カテゴリ: 外で食べたおいしいもの
2008年4月29日
春のとある日の食卓。義両親宅での週末ランチです。春のバスクの旬素材、アニョー・ド・レ(ミルクだけで育った仔羊)料理が主役でした。

とても楽しみな義母のテーブル。家にあがると真っ先に食堂をのぞいて“本日のコーディネート”をチェックします。テーブルを見れば彼女のこの日のご機嫌、張り切り具合が分かるといっても過言ではない?この日は“バスク織りのさくらんぼ模様のクロス”。ってことは今日はカジュアル路線の日なのね、と言う具合。
仔羊といえば、昨年春に“乳飲み子の赤ちゃん仔羊”をご紹介したところ、「ちょっとショック!」というコメントをいただき、恐縮してしまいました。私もバスクの山々でカワいい仔羊たちを見る度に罪悪感を感じることはあるけれど……いったん食卓に座ればこうしておいしく頂いてしまっているのです、ゴメンナサイ。

もちろん新鮮な内臓が手に入るからこそ。内臓料理、実は大得意ではないけど(食べられますが)、このお料理は本当においしいと思う。パイ皮で包んでいるから、こんがりと焼かれてるから、そして何よりも素材が良いからだと思います。これが前菜っていうのには「さすが肉食文化」って思わずにはいられませんが。
義母がつくる仔羊料理レパートリーの中でも、いちばん手間と時間のかかってるスペシャリテがこちら、内臓料理です。内臓を全て荒みじん切りにして、ハーブと玉ねぎ、ゆで卵のみじん切りを加えたフィリングを大きな俵形にまとめます。それをパート・ブリゼで包んだものをオーブンでこんがり焼き上げ、厚めに切り分けて供します。
何度か作業を見学させてもらったことがあるのですが、「内臓すべて荒みじんに」って部分にさすがに抵抗を感じる……(触るのが)。「フードプロセッサーでガーッとやったらダメですか?」と愚問を呈したところ、「やわらかいからペーストになってしまって食感が台無しになるの。包丁で大きめにカットするからこそのおいしさなのよ」とのこと。確かに、噛んだときのこの微妙な食感は手刻みだからこそかも。

続いてメイン料理の“仔羊のロースト”。柔らかくしっとり焼きあげます。

今季お初の苺、おいしい!

実はこの日、私はデザート担当で持参する予定だったのですが、見事に失敗してしまい急遽お菓子屋さんでケーキを調達!ガナッシュとムースの2段重ね、甘くてクドくて食べ終わるのに四苦八苦してしまった(バスクのお菓子屋さんのチョコレート菓子って激甘)!つくづくと失敗したことが恨めしかったです……。
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“小嶋ルミさんレシピ”のシュークリームに初トライ!
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シュークリームが大好き。子どもの頃も、そしていろんなおいしさが分かるおとなになった今でも、変わらずにおいしく感じるお菓子です。そして日本にいたときも、フランスに暮らすようになってからも、同じようによく作ってます。
シュークリームは私にとってのターニングポイント、お菓子“デビュー”を飾ったものでもあります。19歳の大学生の春、ドキドキして通いはじめたお菓子教室でのファーストレッスンのメニューがシュークリームだったのです。
あまりに感動して、数日間私の頭の中はシュークリームが独占して夜も寝付けないほどに! しばらく大学の授業なんて放棄して、シュークリーム作りに熱中しました(さすがに数日目には親に叱られて復学しましたけど……)。

愛用レシピを浮気して、今回は小嶋ルミさんの「ミトンズシュークリーム」に初挑戦。クリームのぽてっとした感じ、ほっくりした佇まいは“ミトンズシュー”ならではの可愛さ!
それに、フランス暮らしをスタートして「さてさて、フランスの材料でお菓子を作ってみよう」とまず作ってみたのもシュークリーム。新境地でのお菓子生活の幕開けもこれでした。
バター、牛乳、卵、粉、生クリーム、砂糖、バニラ。お菓子の基本素材が全て使われ、高価な材料や特別の道具も必要としないシンプルなお菓子だからこそ、材料の質の違いや出来上がりの差を実感できるのが良いところ。

小嶋さんルセットの特徴その1。「生クリームを分離寸前まで泡立てる」。フランスの生クリームは乳脂肪分が低いので、濃くしたいときは生ミルクの上澄みクリームを足すことによってパーセンテージ調整をしています。

