「バスクのアドレス帳」、文化編。
バイヨンヌに、私が勝手に「骨董通り」と名付けている1本の通りがあります。数軒の骨董店などが軒を並べる古い通りなのですが、その端っこに小さな工房があります。
「Reliure ルリユール(製本・装丁)」の工房です。

今回、工房の中をじっくり見学させてもらいました。職人の世界を覗かせてもらうのは楽しい! いろんな見本や道具があって未知の世界が広がってるのです。
装丁は、日本では文学愛好家や蔵書家にしか馴染みがないジャンルですが、ヨーロッパではひとつの芸術として確立されています。「装丁家」という職業・芸術家が存在すること、本の綴じ方、本の外見を文化として高める分野があるということ。初めて知ったときは、ちょっとしたカルチャーショックでした。

作業机の上にあった、金箔の押しが豪華な本。コツコツ地道な作業の連続なんでしょうね……。
文学オタク・愛書家である夫は、この工房の個人顧客のひとりです。亡くなったお祖父さんの書棚にあった古い本を少しづつ工房に持ち込み、1冊づつ装丁を施してもらい、出来上がった本にご満悦といった表情。
要は彼レベルの本の虫になると、一つの文学作品でも「実際の読書用」と「鑑賞用の豪華本」の2タイプを揃えて楽しむわけで、後者の方にはそれ相応な立派な装丁をしてあげたくなる訳ですね。

今回装丁をお願いした本(右から2番目)は、ボードレール『悪の華』、お祖父さんの遺品でお宝品なのだそう。まだ紙もカットされていないままの、いわゆる「フランス綴じ」でした。お隣はこれまた彼が珍重している、神田の古本屋で見つけたという『廣重江戸百景』(暮しの手帖社)。読書、本屋巡りの守備範囲の広さには我が夫ながら感心してしまう。
実用と鑑賞用の2タイプを揃える行為は、私が蚤の市で古いマドレーヌ型を買って喜びつつ、実用するのは現代版のマドレーヌ型、っていうのと似ているかも。趣味の世界、オタクの喜びっていうのは多かれ少なかれこういう2waysな楽しみがあるハズ。
オーダーしてから出来上がりまでほぼ1ヵ月。費用のほうは、布張り(一部に革使用)で120ユーロくらい。手間とお金がかかった自分だけの製本オーダー、これはある意味ものすごく贅沢なことだと思う。そして、装丁をお願いしたくなるような本を持つってことも、幸せなことなのだと思います。

Le Ligator
rue des faures Bayonne
ちなみに、バイヨンヌは人口4万5000人(パリの日本人人口にほぼ匹敵)足らずの町、そしてフランス全国レベルから見ても決して裕福な町ではありません。だけど、装丁の工房がここの他にも2軒、つまり合計3軒もあるんです。書物を愛する人たちが多いってことは、精神や教養は裕福な証拠なのではないかナ、と私は思います。
マテスク様はじめまして。こんにちは。
「フランス綴じ」を検索して、こちらへたどり着きました。
事後承諾ではありますけど、この記事がとても素敵なので、僕のブログにリンクをはらさせていただきました。
もし、御都合が悪ければすぐに削除しますのでおっしゃってください。
てゆうか、このコメントが削除されていれば、リンクも削除しますね。
駆け足だけど、たくさん記事も拝見させていただきました。
とってもパステル?で心が穏やかになります。
バスク地方がそうなのかマテスク様の見る目がそうなのかは定かでないですけど、ほんとにキレイなところですね。
結婚式のときにトレーンを持ってくれてたカルメンちゃんの顔に一番顔が緩みました(^^♪