更新日:2007年3月30日

バスク地方は、フランス南西部~スペイン北部に広がる緑と水のゆたかな土地。お菓子とおいしいものが大好きなマテスク里佐さんのオーブンからは、今日も甘くて香ばしいいい匂いが立ち上っています。里佐さんがバスクで出会い・学んだお菓子やお料理、そして人々の暮らしの様子について、レシピとともにお届けします。

文=マテスク里佐
   

ドイツの田舎へひとっ飛び、葡萄畑と桜の風景

   ドイツご在住の方に朗報。もちろん我々にとっても、ものすごい朗報! 数ヶ月前から、ドイツはフランクフルト~ビアリッツ直行便が運行してます。(備考:フランクフルト郊外ハーン空港)

   今までドイツ旅行となると、陸路で遥々1000km以上の旅をするか(私はこれを“ラリー”と呼んでます)、パリ乗り換えの空路で行くかの選択でした。直行便だと本当に早くてラクで、“どこでもドア”みたい。お昼前にバイヨンヌ自宅を出発して、午後にはフランクフルト郊外の畑エリアに到着。レンタカーを走らせて、夕方時刻にハイデルベルグ城を散策。なーんてことが出来てしまうのです。

   運行しているのは、ロンドン便と同じくRyan Air。他のエアラインでは有り得ないような、ヨーロッパの地方空港(または郊外空港)間のシブい路線展開が多いのが支持する理由。小さな空港だと、昨今の入念なセキュリティチェックの行列時間がぐっと短時間で済むのも、大きなメリットです。ドイツ便の次は、いつかビアリッツとイタリアの小都市が繋がるかも? 旅の野望は広がるばかりです。

   今回の旅のテーマは、「春の葡萄畑」。ライン河岸辺に広がる葡萄畑、そしてフランクフルト南部の広大な葡萄畑の景色を堪能できました。


宿をとった町はワイン街道の中に位置していました。


ドイツの小さな町も、フランスのそれに負けず劣らず魅力的。すれ違う町の人が必ずニッコリ微笑んで挨拶してくれて、とっても感じが良くて素敵な町でした。絶対また訪れたい。

   折りしも桜が満開でした。しかも山桜ではなく、八重桜の並木道が……! この旅行でまさかお花見まで楽しめるなんて想像していなかったので、本当に感激でした。葡萄畑と桜並木。初めて目にするこの異色な組み合わせ(フランスでは見たことない光景)は、何ともいえず美しかったです。


町の周りを取り囲むように広がっていた葡萄畑と桜並木。願ってもないようなウォーキングコースでした。

   桜っていいな。日本からかけ離れた場所、日本とはかけ離れた風景の中でも桜は桜。桜を愛でる気持ちはずっと持っていたいと思います。

   次回はもちろん、旅のごはんのレポートです。

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お作法道具の仲間入り、おばあちゃんからの「銀のケーキサーバー」

   日本にいた頃よりも圧倒的に使用頻度が高くなった道具、アンティークショップやよそのお宅でも一目置くようになった道具。それは「ケーキサーバー」です。自分で作ったお菓子をひとつひとつお皿にサーブすること。これってお菓子つくりの最後を締めくくる、大事なお作法。そう思えるようになったから。

   お茶に招かれたりすると、フランス人女性のお作法はさすがサマになってるワ、と感心することがよくあります。とても自然で女性らしく、身についた手つき、仕草。お菓子文化の濃さ、豊かさって、お菓子そのものよりもこういうところに滲み出るものだと思います。

   ただいま私が愛用している「お作法道具」は、夫のおばあちゃんからの贈り物です。昨年のクリスマスプレゼントに頂きました。数年前まで、お茶の時間に招かれる度におばあちゃんがお菓子を取り分けてくれていたあのケーキサーバー! その様子は、優雅とか何とかっていうレベルを卓越していて、おばあちゃんの手の一部みたいでした。


