更新日:2007年9月25日

バスク地方は、フランス南西部~スペイン北部に広がる緑と水のゆたかな土地。お菓子とおいしいものが大好きなマテスク里佐さんのオーブンからは、今日も甘くて香ばしいいい匂いが立ち上っています。里佐さんがバスクで出会い・学んだお菓子やお料理、そして人々の暮らしの様子について、レシピとともにお届けします。

文=マテスク里佐
   

世界でいちばん一眼レフカメラが多い街

   オーストリアを南に下り、イタリアへ入国。世界でいちばんフォトジェニックな街、ベネチアへ行ってきました!

   フォトジェニックって言う表現は語弊がありますね。「写真うつりが良い」のではなく、被写体そのもの、降り注ぐ光が神がかり的なのだから。誰をも“にわかフォトグラファー”にさせてしまう街。それがベネチア!


海と空、そして人間が創り上げた街。この3つが融合した壮大な景色が広がってます。

   世界中の数々の観光地の中でも、これほど写真熱狂者が多い街はないのではないかしらン? しかもコンパクトカメラではなく、一眼レフ所有率が高いのも特徴ですね。

   すれ違う人々の40%(いやもっと?)くらいは一眼レフだったかも! これってすごい比率だナ、と思うのです。そう言えば、交換レンズのカタログなんかでもベネチアの風景ってよく使われているしなぁ、なんて思い出しました。


イタリアンマダムってやっぱり素敵な人多いですね。例えば船上でお見かけしたこちらのマダム(多分お歳は60代後半とお見受けました)、美しいオーラが漂ってきました。ボーダーTシャツもコーディネートひとつでこうまでエレガントに仕上がるのね。やっぱり靴って大事なんだなぁ。などなどお勉強になりましたです。

   カメラといえば、忘れられないシーンがあります。数年前、フランスのとある片田舎な町(筆者注・バスクではありません!)に立ち寄ったときのこと。私たち日本人一行サマに向かって、八百屋のおじさんが話しかけてきたんです。

   「オイラの(こう翻訳するのがピッタリなオジサンだった)日本人と中国人の見分け方を教えてあげようじゃないの。アンタ達みたいにカメラぶらさげてウロチョロしてんのが日本人! どうだ、大当たりだろう? しかしねぇ、野菜なんて撮って面白いかい?」


あのオジサンに言わせると、"ヘンな趣味"なんでしょうけど……。八百屋さんは好きな被写体です。


今年もパスタ料理を堪能してきました! それにしても乾燥パスタがさすがに安い(って当たり前?)。同じメーカー製品がフランス価格の半額以下。

   カメラ持って旅行に出かけるたびに、オジサンの歯が抜けた大きな笑い顔を思い出してしまう……。彼の鋭いご指摘はご尤も! 特に、マルシェだとか食べ物がらみの風景に私たちがヨワい(確かにこういうものを撮影している他の国の人ってほとんどいない!)ことは認める。

   でもカメラ大好き人間は日本人だけじゃなくって万国共通じゃないの!とベネチアに来ると、ちょっとホっと(?)してしまう私です。

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ヴァカンスの達人たちの過ごし方

   フランス人の夏のバカンスは平均1ヶ月間。同じヨーロッパでも、ドイツやオーストリアなどのゲルマン系のお国ではどれ位なのでしょう? だいたい3週間くらいなのではないかしらン?と、私は勝手に予想しているのですが。


湖畔に建つホテル。現オーナーは3代目というファミリー経営の宿。湖で泳いだり(冷たすぎて私はムリですが!)、遊覧船で街に散策しに行ったり、読書したりして過ごします。


宿でのお料理は、家庭的で材料がとても新鮮なところが気に入ってます。ゼリー好きなので、アスピック料理があると迷わず頼みます。前菜にいただいた「野菜のアスピック」、野菜たっぷりが嬉しかった一皿。


いかにもウィーン菓子的な「ベリーのトルテ」。ここのはココアスポンジ、イチゴ風味のクリーム、ミックスベリーのゼリー寄せの組み合わせでした。

   宿泊先は常連のお客さんだらけで、毎年同じ顔ぶれに会うことが出来ます。しかも7月末に来ようとも8月初旬に来ようとも、8月中旬に来ようとも、毎年見かける人達ばかり! つまり、皆さん最低2~3週間は同じ宿にステイしているってことです。

   2年前に初めて訪れたときは「あっ、新入りだ」というような顔をされましたが、3年連続やってきたのでようやく常連仲間(?)として認められたのか、何組かのお客さんと会話を交わすようになりました。子どもの頃から夏は毎年ここ、常連歴30年なんてお客さんもザラだそうです。


