるでビタミンCがカラダにじわじわ染み入るかのよう! ラルース食材辞典を読んでみると、クレマンティーヌ2個で1日に必要なビタミンCが摂取できるそうです。

   フランスでいえばコルシカ島産が有名です。しかし、こちらバスクでも細々ながらも生産してます。朝市では、農家の人が実益・趣味半々で庭で育てているクレマンティーヌを手に入れることが出来ます。地元贔屓目を差し引いても、コルシカ産に負けず劣らずおいしい。

   やっぱり、フード・マイレージを意識したい。そして地元農家の人を応援したい。今年もこの心意気をキープしつつ、楽しく健康的な食生活を送っていきたいと考えてます。

   今回の「今週の食材」はじめ、バスク暮らしのこと、おいしいもの、そして旅先で出会ったことなど、満遍なく(?)網羅していくつもりです。

   2007年もご愛読どうぞよろしくお願いします!

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Kusmi Tea、気に入りました!



   不平不満も書いてみるものだなぁ、と言うのが正直な感想です。こちらで英国紅茶の話題ついでに、「フランスの紅茶にはどうも馴染めず……」と愚痴を漏らしたところ、同じ紅茶趣味をお持ちと思われる方から素敵な情報をいただきました。コメントお寄せくださったsrsさん、ありがとうございます(そして追加コメントくださった、nousnourさんも)!

   KUSMI TEA、早速買い求めてきました。結論から言いますと、美味! しっかり煮出したミルクティの味は、フランスで今まで挑戦したどのブランドよりもピンときました。


缶のデザインも個性的!

   私は起きぬけに頭すっきり、そしてカラダを温める目的で、生姜やシナモンを入れるスパイス・ミルクティもよく作ります。なので、こういう力強い紅茶はとっても貴重。スパイスの存在感にも負けないコクがあります。


ロシアはサンペテルスブルグで1867年創設。オリジンは「クスミチョフ」なる名前のブランドだそう。

   ロンドンに行くと必ず立ち寄る紅茶屋さんで、お店の人(インド人男性)とオシャベリしたときのこと。「フランスに住んでいるのにここで紅茶を買っているってことは、君はフレンチスタイルの紅茶文化に馴染めないんだね! 分かるなぁ、その気持ち」と言われたことがあります。

   そっか、お茶の質そのものではなく、スタイルが問題なのね。彼に指摘されて合点がいった気がしました。言われてみると、フランス人のお宅で夕食後に紅茶(フレーバー・ティ系)、コーヒーそして食後酒をオファーされると、一瞬悩んだ末にコーヒーを頼んでる私です。

   ところで、紅茶に関して一番カルチャーショックだったこと。それは、義母は私に会うまでミルク・ティの存在を知らなかったという事です。「紅茶にミルクを注ぐの!?」ショックを受けている様子に、こちらこそかなりビックリしましたです。

   やはりラテン文化では圧倒的にコーヒー文化の方が強し、です。

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ジビエにセップ茸、そしてリンゴ……秋の味覚つれづれ



   先週のカフェグローブvoteのお題、「秋の味覚、アナタにとってズバリどれ?」でしたね。ズラリ並んだ憧れの食材名に一瞬本気で悩んじゃいましたが、私は畏敬の念も込めて新米に一票投じさせてもらいました。

   ちなみにフランスで秋の味覚と言ったら、ジビエとキノコ!この2点に尽きます。そうそう、今年の天候はキノコ達には最高な生育環境らしく、セップ茸がとっても豊作だそうな。バスクでは国道沿いにセップ茸スタンドが登場します(いつかご紹介したい)。今年は値段がちょっぴりリーズナブルだし、レストランの食事メニューにも惜しみなく使われてます。

   りんごがおいしい季節もやってきました。お菓子作り好きな方なら、すでに今年りんごでお菓子を作られたのでは? 私も先日、お決まりのパイを焼いてみました。ちょっと小寒い日に、オーブンから漂うりんごとバターの香り……。秋気分盛り上がります。

   一年中手に入る果物とはいえ、倉庫で長いこと保管されたりんごと秋の採れたてりんごの味は明らかに違う。だから秋はりんごへのリスペクト度が一番高い季節といえます。真冬になると、来る週も来る週も果物といえばりんごばかりな時期がやってくるので。本音を言うと、冬も終わりに近づく頃には見向きもしなくなることがあります。有り難味がある今のうち、たっぷり楽しむのが上手い付き合い方かなと。


皮の色が黄色、赤、緑とカラフルなレネット種。バイヨンヌの農家の人から買っています。

   散歩をしていても、お庭に立派なりんごの木があるお宅が目に留まります。ちょっと気になるのは、みなさんボタボタ落っことしたまま、土の上で朽ちるまま放置しているんですよね。もったいない。私だったら、シードル酒蔵を作るのに……!

