更新日:2009年2月24日

バスク地方は、フランス南西部~スペイン北部に広がる緑と水のゆたかな土地。お菓子とおいしいものが大好きなマテスク里佐さんのオーブンからは、今日も甘くて香ばしいいい匂いが立ち上っています。里佐さんがバスクで出会い・学んだお菓子やお料理、そして人々の暮らしの様子について、レシピとともにお届けします。

文=マテスク里佐
   

バスク式のお祝いケータリング料理

   バイヨンヌの町のど真中に、ゴシック建築のサント・マリー大聖堂がそびえ立っています。ここでわが子の洗礼式を行いました。

   式は結婚式の際にお世話になった神父様にお願いしました。あのときの経験上、覚悟はしていたのですが……事前準備の入念さは結婚式以上! わが家に神父様をお迎えしてのミーティングは計3回。子どもの洗礼を迎えるほかの両親たちとの懇談会なんていうのもありました。


洗礼式の引き菓子といえば「ドラジェ」が定番なのですが、私は自分らしく焼き菓子ボックスに。これを参列者の方々にお配りしました。双子にかこつけて、真中にハートを2つ。

   式の準備と平行して、これまた気合入れて行ったのが、お料理の手配です。式のあと、皆さんと我が家で食事会を行いました。このために費やした時間と労力も相当なもの!

   料理は迷うことなく、ミウラ氏(「バスクのアドレス帳」でもご紹介している「Francois Miura」)にケータリングサービスをお願いしました。妊娠中も彼のお店には頻繁に通っていたのですが、出産の際は出産祝いまでいただき、料理のみならずその優しいお人柄にも感激したのです。

   果たして、当日ミウラさんが用意してくださった料理は「素晴らしい!」の一言。私はオーブンでの温めなおし作業におおわらわだったため、写真を撮るヒマがなかったのが残念な限りです。バスクの海の幸、山の幸をふんだんに取り入れた創作小料理の数々は、ゲストたちからも大好評でした。


イベリコ生ハムとクリームチーズのトースト、フォアグラのナヴェット、仔牛の胸腺肉のエクレア、ヤリイカのファルシー、ホタテとズッキーニの串焼き、ラングスティーヌ海老の塩焼き……etc. 冷菜6品、温菜9品(しかも、これはあくまでも前菜、この後メインのお肉料理もあった)! あまりに素晴らしい料理の数々だったので、記念にリストを料理ノートにスクラップしておきました。

   お味もバスク的なら、量もバスク的な太っ腹ぶりでした(そして、お値段のリーズナブルさもハンパない、ということを付け加えておきましょう)。運ばれてきた料理の凄まじい量に、「人数、間違ってる?」と疑ってしまったほど。でも、デザートのガトー・オ・ショコラの数を数えてみると、確かに人数分だった……。

   またのイベントの際には、ミウラさんのお世話になりたい……と言うか、ミウラさんのケータリング料理を楽しみたいがために、催しを企画したい気分です。

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引き菓子づくりとマドレーヌ

   育児に追われてるうちに、めっきりお菓子時間が少なくなってきた今日この頃。そんな中なんとか時間をやりくりして、ギフト用のお菓子を焼き上げました。


たくさんのマドレーヌとフィナンシェ。

   欲をいえばマカロンやバターケーキなども加えて“焼き菓子セット”にしたかったけど……今の生活状況ではぜったいに無理! 「簡単なものをおいしく」をモットーに、シンプルに徹することにしました。

   材料を計る、生地を仕込む、焼く、ラッピングする。すべての行程は、“デモンストレーション方式”で行いました! ハイチェアを2台並べ、娘ふたりに見学させながらのお菓子づくり。道具や音、そして何より私の動作に興味シンシンで、なかなか良い娯楽になったようです。キッチンは安全にさえ気をつければ、最高の子守りスペースになり得るかも?


焼きたてのマドレーヌ。娘たちもお菓子を食べられるようになったら、真っ先につくりたいお菓子です。

   さて、マドレーヌとフィナンシェといえば焼き菓子の定番中の定番。私もよくつくります。卵、バター、粉という基本素材だけのお菓子が好きな私にとっては、特にマドレーヌは思い入れの強いお菓子のひとつです。

   今まで、いったいどれだけのマドレーヌ・レシピをトライしたことか……。シンプルな分、素材の良さ(バターは大切!)や、ちょっとした香りや甘みバランスで個性が出る素敵なお菓子だと思います。


今回のマドレーヌ・レシピは、“ねかせ種”タイプ。冷蔵庫で生地をじっくり休ませることで、独特のしっとり感と弾力を出すつくり方です。本来は「好きなときにいつでも焼きたてを」というのがメリットだけど、今回みたいに一度に焼く時間がない場合も好都合です。

   以前、東京で有名パティシエの面々が講師をつとめるお菓子講習会によく参加してました。難易度の高いお菓子とは別にマドレーヌが登場したことがあり、「なんでいまさらマドレーヌなの……」と不満を漏らしてる参加者の人もいたけれど、私は嬉しかった! お気に入りマドレーヌ・レシピはいくつか持ってますが、うち1つはこの時に教わったものです。

   マドレーヌは貝殻、フィナンシェは平べったい金塊型がお馴染みの形。トラディショナルなこの型で焼くのが、私はいちばん好きです。でも今回は、ハート型とバラ型という乙女スタイルに(?)焼いてみました。

   とある行事の引き菓子として、つくったからです。この行事のお話しは次回に。

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離乳食デビューの愛用品

   この2週間で、わが家の野菜と果物の消費量が飛躍的に増えました。リンゴだけでも、1週間の消費量は3キロ超! 娘たちがいよいよ離乳食真っ盛り期に突入したのです。

   「そろそろ離乳食を」と小児科の先生にアドバイスされてから早2ヶ月……なかなか食べてくれずヤキモキしていたのですが。ある日を境にいきなりアムアムと食べるようになりました。

   ふたり並んで小さな口をめいっぱい開いて待ってる様子は、ひな鳥そっくり! 「食べる」って行為のスゴさと面白さをあらためて感じてしまいます。おとなが勝手に決めたプログラムに従わなくても、自然に欲しがるようになるのだ……と納得。そして「ゴメンね」と軽く反省(嫌がってるのに無理やり口に押し込んだこともあったので!)


