更新日:2008年5月27日

バスク地方の暮らしとお菓子のレシピ「バスクの砂糖壺」


バスク地方は、フランス南西部~スペイン北部に広がる緑と水のゆたかな土地。お菓子とおいしいものが大好きなマテスク里佐さんのオーブンからは、今日も甘くて香ばしいいい匂いが立ち上っています。里佐さんがバスクで出会い・学んだお菓子やお料理、そして人々の暮らしの様子について、レシピとともにお届けします。

文=マテスク里佐
   

追悼、おばあちゃんとお菓子の想い出




   この春ミモザの花が満開に咲きほこっていた日に、義祖母が亡くなりました。92歳でした。

   豪傑にしてチャーミング、健啖家の酒豪。90歳まで現役でキッチンに立っていた、根っからのお料理お菓子好き。フランスに到着後、夫に真っ先に紹介された人でした。


お元気な頃はおひとりで飛行機に乗って年に数度はバスクに遊びに来てくれました。これは私の両親の来仏に合わせて来てくださった時の思い出深いフォト。

   初対面の日パリのアパルトマンへ行くと、エレベーターを降りてすぐにお菓子の香りが……。家の扉はすでに開かれていて、モスグリーン色の眼をしてグリーンのブラウスをお召しのおばあちゃんが玄関で待ち構えてました。

   あまりの緊張でどんな風に初対面の挨拶をしたかの記憶はないのですが、家にあがると焼きたてのお菓子の香りでいっぱいだったことを覚えてます。その香りがどんなに私の緊張と不安を和ませてくれたことか!

   オレンジのババロアのシャルロット、ガトー・オ・ショコラ、そして小さなメレンゲの焼き菓子。3種類ものお菓子が用意されてました。小さなボウルには、ガトー・オ・ショコラに添えるためのホイップクリームもおいしそうに泡立てられていて! そして飲み物はコーヒーでもお茶でもなく、きりりと冷えたシャンパン。

   この出会いの日を皮切りに、お菓子を掛け橋に孫嫁として可愛がってもらいました。パリにいくと必ずアペリティフやお菓子の時間に招いていただいたし、レシピノートの写しっこをしたり、レッスンをしていただいたり。お菓子や料理(そしてお酒も)が大好き! 1つ共通の世界を持ってるだけで、世代や環境やコトバの壁を越えて親密度を増せたことが嬉しかったです。

   夫と3人でパリの星つきレストランへ出かけるという楽しい夜もありました。私でも苦しくなってしまうようなポーションのお料理をぺろりと召し上がる姿、シャンパンの豪快な飲みっぷり、思わず笑ってしまうユーモアある言動に、サービスの人が微笑ましいコメントを言ってきたほどです。


レシピが無形遺産だとしたら、こちらは有形遺産。カトラリーやプレート、そしてお茶やお菓子まわりの小道具たち。結婚記念日やクリスマスごとにご愛用の銀製品をひとつひとつ贈っていただきました。どれも大切な宝物。

   私の手元には頂いたたくさんのレシピノートや古いお菓子本が残りました。そして年季の入ったお菓子道具や古い銀製品の品々。これからもずっとずっと、お菓子をつくる度に、お菓子をいただく度にいろんな想い出がよみがえると思います。

おばあちゃんのお菓子とお菓子にまつわるエピソード

●おばあちゃんのお菓子「杏のカトルカール」>>
●おばあちゃんのお菓子「ガトー・オ・ショコラ」、1つのレシピで2つのお菓子に。>>
●只今じっくり解読中、おばあちゃんの古い料理本&大昔のレシピノート>>
●おばあちゃんの得意技、コーンスターチ使いのカトルカール>>
●おばあちゃんからの贈り物、銀のデザート・スプーン>>
●我が家に招いたお菓子講師とは? そう、あの方です>>
●お作法道具の仲間入り、おばあちゃんからの「銀のケーキサーバー」>>


コメント (12) | トラックバック



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旅行では知り得ない、粋でチャーミングなフランスの
おばあちゃんの生活や考え方や料理のレシピを
教えていただくことができていつも感謝しています。
この度は本当に残念でしたが、
おばあちゃんから引き継がれたものは、これからも
リサさんのブログににじみ出て
変わる事がないんじゃないかなと思ってます。

投稿者 おばた : 2008年05月12日 23:34

お祖母様のご逝去、心からお悼み申し上げます。また、お気落ちの程いかばかりかと存じます。
受け継いだレシピやお道具の数々が、お2人の温かい絆をこれからもつないでくれると思います。

おばあさまご自身の婚礼衣装姿、マテスクさんご夫妻の結婚式でのおばあさまのうるうるした目が特に印象に残っています。

投稿者 marille : 2008年05月12日 16:10

今年のバレンタインでオランジェットの作り方を調べて偶然にもマテスクさんのページを見つけて依頼愛読?!しています。
素敵なおばあちゃま本当に残念です。
でも大好きなお菓子作りを最近まで楽しまれていたことや、孫嫁であるマリさんの存在、幸せだったことと思います。
わたしもおばあちゃんのレシピでお菓子作ります!!