小嶋さんルセットの特徴その2。ひたすら「水分を飛ばすように炊き上げたカスタード」に上記の生クリームを「わざとムラが残るように混ぜる」。確かに画期的な作り方でとても勉強になったのですが、バスクの濃厚素材ばかりで作るとやたらコッテリしたクリームが出来上がってしまう。試食した夫の第一声は「これ、バタークリーム?」……というわけで我が家には定着しそうになく。
そしてもうひとつ、シューは私にとって「オーブン試し」のお菓子でもあります。今まで何台ものオーブンを使ってきましたが、新調した日にまず焼いてみるのがシュー生地です。オーブンの扉の前でじーっと佇み、みるみる膨らんでいくシュー皮の様子を観察すること30分。熱の廻り方、焼きムラの有無、熱源の強度(特に下火の火力)は一目瞭然です。
ところで、シュークリームといえば日本の全国津々浦々のお菓子屋さんにだってありますよね? なのにフランスのフツーのお菓子屋さんでは、あまり見かけないお菓子。特にここバスクで見たことあるのは、わずか1、2軒。エクレアは大抵のお店に置いてあるのに……。
「自分で作らない限り、口にすることが出来ないお菓子」って希少価値(?)も加わり、ますます私のシュークリームづくりに熱が入るのです。
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春は卵の季節。果物や野菜に旬があるように、卵にだって旬があります!
スーパーマーケットのパック入り卵に慣れてしまうと気がつかないのが普通ですが、バスクの朝市で毎週卵を買っているうちに自然と分かるようになりました。自然のものなのだから、卵にも春夏秋冬があって当然ってことに。
年に数回、いつもの卵屋さんに「今日は卵はないよ」と言われてしまうことがあります。真冬の凍える日が続いた週は産卵数が激減してしまうから。そんな日は、卵を手に入れるために何軒かの農家の人をハシゴするなんてことも。
草樹の緑が芽吹いてくる季節になると、どの農家の人の籠にも卵がいっぱい詰まってる! 籠の上までこんもり積まれた卵を見ると、「あぁ、春だなぁ」と嬉しくなります。

籠はみんなそれぞれ風情があって、とてもかわいい。持参した卵ケースに、ひとつひとつ目の前で入れてくれます。
バイヨンヌの朝市で売ってる卵はどれももちろん、“フェルミエ卵”(農家の産みたて卵)。鮮度は保証つきなのですが、フェルミエだからすべて極上の卵かって言うとこれまたちょっと違うのでありまして。「フェルミエ卵こそ吟味して選ぶべし」っていうのが私の6年間の卵体験による結論。
養鶏舎でオートメーション化されていない卵だからこそ、農家によって如実に差が出るのは当然のこと。鶏の餌、鶏そのものの健康度、そして鶏の年齢など。飼育環境と鶏の違いが見事に卵の質に現れるのです。
お気に入りの農家の人を見つけてしばらく買い続けたものの、段々と卵のレベルが落ちて来てるって感じたり、割ってみたらほとんどの卵が大量出血していて(!)悲鳴をあげてしまったことも。
ここ1年ほどは、馴染みの鶏農家を3軒キープしてます。特に今いちばんひいきにしてる農家の卵は、惚れ惚れしてしまうほどの極上品! 黄身はツヤツヤのオレンジ色、白身も黄身もぷっくらと盛り上がってて新鮮そのものです。

マルシェ帰りの朝は、“目玉焼きのせトースト”で朝ごはん。うちは卵を全く食べない日もあるけど、食べるときは豪快に主役にして食べます!
マルシェの買い物客の中にはここの卵の固定ファンが少なからずいる模様だし、かなりの限定品です。だから「早起きは三文の得」が我が家の標語。もうちょっと布団にくるまっていたいなーって思っても、この卵のためならムクっと起きられる(?)そんな偉大な卵です。
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いよいよ春!
窓から射し込む光が明るくなりました。どんどん日照時間が長くなってきました。何が嬉しいって、朝日が昇った後に朝食をとれるようになること。朝ごはんの時間が冬の何倍も楽しくなります。
早春の頃のバスクの景色は本当に綺麗。ちょっと出歩くだけでも、目に入る景色は春うらら。牧歌的で生命力に溢れています。

我が家から徒歩10分でこんな景色が広がってます。
早春の草樹の色はちょっとスモークがかったような不思議な緑。柔らかな白いお花が咲き乱れていて、ぼんやりと霞がかった色あわせ。今年は桜のお花見は出来なかったけれど、これが自分にとってのお花見かなぁなんて思えます。