サーバーを使いたいがために、シンプルな焼き菓子を焼きたくなる。

   彼女自身、いったいルーツはどこまで遡るのか分からないと言うほど、何世代かに渡ってる古い製品です。文様などが一切ないシンプルさ、媚びないデザインなところが気にいってます。

   そして、おばあちゃんからの銀製品はどれもこれが特徴なのですが、マットな光沢感がとても温かい。ピカピカな新品の銀製品だとどうも気後れしそうになるのですが、使い込んだ銀製品はとっつき易さを感じさせてくれる。銀製品こそ、しまいこまずに日々使ってこそ価値が出る。使っていてしみじみそう思います。

   今までアンティークショップなどで見て廻ったこともあったけど、なぜか運命的な出会いには巡り逢わなかった。そこへ来て、おばあちゃんが使っていたサーバーが今、私の手元に! 銀のスプーン同様、このケーキサーバーも日々せっせと使って、これから少しづつ自分の手、自分のお菓子に馴染ませていくつもりです。

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「フランス綴じ」とバイヨンヌの装丁工房

   「バスクのアドレス帳」、文化編。

   バイヨンヌに、私が勝手に「骨董通り」と名付けている1本の通りがあります。数軒の骨董店などが軒を並べる古い通りなのですが、その端っこに小さな工房があります。

   「Reliure ルリユール(製本・装丁)」の工房です。


今回、工房の中をじっくり見学させてもらいました。職人の世界を覗かせてもらうのは楽しい! いろんな見本や道具があって未知の世界が広がってるのです。

   装丁は、日本では文学愛好家や蔵書家にしか馴染みがないジャンルですが、ヨーロッパではひとつの芸術として確立されています。「装丁家」という職業・芸術家が存在すること、本の綴じ方、本の外見を文化として高める分野があるということ。初めて知ったときは、ちょっとしたカルチャーショックでした。


作業机の上にあった、金箔の押しが豪華な本。コツコツ地道な作業の連続なんでしょうね……。

   文学オタク・愛書家である夫は、この工房の個人顧客のひとりです。亡くなったお祖父さんの書棚にあった古い本を少しづつ工房に持ち込み、1冊づつ装丁を施してもらい、出来上がった本にご満悦といった表情。

   要は彼レベルの本の虫になると、一つの文学作品でも「実際の読書用」と「鑑賞用の豪華本」の2タイプを揃えて楽しむわけで、後者の方にはそれ相応な立派な装丁をしてあげたくなる訳ですね。


今回装丁をお願いした本(右から2番目)は、ボードレール『悪の華』、お祖父さんの遺品でお宝品なのだそう。まだ紙もカットされていないままの、いわゆる「フランス綴じ」でした。お隣はこれまた彼が珍重している、神田の古本屋で見つけたという『廣重江戸百景』(暮しの手帖社)。読書、本屋巡りの守備範囲の広さには我が夫ながら感心してしまう。

   実用と鑑賞用の2タイプを揃える行為は、私が蚤の市で古いマドレーヌ型を買って喜びつつ、実用するのは現代版のマドレーヌ型、っていうのと似ているかも。趣味の世界、オタクの喜びっていうのは多かれ少なかれこういう2waysな楽しみがあるハズ。

   オーダーしてから出来上がりまでほぼ1ヵ月。費用のほうは、布張り(一部に革使用)で120ユーロくらい。手間とお金がかかった自分だけの製本オーダー、これはある意味ものすごく贅沢なことだと思う。そして、装丁をお願いしたくなるような本を持つってことも、幸せなことなのだと思います。


Le Ligator
rue des faures Bayonne

   ちなみに、バイヨンヌは人口4万5000人(パリの日本人人口にほぼ匹敵)足らずの町、そしてフランス全国レベルから見ても決して裕福な町ではありません。だけど、装丁の工房がここの他にも2軒、つまり合計3軒もあるんです。書物を愛する人たちが多いってことは、精神や教養は裕福な証拠なのではないかナ、と私は思います。