   以前、友人のノルマンディの別荘で自家製シードルをご馳走になって以来、よそのお宅の無駄使いを舌打ちしながら眺めてる私。そして以来、我が家のシャンパンの空き瓶は、彼らのシードル作りに再利用してもらってます。もうこんなに嬉しいリサイクル方法はありませんっ。手作りのシードルって、おそろしいほど美味なのです……。


ジャムやジュレ作りだけでは、ラチがあかない収穫量なのでしょうね。

   次回も引き続きりんごの話題、簡単おもてなしデザートのご紹介です。お楽しみに。

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秋の産物その2、ピンク色のインゲン豆



   初秋のほんの短い間、私が心待ちにしている野菜。それがこちら。サヤがフューシャ・ピンク色したインゲン豆です。はっきりいって野菜売り場には似つかわしくない色です。土色、緑色などが野菜の制服カラーだとすれば、ヤツだけひとり場違いな私服を着てしまっている。そんな野菜です。


ふわっと温感を感じるような触り心地がするフレッシュなサヤ。その分あれよあれよと言う間に傷んでしまうので、早めに使い切ることが肝心。

   初めて目にしたときは色のキョーレツさにひいて、「これどうやって食べるんですか?」と思わずオニイサンに尋ねてしまった。「茹でてスープやサラダにすればいいんだよ」とオーソドックスな使いみちをアドバイスされる。すると、お隣で買物していた初老のマダムが「スープが一番おいしいわよ」と耳元で囁いてくれた。……それがこのお豆さんとの馴れ初め。

   実際使い始めると、このうえなく魅力的な食材ということを実感しました。乾燥豆のように戻す手間が要らず、コトコト20分ほど茹でればふっくら柔らか。まるでジャガイモなホコホコ感に自然なやさしい甘みがあります。

   そして毎回ながらちょっとした驚きを感じる味見の瞬間。いつものスープにこの豆を入れて途中ちょっと味見してみると……豆からコクが出てる! 単なる素材としてだけでなく、立派なダシの素にもなれる。そんな豆の底力も、このお豆さんが実習体験させてくれた気がします。そして、「スープが一番よ」のマダムの耳打ちの信憑性もしっかり納得しました。

   この豆が出回る季節、バスク人に負けず劣らず私もせっせと作りたくなるスープがあります。豆がなければ始らないバスクのスープ、豆があるからおいしいスープ。次回、詳しくご紹介します。お楽しみに。


豆は紫寄りの臙脂色と白のまだら模様。かすかに紫がかった色に茹であがります。

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バスクの秋の産物その1、マロン



   今年も栗拾いに行ってきました。「今年はなかなか上出来ヨ」と8月下旬から義母が言っていたので、期待に胸膨らませて出かけてみると……ホント、確かに豊作でした。イガの中から、ふっくらとした顔を覗かせてる様子はとても可愛い。


日本のよりも若干小ぶりながら、コロンと丸みを帯びた元気な栗です。

   経験ある方ならお分かりだと思いますが、栗拾いってものすごい重労働なんですよね。学生の頃、東京郊外の大地主の家のクラスメート宅に遊びに行った際に、お母様が裏山の栗の実をずっしりと持たせて下さった想い出があります。翌日いただいた栗ごはんのおいしさもさることながら(未だに我が家で語り草になってるほど美味だった)、お母様の汗だくなお姿と完全武装な栗拾いファッションが強烈に記憶に残ってます。

   実際やってみると風流さなどとは無縁な肉体労働です。今回も、夫と2人張り切って始めましたが30分間で汗をびっしょりかきました。

   我々の栗拾いファッションは3点セット。登山用の靴(かなりな急斜面に立つ木なので)、車の修理工場用ゴム手袋、出来るだけ分厚い服(近辺に生える雑草のトゲ対策)。要は体を出来る限り密閉状態にしてアクセク動きまわるから、ハードなわけです。2人で1時間黙々と労働して9kgくらいの収穫ってところでしょうか。これを考えると、市場で売ってる栗って決して高くないワって思います。きっと農家の人も家族総出の人海作戦でやっているのでしょうね。