家族の一員であるワンちゃん達も勢ぞろい(犬好きとしては、いろいろな子を見ることが出来て楽しい限り)。他の子達はテーブルの下で家族と一緒に過ごしているのに、この子だけ厳しい家庭の子(?)なのか夕食中は繋がれたまま。家族から目を離さない様子がちょっと切なくって、こちらまでキューンとなってしまいました。

   3度3度の食事を宿で取り、湖で泳いだり、読書したり、オシャベリしたり、のんびりボーっと過ごす長い時間。夏休みが決して子どもだけのものではなく、おとなのためにこそ用意された休息時間であることがよく分かる情景。

   毎年ヨーロッパの人たちのバカンス風景を垣間見るるたびに、考えずにはいられません。仕事のこと、遊びのこと、時間とお金の使い道のこと、突き詰めれば人生の時間割のこと、そして日本の休暇システムのことを。

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愛され続けて150年のロールケーキ

   東京、パリ、そしてバスク……お馴染みのそれぞれの街に、好きなカフェやお菓子屋さんが幾つかあります。

   そんな自分用のアドレス帳の中で、ちょっと特別な位置を占めているのがオーストリアのコンディトライ。なにせバスクからは遠いので足繁く通うわけにはいかないけれど、こうして夏休みを利用しての訪問は大きな楽しみでありまして。


まずはお菓子の前菜に(?)、オープンサンドイッチをオーダーします。ケーキに負けず劣らず、おいしいです。


日本のお菓子屋さんで出されても違和感がなさそうな“いちごのロールケーキ”です。150年以上前のレシピだなんて!と、ちょっと感慨深くなる。スポンジはふわっとしながらコシがある感触、そして生クリームの爽やかな口どけが嬉しくなるお菓子。


そして、締めくくりはやっぱりコレ。オーストリアにいるって実感が湧いてくる「アイス・カフェ」。コーヒーは苦手なのに、コーヒー使いのスイーツ好きにはたまらない味。

   人気店や有名パティシエ、そしてお菓子の流行が次々と塗り変わっていく状況とは縁遠く、ウィーン菓子は老舗店で職人技に支えられる伝統菓子が主流。新作のお菓子など見当たらず、創業以来の古いレシピで作り続けられてるお菓子が大多数です。でも、古臭いどころか逆にとても斬新に感じられる! これぞウィーン菓子の魔法といえましょう。

   今年で4度目の訪問を果たした、コンディトライ&カフェ『Zauner(ツァウナー)』。毎回せっせと違うお菓子をいただいてますが、まだこのお店のラインアップの半分も制覇していないかも! ウィーン菓子の底力を知り尽くすまでの道のりはまだまだ長いのです。


ザルツブルグ界隈ではつとに有名な老舗コンディトライ。別荘滞在中の旧皇室御用達店としても名を馳せています。宿から車で30分の距離ですが、足を運ぶ価値のあるお店!

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オーストリアと豪州を混同するなかれ!

   バイヨンヌを出発して3日目、『オーストリア』に入国しました。『オーストラリア』
ではありません、念のため!

   と思わず念を押してしまうのは、昨年秋のあのニュースを思い出したから。在日オーストリア大使館が「日本語表記を『オーストリア』から『オーストリー』」に変更します」という苦渋(?)の決断発表をしてましたよね。


恒例、ザルツカマーグード地方にステイしました。4年前にウィーンからの帰り道にたまたま通りかかってその美しさと環境の良さに惚れこんで以来、毎年訪れている地方です。

   この国に対して並々ならぬ恋心を抱いてる私にとっては、衝撃のニュースだった! 墺太利を豪州と混同しちゃう人がたくさんいるとは……。パソコン画面の前で「ウソでしょう……」と呟いてしまったほど。

   「日本ではヨーロッパに位置するオーストリアと、南半球に位置するオーストラリアが混同され続けている」のが大使館の発表理由。オーストラリアでのワーホリビザ申請のために、オーストリア大使館に出向いてしまう人が後を絶たないんでしょうね……。不幸なことにどちらの大使館も麻布十番に立地しているそうだから、無知ではなく単に見間違えや聞き間違えっていうケースも多いのでしょうけど。


黄色い壁と緑の蔦の色が鮮やか!