その1、小さな蒸し器機能。鍋と火を使わずに出来るのは安心便利です。わが家は電子レンジがないので、離乳食以外にも使用。


その2、小さなフードプロセッサー機能。とろんとつややかなリンゴのコンポートのでき上がり!

   一応、わたしも離乳食本というのを買ってみました。日本のとフランスのを1冊づつ。離乳食も料理の1つのジャンルとして捉えて読むと、興味深いものがありました。当然ながら、カルチャーギャップは相当あります。

   フランスの本に紹介されていた離乳食ビックリメニューをご紹介すると、ホロホロ鳥のリンゴムース添え(6ヶ月)、七面鳥のマロンピュレ煮(8ヶ月)、ショコラショー(9ヶ月)、ムース・オ・ショコラ(12ヶ月)……。食卓文化の根底がまるっきり違うのだから、離乳食が違うのは当たり前なのです。

   掲載フォトはわたしの離乳食つくりの2種の神器です。ひとつはBabycookなる小さな電化製品。フランス人の友人や小児科の先生が太鼓判を押していただけあって、超便利。「蒸す&すりつぶす&温めなおし・解凍」という三役をこなします。このマシーンなしの離乳食つくり、もはや私には考えられない!


1ポーション、おかゆなら30g、果物や野菜ピュレなら20g。洋梨やバナナのピュレにもリンゴを少量混ぜたほうがおいしそうに食べてくれるので、リンゴは万能コンポートとして常備してます。

   そしてもうひとつは、プティ・フール型。お菓子づくりをする人たちにはお馴染みのもの、シリコン型です。おかゆや果物ピュレなどを冷凍するときに重宝してます。シリコン素材の最大の利点、型出しがスルリと素早くできる点が便利(製氷皿ではこうはいかない)。

   シリコン型って、私は普段あまり使わないのですが(焼き目の付き方がどうも好きになれず)、ここのところ手持ちのものを総動員しても足りないほど。おかゆが薔薇やハート形に固まってるのは、可笑しなものがありますが……。

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「ショコラの街」のお菓子用チョコレート

   “今週の食材”にピックアップしたのはもちろんショコラでございます! バレンタイン近し、ですものね。

   私にとってチョコレートという素材は、たくさんのお菓子素材の中でも一番の難関もの。失敗の心配ゼロなお手軽レシピは別として、チョコレートを使うお菓子は本来とってもデリケートなので気が抜けません。

   “ビスキュイ・ショコラ”(敬愛する「ア・ポワン」の岡田シェフのレシピ!)を作るときなどは、おもわず手に汗かいてしまうことすらあります。温度調整や卵の泡だて方、混ぜ合わせ方などにより、おいしさレベルに雲泥の差が出てくるのです。

   出来上がったお菓子には、厳しく自己採点。失敗すれば大いに落ち込むし、上手く出来たときはひとり悦に入る……。こういう緊張感や達成感こそ、ショコラのお菓子の醍醐味だと思います。


ただ“溶かす”といっても、“何度に溶かす”かが重要なわけでして。私はデジタル温度計を愛用してます。希望温度が設定でき、アラームつきなので安全確実なのです!

   チョコレートといえば、ブランドや銘柄選びも楽しみのひとつです。ヴァローナ社、ペック社、カカオバリー社などのフランス大御所メーカーはじめ、スーパーで手に入るお手頃チョコレートなど。フランスに来たての頃は、数々の銘柄を買っては作りくらべ、食べ比べしてました。

   同じレシピでも、どのメーカーのどのチョコレートを使うかでお菓子の表情が変わってきます。利き酒ならぬ“利きチョコレート”は、同じお菓子を繰り返し作ると分かりやすい。私の場合、十八番のスフレ・オ・ショコラが利きチョコ専用のお菓子です。

   大手ブランドのほかに、密かに気に入ってるマイナーブランドもあります。バイヨンヌのショコラティエで調達する、製菓用ショコラ。こちらは地酒ならぬ地チョコレートです。


自家製レモンコンフィでつくる、“シトロネット”。これは、フランス人ゲストにすこぶる好評な一品です! コーヒーのおともに、小さなお茶うけにと大活躍。


老舗ショコラティエ「Cazenave」の製菓用ショコラ。カカオ分70%、きりっと引き締まったストレートなビターさです。テンパリングによるブルーム現象(シミが出来る)が出来にくいのもお気に入りの理由。100g当りで換算すると、お値段はヴァローナよりも高いのですが……!

   以前ヴァローナのストックがきれた時に「せっかくチョコレートの街に住んでるのだしね」と思い、使い始めたのがきっかけ。いつものスフレで試食してみたところ、「いかにもバイヨンヌチョコ!」というビターさが気に入りました。以来、ヴァローナに負けず劣らず愛用してます。

   卵、粉、生クリーム、バター、そしてココアとチョコレート。私のガトー・オ・ショコラの材料はすべてバスク生まれです!

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マテスク里佐プロフィール

バックナンバー
バスク式のお祝いケータリング料理 (2月24日)
引き菓子づくりとマドレーヌ (2月17日)
離乳食デビューの愛用品 (2月10日)
「ショコラの街」のお菓子用チョコレート (2月03日)


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