   買ってくる栗と自分達で拾った栗の差。それはやっぱり、拾いたてかどうかの違い。落下後、そして拾ってから時間がたてばたつほど、虫喰い率がどんどん上がってしまう。市場で買う栗は見てくれは良くっても、作業中に虫がにゅるっと顔を出すこともあってギャーッと絶叫することが多々あります。自分で拾いたての栗だと、この確立は限りなく0%に近い。優雅に楽しく栗作業に没頭できるところが好きです。

   それにしても秋って素敵な味覚が目白押しな季節ですね。次回も引き続き、私がとても楽しみにしている秋の産物をご紹介していきます。


先日の義母のお誕生日ケーキに作った「栗のムース」。ムースそして上に絞ったマロンクリーム(蕎麦ではありませぬ……)に、茹で栗をたっぷり入れこんだ味。自分の庭の産物がお菓子に変身しているのを見て、とても喜んでくれました。

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フランス国内でブームの兆し?バスクのとうがらし粉



   近頃フランスの料理番組チャンネルを見ていて、おやおや?っと気が付いたことが1つあります。それは、あの「piment d’Espelette(エスプレット村のとうがらし粉)」がかなり頻繁に登場するようになったこと。前回ご紹介した「ピペラード」をはじめバスクの郷土料理には欠かせない香辛料ですが、他の地方の食卓ではまだまだマイナーだし、まして全国ネットの料理番組で使われるシーンなんて今まで全く見たことなかったのだけど……。

   今年になって、料理研究家の口々から「エスプレットのとうがらし粉」なる言葉を何度聞いたことか! しかもバスク料理ではなく、普段のフランス的お惣菜にさらっと使われている点に要注目です。そう、私たちが七味などをサっとふったりする、あの自由で習慣的な薬味感覚。


ちょっとオレンジがかった明るい色合い。私もバスク料理以外の使い方をもっともっと試してみたい。

   ふと、大好きな「柚子胡椒」(絶対に調味料棚に欠かしたくないモノの1つ!)のことを思い浮かべました。あれも九州特産の香辛料が、あれよあれよという間に全国的な人気香辛料となった典型的な例ですよね。エスプレット村の唐辛子粉も、柚子胡椒のような人気コースをたどっていくのか?

   またまた虎の巻『ラルース・ガストロノミック辞典』の「piment(とうがらし)」の項目を開いてみると、願ってもないような記述を発見。

「フランスでは長い間とうがらしは他の香辛料と混同されていたこともあり、今だにその使用方法はかなり狭い範囲に限られている。ただし、バスク地方はのぞく」

   これを読んでも納得できるように、フランス料理ととうがらしって無縁なんですね。だから当然、バスク以外のフランス人は辛いものに弱い人が多いです。バスクの郷土料理を食べただけでヒーヒー言っている人も時々いて、可笑しくなってしまったことがあります。


毎年9月~10月が収穫期。ちょうど今頃、畑で仕上げの太陽をぐんぐん浴びて収穫を待ち構えている時期。

   それに比べると、日本人の辛いもの好きといったら! 鷹の爪、柚子胡椒、タバスコ、豆バン醤、ワサビ、からし……。馴染みの香辛料を挙げていくとキリがない。たくましく鍛えられている日本人仕様の舌から言わせて頂くと、エスプレットのとうがらし粉は正直言って痛くも痒くもない辛さです。


七味の瓶と並べてみました。親近感を沸かせてくれる小瓶調味料がバスクにはたくさんあります。

   でも、パリなど大都会ではエスニックやアジア料理に慣れている人もたくさんいるし、辛さの免疫がついてきたフランス人が増えているのではないかな。そう言えば、とうがらし粉を使ってた料理研究家の人たちはみんな若手の人ばかりだった。そんな舌の国際化やオリエンタルへの好奇心が、「エスプレット村のとうがらし」人気を後押ししているのではないかしら?というのが私なりの推察です。

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茄子にピーマンにトマト、バイヨンヌ朝市の夏野菜



   ちょっと前にcafeglobeで「渋谷で『朝市』がスタート!」って記事、ありましたね。日本帰国の際はぜひ覗きに行きたい! 「あれが東京にあれば、この街はもっともっと楽しくなる」とありましたが、本当にその通りだって思います。渋谷に朝市のために出かける、なんて素敵ではありませんか。

   育てたご本人から野菜を買うって、想像以上に気持ちが良いことです。顔と顔を突き合わせた買物ですから。この気持ちよさを知ってしまうと、もう後戻りはできないかなって気分。朝市での買物、正直言って面倒なときもあります(雨降りの日とか、深酒した翌日とか)。それでも毎週せっせと通うのは、気持ち良さがクセになったから。