大好きなオーストリアの朝ごはん。パン、乳製品、野菜と果物、そして甘さ控えめな焼き菓子……どれも本当においしくって朝が楽しみになります。

   結局は元の名称「オーストリア」をキープすることで一件落着したそうです。それにしてもこの話を聞いて、日本在住のオーストリア人の方々に同情の気持ちを抱いてしまったのは私だけではないはず?

   「どこのお国?」と聞かれ、「オーストリアです」と答えた途端、オージーと勘違いされて辟易しておられるのではないかしらン……と。私もヨーロッパの片隅に住むイチ外国人として、自国を知らない人や全く違う文化圏と勘違いしてる人に遭遇する度に、寂しい気持ちに襲われるので。


街角のパン屋さん。窓際に置いてあるブレッツェルのおいしそうな焼き色に目が奪われました!

   「食は文化なり」と考える私としては、この2か国の混同を回避するには「オーストリアのウィーン菓子」の人気が復活することなのではないかナ、と真剣に思ってます。

   次回、“コンディトライ”のお菓子レポートです。お楽しみに。

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さくさくサブレのタルト・オ・シトロン

   ブルゴーニュは『ラムロワーズ』の夏ディナーのレポートです。

   さて、こういうレストランではメニュー選びも大切なお楽しみ時間。でも私は自他供に認める“即決”な人です。メニューと睨みっこしながら、「うーん、どれにしようか……」ってことをしない、というよりしないように努力してます。ひと通り読んでピンときたものを、さっと選ぶ。後はメニューを閉じて、他の人の悩んでる様子をしばし観察するという具合(カワイゲない!)

   一時ハマっていた某占いに「あなたの人生、何事も即決・即断がツキにつながります。小は日々の食事選びから、大は人生のターニングポイントにおいても然り」と教示され、「なるほど一理あるな」と悟ったワタクシ。以来、生まじめにその教えを守ってるだけなのですが。


「トマト尽くし」という説明に惹かれてオーダーした前菜。趣向が違うガスパッチョ3種類(どれも本当に美味!)。手前はラングスティーヌ海老の串焼き、そして思わず顔がほころんでしまう野菜の“Tempura”。ラムロワーズのはかなり「天麩羅」風。思わず、天つゆが欲しくなってしまった!


チーズはパスするつもり(単に体重ケアのため)でしたが……夫が嬉々として選んでいる様子を見ているうちに、結局私もいただいてしまいました。チーズにはものすごい波動効果があると思います。

   しかし、ここでは調子が狂ってしまいました。なぜなら、ラムロワーズには「迷い部屋」(アペリティフ用のサロン)なる場所が用意されているのです!食前酒をゆっくりいただきながら迷いに迷ってオーダーし、ようやくテーブルに案内してもらえる仕組み。

   それはまるで、「悩むのも楽しみのひとつですよ」と諭されているかのよう。そんなわけで、今回は敢えてたっぷり迷うことに専念してみました。8時に入店したのですが、テーブルに着席したのは9時。なんと迷いサロンで1時間も、メニューと睨めっこしていたことになります!

   特にデザート選びは、本気で悩んでしまいました。クラッシックものにするか、お店のスペシャリテにするか、それとも季節ものにするか、はたまたチョコレートものにするか? で、結局選んだのはこちらです!


『Tarte au citron destructuré(「バラバラにしたタルト・オ・シトロン)』、つまりサブレとレモンクリームとメレンゲ、とパーツごとに登場。当然、サブレ生地のサクサク具合は今まで食べたどのタルト・オ・シトロンよりも秀逸でした!

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「プラリネ・ブリオッシュ」と自家製ジャムの朝食

   ヴァカンス出発日は、フランス横断の日。憧れの地方に宿を取り、おいしい食事でヴァカンス初日を盛り上げるのを恒例にしてます。おととしはプロヴァンス、昨年はミディピレネー。そして今年選んだのは、ブルゴーニュ。

   ここで、拙ブログを読んでくださった方ならお察しだと思いますが……。あの『Lameloise(ラムロワーズ)』を再訪してきました(前回の私のコーフンっぷりは、こちらの過去記事に)。

   料理だけでなく、ホテルも体験してみたい!というわけで、今回は宿泊プランにしてどっぷり浸ってしまおうと。三つ星レストランのホテルやいかに?