赤い屋根と白壁とのコントラストがより際立ってくる季節。
食卓にも春がやってきます。 マルシェの野菜が若草色に衣替えするまで、もう一息といったところ。アスパラガス、新じゃが、新たまねぎ、新キャベツと新もの一揃い、それに大好きなグリーンピースやそら豆……。
私の大好きな料理に“ナヴァラン・プランタニエール”というのがあります。仔羊と野菜を煮込んだ春のお料理。バスクのおいしい仔羊と色鮮やかな春野菜を同時に楽しめる素敵なお肉料理です。そのほかにもこの時期のレストランのメニューにはプランタン(春)という文字が躍っていて、嬉しくなってしまう。
でも家でつくるなら、もっとシンプルで野菜が主役な料理をたくさん作りたいなっていうのが本音。外で春の素敵なフランス料理も食したいけど、単純な野菜家庭料理も捨てがたい! 食事回数が足りない……と、春は欲張りな悩みが増える時期なのです。
心躍る季節にむけて、バスクの旬素材や季節のお菓子をたくさんご紹介していきたいと思ってます。お楽しみに。
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カテゴリ: バスク地方について
2008年4月01日
バスクはフランス~スペインにまたがる地方。住んでいる者にとっても旅で訪れる人にとっても、ふたつの国を行き来できるのはたまらない魅力。自分たちが大好きだからという理由も大きいけど、ゲスト達とも必ず一度はスペイン側を訪れてます。
長らくお届けしてきた「バスク6days」の過ごし方、最終日はスペインへ!
5ejour 1300 パンプローナ散策
パンプローナは夏の“牛追い祭り”でつとに有名な町。そんな獰猛な(?)イメージとはうらはらに、普段の町の姿はとっても穏やかな空気が流れる素敵な町です。
街の建造物を見学したり、カフェに入ったり、小さなお店を覗いたり……。昔ながらの金物道具屋さん、家庭雑貨用品店、写真館など、まだまだ古き良き時代の雰囲気が漂う商店が残っているところが良い感じ。束の間の“ガイコク気分”を堪能できます。

パンプローナのレトロで優雅なカフェにて。今回のステイ中に婚約報告をしてくれたニコラとマリナ、私にとっても最高に喜ばしいニュース。ふたりともおシゴトは官僚です。頭よくって地に足ついた、でもユーモアと茶目っ気もたっぷり持ち合わせてる素敵なカップルです!
1600 サンセバスチャンへ
この街の魅力については既にトウトウと語ってしまってるので今更特筆することもないのですが……。(サンセバスチャンのお話は、こちらの過去記事をどうぞ>>)とりあえず、食道楽に溺れたいなら絶対に外してはいけない街! 楽しいバル巡りのピンチョス、豪快なバスク料理、数多の星つきレストランが手招きして待ってます。
でも最近ふと気がついたことがあるんです、この街の食に100%適当できてるガイコク人って実は日本人くらいなのではないかと(極たまにいらっしゃる、胃腸が弱くてオリーブ油に反応してしまう人は論外ですが……)。日本人の食材適応範囲、味付け適応力でもってしたら、この街で口に出来ないものはほとんどないはず。
たとえば今回のゲストのマリナは、アルプス山脈の麓に広がるサヴォア地方出身。お皿の上に横たわる“タコ”の姿を目にしたのは、今回が生まれて初めての経験だったのです!聞いた私も驚いたけど、彼女にとってタコは“海の生き物図鑑”くらいでしか見たことなかった生物だったというわけ。

サンセバスチャンでよく通ってるレストラン、『ボデゴン・アレハンドロ』へ。前菜の“ラングスティーヌ海老のリゾット”、おみその濃厚な味がコメの芯まで染み込んでて美味! マリナはこういうのもちょっとダメみたい。
さて最後に大事なアドバイスをひとつ。スペイン側バスクへ行く際、パスポート携帯をお忘れなきよう! 同じ地方だしフラっと気軽に行けるものだから、つい忘れがちなんです。私自身ここのところすっかり油断して“不法入国常習犯”だったので、自戒の念も込めて書いてます。
ほとんどの場合ノーチェックですが、国境以外でも提示を求められる可能性だってあるし、いざって時に不所持の場合「不法入国者」として逮捕されてしまいます。これはスペインバスクからフレンチバスクに遊びに来る場合も同様です(いえ、サルコジ政権の今はもっと大切かも)。
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