   私にこの気持ち良さをとことん叩き込んでくれたのが、バイヨンヌの朝市。フランス国内の中でも、かなり異色な存在です。八百屋スタンドも数軒ありますが、ほとんどは農家の人の直売式。近辺の八百屋やレストランのシェフ達も買い付けに来る市場です。一度、早く目が覚めたついでに暗闇の中の朝市に出かけてみたところ、客層が全く違うので驚きました。いかにも料理のプロ然した男性が、木箱単位で野菜を買っていく様子は壮観です。


バイヨンヌの市場の野菜は、他で手に入るものよりずっと小ぶり。茄子だって、ほかでは見かけない日本サイズが手に入るのですごく助かります。焼き茄子にすると美味。


いよいよお目見え、バスクを代表する野菜、ピーマンの季節。ぐるんぐるんに曲がっていたりして、いかにも野生味たっぷり!

   さて、バイヨンヌの朝市にトマトがやおら登場するのは7月に入ってから。夏に採れる野菜なのだから夏にしか買えない→夏にしか食べられない。すると「うわートマトだ!」と、有り難味が倍増します。シーズン以外はほとんどトマトを口にしない訳だから余計おいしく感じるし。そして猛暑で疲れ気味のカラダが喜んでるのも分かります。そんなわけで只今、親の仇のようにトマトを食べています!


完熟トマトをがぶりとかじるのって夏の最高のおやつですよね。どの農家の人のもそれぞれにおいしいので、週ごとに食べ歩いてます。

   面白いなぁと思うのは、日本からお越しの方が一番おいしいと言う野菜も、夏ならトマト、冬ならジャガイモ、と平凡であること。目先の変わった野菜よりも、普段食べているベーシックな野菜、そして採れたての味を知ってる野菜だからこそ、反応がいいわけですね。

   以前日本人のお客様にトマトのサラダをだしたら、「バアちゃん家の庭で食べたトマトの味だー!」と叫んでた人がいました。これってトマトに対する最高の賛辞だなぁ、って今でも思い出します。

   次回、トマトたっぷりのバスク料理をご紹介します。お楽しみに。

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「さくらんぼ」特集、スタートします!



   カフェグローブのリニューアルに伴って、新カテゴリー「旅・ごはん」が登場しました! 女子に生まれたのなら、ほとんどの人が当てはまるのでは?と思われる旅好き・食好き性。皆さん共々、私も楽しんでいきます。「バスクの砂糖壷」もこちらへ配属(?)となりましたので、よろしくお願いいたします。

   6月に突入、そろそろ梅雨・初夏の時候ですね。梅雨こそありませんが、こちらのこの時期はものすごい寒暖の落差があります。先週は30℃近い日もあれば12℃足らずの日もあって、冬と夏を往復しました。何年経っても、私の日本人仕様のカラダはこの大陸性気候に付いていくのにヒーヒー言ってるという、情けない状況。体調管理、体温調節こそ日常の一大事であります。

   気持ち的にはまだまだ春気分にぬくぬくと浸っていたいところだったのですが。市場へ行くと、さくらんぼのお出まし!すっかり目が醒めちゃいました。もう夏は目前ですね。


まだちょっと酸っぱいけど……1年ぶりの初夏の味わいは格別。こちらはフランス全国で出回る品種。

   このお初ものとの対面を皮切りに、ここ数日の私はさくらんぼ三昧な日々を送ってました。鑑賞して、買って、味わって、保存食を作って。既にかなり堪能した気分です。詳細は、次回からじっくりお届けして参ります。


三つ子ちゃんを見つけるとつい写真を撮りたくなります。

   今年1月にご紹介して、たくさんの方にリアクションを頂いた「ビターオレンジのマーマレード」と「オレンジの丸ごとコンフィ」。あの時は、オレンジ色の画像をさんざんお届けしました。今月もあの調子で、さくらんぼ色画像を連発してしまいそうな予感です。オレンジ・レシピをお試しいただいた方、これに味を占めて保存食作りにハマった方、そしてさくらんぼが大好きな皆さまにお送りします。再びよろしくお付き合いの程を……。


こちらが地元イッツァス村が誇る「黒さくらんぼ」。村に直接足を運ばないと入手できないレアなさくらんぼ。満を持した味わいです。

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フランス人の摂取量に追いつき追い越せ? 新じゃがの季節到来



