更新日:2008年10月28日

バスク地方は、フランス南西部~スペイン北部に広がる緑と水のゆたかな土地。お菓子とおいしいものが大好きなマテスク里佐さんのオーブンからは、今日も甘くて香ばしいいい匂いが立ち上っています。里佐さんがバスクで出会い・学んだお菓子やお料理、そして人々の暮らしの様子について、レシピとともにお届けします。

文=マテスク里佐
   

子連れフランス料理の心構え

   日本にはときどきある「子連れお断り」レストラン。フランスでは絶対にありません! 乳児だろうと幼児だろうと、どんなフォーマルなレストランへも堂々と同伴できます(子連れOKですか?という質問をしたら、逆に驚かれてしまうかも)。

   フランスは犬連れ外食がごく普通に許されてるお国。お隣りのテーブルの下をふと見ると、ワンちゃんがじっと佇んでいる。そんなシーンは当たり前の光景です。ワンちゃんが許されて、人の子が断られるハズはないのです。

   ただしワンちゃんも子どもも、お行儀よいことが大前提。連れて行く権利が保証されているからこそ、親の躾と管理能力が要求されます。


Bidartの一つ星レストラン、「Frères Ibarboure」にて。窓際のとても気持ち良い席を用意してもらいました。こんな風にベビーシートを椅子の上に置かせてもらいます。陽射しが強くなると窓外にパラソルを置いてくれたり、キメ細かな心遣いをしてもらい感激。おかげで娘たちもゴキゲンに過ごしてくれました。


バスクの夏の美味といったらコレ「マグロのカルパッチョ」。どこに行っても私が必ず頼む前菜です。ここの味付けはタプナードがポイント、そして豪華にトリュフつき!

   我が家が子連れ外ごはんをデビューしたのは、生後7週間のとき。以来、タイミングを計りながらちょくちょく出かけています。今のところ毎回とても大人しくしてくれるので有難い。母の息抜きに協力してくれる娘たちに感謝感謝なのであります(家に戻るとおもいっきりサービスして感謝の念!)

   予約時には必ず「乳児2人連れ」ということを伝えるようにしています。すると、あらかじめスペースに余裕があるテーブルと椅子、他のお客さんに迷惑でない場所、居心地の良いスペースを用意しておいてもらえます。


メインは「オマール海老のソテーとイカのリゾット」の一品を。ここのお店は、イカ、海老、カニ、ホタテ、といった甲殻類料理が絶品なのです。お肉料理よりも断然におすすめ!


迷った挙句、デザートに選んだのは「グランマルニエのパルフェ」。とってもおいしかったので、ぜひ真似して作ってみたい。って、いつのことになるやら……。

   大事なのは入店時間。開店時間にいちばん乗りする。またはぐっと遅くして他のお客さんがメインを食べているような時間に入店する。混雑のピークを外すと待ち時間がかなり短縮でき、フランス料理特有の長い食事にもハラハラしすぎることがありません。

   なんて今は余裕ぶってますが、「楽しめるのもそろそろ限界かナ」というのが正直なところ。あと半年も経てば、ハラハラ→イライラ→グッタリで食事を楽しむどころではなくなるかもしれない。只今、我が家の最大のミッションは常任ベビーシッターさんを探すことです!

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ワインの国の泥棒事情

   世の中にはいろんな泥棒がいるけれど、フランスには“ワイン泥棒”というのが存在します。夜な夜な人様のカーヴに忍び込み、ワインボトル(もちろん価値あるボトル!)を盗んでいくドロボーです。

   こんな泥棒が存在するなんて! 知ったときは驚きました。でも考えてみれば、ヘタな宝石などよりずっと高価なワインが存在するのだから、専門のドロボーがいたっておかしくない。それに、カーヴを所有するのが珍しくないお国なのだから、存在して然るべき泥棒なのです。

   知人で実際に被害に遭ってしまった人がいます。その方の場合、高級ワインを盗られただけ(それでも充分に悔しいはずだけど)で済んだので、まだマシなのだとか。性質の悪いドロボーの場合、盗り残すボトルを壁や床に叩き割って去っていくという悲惨な置き土産を残していくそうな……。

   掲載フォトは、義両親宅のカーヴ。もしここにワイン泥棒がやってきたら、舌なめずりするであろうお宝ワインも眠っています。そして、もしそれを盗られてしまったとしたら義父の怒りと哀しみはいかほどのものか……!


1年中、理想的な湿度・気温を保っている地下カーヴ。10平方メートルほどの蔵全体の壁面に手製の木製棚が据え付けられ、ずらりとボトルが並んでいます。初めてこの酒蔵を見たときは度肝を抜かれました。

   義父のワイン熱とワインへの投資の仕方は、飲酒という範囲を超越しています。飲むことはもちろん、コレクターになる道楽。長い年月と惜しまぬ手間ヒマをかけたコレクションです。

   そんな彼のコレクションの充実に一役買っているのが、ワインの競売。このエリアでは、ビアリッツのオークション会場で不定期に開催されます。

   面々たる銘柄が並ぶワイン・リスト。リスト片手に真剣な面持ちで競買する人々の様子。ボトルによっては、白熱バトルを繰り広げる競りの模様(ようやく決着がつくと、会場から思わず溜息が漏れる!)「ワイン1本にこんな大枚をはたいしまう!?」という高額プライス。毎度ながら圧巻されます。