お部屋に入った途端、「キャーっ」と声を挙げて駆け寄ってしまいました。テーブルの上に、あの美しきミニャルディーズたちが……! 「お土産にどうぞ」とばかりに、ビスキュイの詰め合わせの袋まで置いてある心くばり(左脇にちらりと写ってるもの)。もうこれだけで、女心をグググっーとワシづかみされるのは必至です。

   さて、泊まってみた感想は。なんとも心地よい場所でありました。「また食べたい」と思わせてくれるお食事と同様、「ぜひまた来たい」と願わずにはいられないホテルです。

   おいしい食事の余韻を気持ち良く持続させてくれるゲストルームの理想形。それが今回、よーくわかった気がしました。ゴージャスすぎると消化不良(?)になりそうだし、あまりにシンプルだと拍子抜けしてしまうし。そのへんのバランスが絶妙な、「客心理を分かっていらっしゃる!」という印象です。


これまたワクワクする朝食の時間。朝はもうちょっとカジュアルな雰囲気でいただきたいかナっていうのが本音ですが。でも、たまにはこんな朝食もいいもんです!


クロワッサンやバゲットのおいしさは言わずもがな、「赤いプラリネ入りのブリオッシュ」に感激。そして、ジャムの香りの素晴らしさもさすがのひと言です。グリオット、カシス、杏、いちごの4種類。しっかり満喫して、この日は昼食パスにしたのは言うまでもなく。

   次回、夏のお料理をレポートします。

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冷夏のヴァカンス便り、スタート!

   日本にお住まいのみなさん、残暑お疲れ様です! かたじけないのですが、こちらは今年はものすごい冷夏でした(このまま秋かと思うと、これはこれで寂しいものが)。長袖もたくさん詰め込んで、夏のヴァカンスへ行ってきました。


早朝出発した初日。見事な青空の下、空いてる道をスイスイ進んで快調でした。第1ゴールのブルゴーニュへ向かう道。

   バシャバシャ撮りまくった写真を、ほぼ分類整理し終わったところ。というわけで、しばらくバスクの現実から遠く離れ、旅のレポートをお届けして参ります。もちろん一貫テーマは、「旅で出会った素敵なこと、おいしいもの」。出来るだけ涼しげな写真を掲載しますので、どうぞよろしくお付き合いのほどを……。

   さて今年の夏、我が家の1大ニュースはコレ。遅ればせながら、遂にポータブルGPSを入手しました!


おかげで私の道案内下積み時代も終了。ルルル~♪です。ストレスフリーな旅を実感しました!

   いわゆる方角道オンチなワタクシ、今まで夫のスパルタ教育にさんざん苦しめられてました(夫婦喧嘩の勃発場所はいつも旅の道中というテイタラク)。「地図が読めない女・代表」から「やっとこさ読める女」に認めてもらえたのか、ようやく卒業となりました。

   多種多様な機種の中から、選んだのは「ミシュラン」。そう、あのタイヤメーカーであり地図・ガイドブック出版、レストランの格付けで有名なミシュラン社が開発したカーナビです。

   一般的機能に加えて、ミシュランのグリーン・ガイド(観光情報)、レッド・ガイド(ホテル・レストラン情報)が丸ごと搭載されているのが素晴らしい! 当然、星つきレストランのデータやコメント評だってばっちり検索できます。


移動日2日目にステイしたリンダウ湖。1つの湖をドイツ、スイス、オーストリアの3ヶ国がぐるり取り囲んでいる、風光明媚な保養地です。ドイツ側に宿泊。

   例えば見知らぬ土地を走っていて、突如「おいしいもの、食べたいね!」って思い付いた時も、速攻で検索してナビゲートしてもらえるわけ。旅&食べるの大好き人間にとっては、最高の助っ人といえましょう。

   もちろんフランス全国津々浦々のみならず、ヨーロッパ近隣諸国のデータも全てカバー。今回のヴァカンスだけでも、フランス、ドイツ、オーストリア、イタリアの4ヶ国で活躍してくれました!


ついに目的地、ベネチア入り! ベネチアで唯一、車が入れるリド島へ。フェリーで入島します。


ベネチアは多くの豪華客船の寄航先。海上で何度も擦れ違いました。客船の中の人々にとっても、ベネチア寄航は旅のクライマックスのはず。客船の人とフェリーの人、そしてサンマルコ広場にいた人々も手を振って挨拶します。水の都ならではのロマン溢れる情景なのです。


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マテスク里佐プロフィール

バックナンバー
世界でいちばん一眼レフカメラが多い街 (9月25日)
ヴァカンスの達人たちの過ごし方 (9月21日)
愛され続けて150年のロールケーキ (9月18日)
オーストリアと豪州を混同するなかれ! (9月14日)
さくさくサブレのタルト・オ・シトロン (9月11日)
「プラリネ・ブリオッシュ」と自家製ジャムの朝食 (9月07日)
冷夏のヴァカンス便り、スタート! (9月04日)


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