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マルシェの春野菜、まずは「菜の花」からスタート

   朝市がいっせいに春の風情になりました。冬が終わった! という実感が沸いてきます。バイヨンヌの朝市は農家直売形式なので、真冬のあいだは寂しいほど出店数や野菜の種類が少なくなるのです。それが3月に入ると、数ヶ月ぶりに見かける農家のおじさんおばさんの顔も見えてホッとします。

   だからこそ、春は朝市が本当に楽しくって、一番通い甲斐のある季節。旬のものに毎週ひとつづつ再会できる楽しさは、冬の氷河期(?)を乗り越えた喜びでもあります。


旬の花は、水仙の花。春の到来を感じさせます。

   目に飛び込んでくる色彩の数、つまり食卓に上る野菜の種類がぐっと増えることが何よりも嬉しい。先週の旬は「菜の花」。ほかの野菜は素通りするけど、菜の花だけは大ファンの農家のおじさんがいます。彼も「毎年、菜の花だけを買っていく東洋人」として私の顔をインプットしているようで、「おっ、今年も早速買いにきたね」と言われました。

   菜の花は、スーパーや八百屋さんではなぜかほとんどお目にかけない野菜。私にとっては、バイヨンヌの朝市に行かなければ手に入らない貴重な青菜のひとつです。栽培している農家の方は実際少ないようで、マルシェで売っているのはわずか3軒くらい。

   必然この地方の人たちは、菜の花を食べたことはおろか、存在すら知らない人も結構いるとか。以前、「菜の花のおひたし」を夫のお弁当に入れたところ、早速同僚の方々から「その野菜は何?」とチェックが入ったらしい。そして彼は(自分だって、私が使うまで知らなかったクセに!)得意になって説明したようです。


ホロ苦味が何とも言えずおいしい。バスク産だけど「和」を感じさせてくれるお野菜。

   それにしても私の作るお弁当は、“日本の食べ物=Sushi・Sashimi”という紋切り型常識を覆すものらしく、日々好奇の目に晒されている模様……。そもそも、お弁当っていうジャンル自体がビックリだったようですね。最初は相当恥ずかしそうにしていましたが(今でも多少)、日本の食文化の草の根外交、と開き直ることにしたみたいです。

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バスクの春とニーヴ川の散歩道

   三寒四温のお天気が続いています。小寒い日があれば、ポカポカを通り越して初夏のような陽気の日が来たり。はたまた、この地方特有の春の嵐(雨戸が壊れるのではと心配になるほどの暴風雨が吹き荒れます)が訪れたことも。

   それでも、春の手ごたえをしかと感じさせてくれる太陽の光明度!明らかに冬のボンヤリさが抜けきり、まるで生気を取り戻したかのよう。日が昇る時間も刻一刻と早くなってきてます。我が家の台所は西向きなのですが、朝食準備を朝日の光の中で行えるようになりました。

   いつもの散歩風景も、すっかり春の顔です。


ゆらりとしたカーヴを描きながら流れるニーヴ川。四季折々の自然の景色は、溜息もの。

   我が家の近所を流れているニーヴ川沿いの道です。この道を下るとバイヨンヌの町の中心へ辿り付き、上流へ進めば山バスクの奥へと導かれます。畑や雑木林や森、馬の放牧場などが続き、そのあいだを縫うようにバスク建築の古い民家が建っています。どの田舎風景もそれぞれに赴きがあって、絵心がある人ならきっと描きたくなるに違いないと思われるほど。こんな光景が20km以上も延々と続きます。


ただいまミモザが満開です。

   お弁当とたっぷりの水を担いで、この道で行ける限りまで歩くことに挑戦したことがあります。途中、絵本に出てくるような佇まいの農家を発見。庭にはたくさんの鶏が元気に飛び跳ねていて、見るからに健康そう(美味しそう)!案の定、「産みたて卵売ります」の看板が柵に架っていました。「卵ケース持参で来れば良かった……」と後悔したことは、言うまでもありません。