私の両親がはじめてカーヴに案内されたときの懐かしフォト。今夜のワインセレクトに熱中している夫、撮影者は私の父。あの時の父の仰天ぶりが思い出されます。


蔵の真中を占めているのは、金属製のワイン棚。ここにはまとめ買い系ワインやデイリーワインが並んでいます。

   ところで、「写真撮影はご法度のハズ」と今までオークション中のカメラ撮影は遠慮していたのですが、前回のオークション中に撮影している人達を発見。次回参加の折りは、私も絶対に写真を撮ってこよう! このオークションの模様、いつか詳しくレポートできればいいナと思ってます。

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異国暮らしのフランス人が恋しがる食べ物といえば

   「フロマージュは別腹」。フランス人の食べっぷり、目を細めて舌鼓をうってる様子を見てるとそんなフレーズが頭をよぎります。

   私は“デザート専用腹”なら持っています、しかも立派で頑丈なヤツを。レストランに出かけといて、甘いものをパスするなんて絶対に有り得ない! ではフロマージュ用はどうかというと……ここ数年、ようやく“小さな別腹”を抱え始めたところ。

   フロマージュそのものは以前から大好きです。フランスのフロマージュ文化に敬意のような気持ちすら抱いてます。ワインがなおさらおいしく飲めるという特典まであるし。

   問題は、お腹の体力。フランス料理をがっちり食した後に、まるでダメ押しかのようにフロマージュで〆る。その食事スタイルに慣れるのには随分時間を要した気がします。


舌なめずりしたくなるプラトーを目の前にしながら、別腹が用意されていないばかりにあえなくギブアップ。そんな、今となっては舌打ちしたくなるような体験は数知れず。

   で、ある時からどんなにお腹が苦しくても果敢に挑戦するようにしたのです。と、あら不思議。スルスル食べられる!? しかも、お代わりまで……! フロマージュは食べた瞬間に“別腹”を出現させる不思議な食べ物、これぞ発酵食品の魔力なのだと知りました。

   自分の町にお気に入りフロマジュリーを見つけること。フランス各地のフロマージュ農家を訪れるという旅の余興。ここぞというレストランに出かけたら、絶対にフロマージュを頼むこと。マルシェで農家の人が売っている名のないフロマージュをも愛でること……etc。あらゆることを教育してくれた人、それはフロマージュ大好き人間の夫です。


パンとワインとフロマージュ。このおいしさの相乗効果といったら! 酒飲み体質で良かった(父親の遺伝子に感謝)……! なんて思ったりするのもこの瞬間。

   ガイコク暮らしのフランス人がいちばん恋しがる食べ物はフロマージュ、というのはよく耳にする話。でも東京暮らしの頃、彼はそれほど恋しいと思わなかったとか。なぜなら、日本には日本のおいしい発酵食品(別称、クサい食べ物ともいう)がワンサカあるから。それでもたまに思い出したように恵比寿の某チーズ屋さんに買いに行っていたそうですが。

   私も以前ほど日本の発酵食品(主に納豆ですね)に執着しなくなった気がします。無いものねだりしてジタバタするより、フランスで堪能できるものを楽しんだほうがいい。そう悟るまで、何年も費やしてしまいました。

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“バスクの別荘”への常連ゲスト

   すっかり秋めいてきました。春もいいけれど、バスクの四季の中で私的にいちばんオススメなのは秋!

   とくに秋晴れの日の気持ちよさは格別です。青空は夏の面影、陽射しは黄金色の秋の輝き。思わずランチボックス持って出かけたくなります。


散歩道で見つけた初秋の色どり。

   秋が好きな理由はもうひとつ、私の両親が遊びにくる季節でもあるから。もともと旅行好きな我が両親。年に2度遊びに来る年もあるほど、バスクを気に入ってくれてます(いくら娘が住んでいようと、良いところでないとここまで頻繁には来ないハズ)。いままでの訪バスク回数は数え切れないほどになりました。

   毎度ながらスーツケースに日本食をどっさり詰め込んで、バスクの別荘(我が家のこと)まで来てくれます。マルシェ事情や我が家のキッチンも勝手知ったるもの。フランスと日本の食材を組み合わせて美味しい手料理まで作ってくれます、有難い……。

   「申し訳ないなぁ」と思うのは、還暦過ぎの両親にとってあまりに旅路がハードなこと。実家から我が家までの移動時間は、door to doorで約20時間。空港に迎えにいくと、やつれ顔の両親が降り立ってきます。


毎度訪れるのが恒例になっている、サン・ジャン・ピエ・ド・ポー。我が家から車で1時間、景色も気持ちよくって午後の散歩にぴったりな町です。カフェに入って父はビール、母と私はアイスクリームというのもお決まりなコース。

   今年初回の記事でお伝えした通り>>、シャルル・ド・ゴール空港~ビアリッツのエアフランス便は運行停止となりました。代わりにeasyjet社が運行していますが、日本便との乗り継ぎにはいささか不便すぎて、我が家では利用してません。

   結局、エアフランス便でお隣りのポー空港を利用するようになりました。ただでさえ長旅なのに、これでさらに移動時間がプラス1時間に。

   私自身も只今、帰国の段取りを検討中です。バイヨンヌ→ポー→シャルル・ド・ゴール→成田→実家という行程を、双子の乳飲み子同伴でいくハードスケジュール。想像しただけでクラクラ眩暈がしそう!

   検討しないといけないこと、事前確認しておきたいことが山積みです。といっても、これまた、一見は百聞に如かず。一度体験してみないと分からないことだらけのハズ。“母は強し”の心境でガンバりたいと思います。


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マテスク里佐プロフィール

バックナンバー
子連れフランス料理の心構え (10月28日)
ワインの国の泥棒事情 (10月21日)
異国暮らしのフランス人が恋しがる食べ物といえば (10月14日)
“バスクの別荘”への常連ゲスト (10月07日)


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