   まずはご覧ください、かわいいバスクのオジサマ方を! バイヨンヌの朝市で、じゃがいもを、この季節なら新じゃがを売ってる人たちです。


市場に行くと、売っている人と野菜の空気がマッチしていることに気がつく。優しそうな人が売っている野菜はおいしそうだし、実際においしいんです。これ私の極端な「市場持論」です。

   春真っ盛りのこの時期、色どり鮮やかな野菜や果物に目が奪われてしまい、地味な出で立ちのジャガイモのことをふと見落としそうになるのですが。彼らがいれば大丈夫。ジャガイモのようなホコホコした笑顔と、土の香りが漂ってきそうなお姿を見れば「新じゃがの季節がやってきた!」と連鎖反応を起こしてくれます。


つるんとした柔肌は、じゃがいもの赤ちゃんといった風情。

   『ラルース・ガストロノミック辞典』をひいて見ると、出てくるわ出てくるわ。じゃがいも情報は実に6ページに及んでます。フランスで取れるじゃがいもの品種は17種類。全国的に栽培している品種のほかに、ブルターニュ地方でしか取れない品種も幾つかあります。

   北の地方の方が消費量が多く、また社会的地位によっても消費量にばらつきがある、との言及にもフムフムと納得。じゃがいも1個(約100g)でパン40gの栄養価に値するそうです。主食費を削減しようと思ったら、じゃがいも料理を研究すれば家計の助けになるやもしれない。

   紹介されている代表的なじゃがいも料理は14種類ほど。蒸す、茹でる、揚げる、煮る、ソテーする、オーブンで焼く。どの調理法でもそれぞれのおいしさが出るところがじゃがいものスゴさだな、と再認識しました。

   驚かされたのはこの数字。フランス人の年間平均摂取量73kg! 1人平均月に6kg、週に1.5kgのじゃがいもを消費しているってことです。道理で市場でオジサンに「1kg頂戴!」と言うと、いぶかしげな表情を見せられるわけだ(「足りる?」と心配顔で聞かれたこともあり)。

   でも、新じゃが摂取量なら私もフランス人にも負けてないかもしれません。料理という以前に、ただ蒸かして食べるだけ。これがあったら、ご飯も炊かないし、パンもいらない。簡単でおいしくって、大好きな主食風な食べ方です。


蒸かしたてにバターひとかけ、粗塩ぱらり、そしてシブレットをちょきちょきと。

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春の香りたっぷり、ホワイトアスパラガス



   ヨーロッパの人にとってのアスパラガスって日本人にとっての筍に似ている、と思う。味はもちろん趣もだいぶ異なる。でも春の息吹を感じさせる素材、掘りたてが何より珍重される素材、そして年中手に入る水煮もの(あれはあれでおいしいけど)とは別格の取り扱い、そして何よりも、春の味覚として人々に愛されているという点において。

   春になり、朝市通いがますます楽しくなってきました。毎週、新しい野菜が登場して、売り場は賑やかに華やかになりつつあります。先週の4月第2週、堂々と顔を見せたのがホワイトアスパラガスです。


緑~ヴァイオレット~白の色トーンが美しい。1キロでこの位の分量です。

   アスパラガスの一大産地であるランド地方(バスクのお隣)からスタンドがやってきます。普段はほかの野菜も取り扱っている店ですが、この時期はアスパラガス専門スタンドに。それだけ売る側は気合が入ってるし、買う側も心待ちしている野菜ということです。

   お値段の方はと言いますと、市場のはキロ当たり5.5ユーロほど。ほかの野菜と比較すれば高級な素材と言えましょう。でも、ただ茹でるだけで立派な前菜になり得る、という絶対価値を考えればお手頃な野菜とも言えます。


市場の人のアドバイスに従って、熱湯の中で20~25分茹でる。


粗熱を取ってほんのり温かいところにソースを添えて。香りがすばらしい!

   『ラルース・ガストロノミック辞典』で調べてみると、こんな実用的なアドバイスを発見。「1人前300gを目安に」だって。食べる前に読んでおけば良かった……!と後悔した私です。とりあえずたくさん買ってきて、一気に茹で上げて食したところ、胸やけのような、ちょっとした気分の悪さを感じてしまったのです。なんと言いましょう、植物パワー、大地パワーのようなものに酔っ払ったような感覚。

   旬のものこそ、お上品に少しづつ楽しむのが肝要ですね。と、頭では分かっていても、見ればついつい買いすぎてしまうのがお初もの。春のあいだ、当分このお初マジックに翻弄されそうな気がします。