投稿者 rui : 2008年05月12日 00:20

娘が買ってきたKUSMI TEA以来の読者です。(以前、コメントのお返事をいただいた事のある鳥取の…)

お洒落感いっぱいなので、毎回楽しみにしています。

この2月に義父が94歳で他界し、諸々でバタバタしていました。ようやく落ち着いたので、久々に拝見させていただいたら、あの素敵な義祖母様がお亡くなりになられたとの事、心よりご冥福をお祈りいたします。とてもお寂しくなられましたね。

入江麻木さんの著書世代の私にとっては、里佐さんのお祖母様はとても魅力的でした。

お力を落されませんように!これからもずっとブログの中で、思い出の写真やレシピを通して、お祖母様をご紹介してくださいネ。

遠く離れた田舎に住む私でさえ、何だかとても寂しいです。ご家族の皆様によろしくお伝えくださいませ。

投稿者 寺谷昌江 : 2008年05月11日 08:34

おばあさまも、孫嫁とお菓子でつながれて、さぞ嬉しかったことでしょう。英語でshe was survived by her grand childrenというけれど、こうやって銀製品やレシピが次世代につながっていく、すてきなことですね。All my thoughts are with you.

投稿者 bluepines : 2008年05月09日 19:48

おばあさんのレシピがリサさんに受け継がれて、そして遠く離れた日本にいる私もおばあさんのレシピでお菓子を焼き、また誰かに伝わる・・・。
とてもステキなつながりだと思いました^^
そしてお菓子とシャンパンの組み合わせとっても粋ですね。おばあさんのご冥福をお祈りいたします。

投稿者 yuko : 2008年05月08日 23:43

さびしいですね…

おばあさまはりささんと縁あって逢えたことを
喜んでおられたと思います。

同じ喜びを共有できて。
歴史や伝統をたっぷり抱いたレシピや、
愛用されてきた道具たちを伝えられて。
いくつもの楽しい時間を一緒に過ごせて。

ご冥福をお祈りいたします。


投稿者 りり : 2008年05月08日 21:20

江戸っ子と相通じる精神を感じました。
ご自身の伝統を大切にし、守られたパリっ子で
いらっしゃったのですね。(パリジェンヌと
いうべきか・・・文才がなくてごめんなさい。)
可愛い子供達に囲まれて、
おばあさまもお幸せでしたでしょうね。
ご冥福をお祈り申し上げます。

投稿者 akiko : 2008年05月08日 16:46

お話をとっても楽しみにしておりましたので、とっても残念です。

いただいたレシピ全部トライしては
好評を博しております。ありがとうございます。

きっといまは自由に色んなお菓子をシャンパン楽しみながら振舞っていることでしょう♪

おばあさまのご冥福をお祈りいたします。

投稿者 ayayan : 2008年05月08日 11:47

お二人の心のつながりがとっても
深かった事を改めて 感じました
おばあさまのケーキレシピ大好きです!
そして おばあさまの結婚式の写真も
心に残っています
おばあさまのご冥福をお祈りします。

投稿者 鮎 : 2008年05月08日 09:56

不思議なもので、こちらのエピソードを拝見してきたせいだと思います。とてもよく知っている方の訃報をきいたような気持ちになりました。心からお悔やみ申し上げます。
お菓子にシャンパンの組み合わせ。デザートにシャンパンの組み合わせ。クールな組み合わせですよねぇ。本当に素敵な方だったのだと思います。
ご冥福をお祈りいたします。

投稿者 kaz : 2008年05月07日 16:35

おばあちゃんとのエピソード大好きでした。
なので、とても残念なニュースです...。
おばあちゃんのご冥福をお祈りします。

リサさん、おばあちゃんのレシピをまた紹介してくださいね。

投稿者 ヤヨイ : 2008年05月07日 11:26


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