鶏どころか羊さんが突然登場することもあり。急に横から登場したのでビックリしました。

   ちなみにこの散歩コース、家族友人が日本から訪れた時に初日にご案内する場所でもあります。日本からヨーロッパの移動後、時差ボケが一番辛いのは夕方。その時間に散歩にご案内し、自然と田舎の景色に浸ってもらい、日本の生活のことはしばし忘れて頂く。するとその晩の熟睡は約束され、時差ボケ解消には効果テキメンのようです。

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バリエは無限大、アイスクリーム使いのデザート

   自称、アイスクリーム好きの私。そぞろ歩きながら外で食べるアイスクリーム屋さんの味も捨て難いけど、もっぱら惹かれるのはデザート系のアイスクリームです。主役の存在をグッと引き上げるための影の立役者、料理で言うところのソースみたいな役割を果たしているアイスクリームには、瞬間的おいしさがギッシリ詰まっている!

   今までに食べたデザート写真の数々を見直してみると、アイスクリームが添えられてるデザートの割合は半数以上にのぼってました。アイスクリームにはフランスのデザートの真髄が隠れていると言っても過言ではないかも。

   サンプルを数点、選んでみました。お菓子とアイスクリームのマリアージュ、味覚空想をどうぞ……。


ビアリッツのCampagne et Gourmandiseにて。レモンのタルトとレモンソルベの組み合わせ。レモンクリームの味をさらに引き締めるためのソルベ効果。レモンタルトの上にのっかってるのはスクープは、アイスクリームではなく生クリームです。お肉料理の後、口の中をすっきり爽やかにしてくれるデザートって貴重です。


リヨンのGuy Lassausaieにて。
リンゴのタタン風デザートにバニラアイスクリーム。スプーン形に焼かれた生地とリンゴのコンポート添えというのが印象に残った一品でした。リンゴのデザートに添えられてくるアイスクリームは、シナモン味という場合も見受けますが、私は断然バニラの方が好みです。


ビアリッツのCampagne et Gourmandiseにて。チョコレートのお菓子にカフェ・アイスクリーム。フランス人男性方ってこういうデザート好きですね。私も好きな組み合わせなんですが、コースのフィニッシュとしてはどうしても重く感じてしまいがちなので避ける傾向があります。


ロワール地方の大好きな店、Jeu de Carteにて。オレンジのマリネ・スープとチョコレートアイスクリームの組み合わせは、いつか真似してみたい。スープ系デザートは大好物のひとつ!


Campagne et Gourmandiseにて。王道デザート、クレープ・シュゼット。バニラやグランマルニエ風味のアイスクリームって場合が多いけど、これはトロピカルフルーツを使ったシュゼットなので、オレンジのソルベが添えられてきました。目にも舌にも爽やかなデザートでした。

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遂に見つけた! 私の理想のミルクパン

   料理の道具って、奥が深いですよね。鍋、泡立て器、ヘラひとつの作りやデザインを見ても、決まるまでにどれだけの試行錯誤が繰り返され、どんな人が携わったのだろう……? と、考えてしまいます。

   そんな風にモノ作りに対して一考させられる道具、職人さんやメーカーさんに感謝したくなる道具、使う度に嬉しくなる道具というものは確かに存在する! そう思います。

   先月ドイツで買ってきたミルクパンが、まさにそんな道具。

   農家の方から配達してもらってる牛乳、レ・クリュ(生牛乳)を沸かすための鍋です。牛乳を殺菌消毒する、この単純にして盲点が潜む作業。週に数回行う作業のため、専用鍋は長年の探し物でした。温めるだけなら、どんな鍋だっていい。探し求めていたのはプラスαの機能です。


なんでもっと早くこのメーカーをチェックしなかったのだろう、と悔やまれるほど素晴らしい満足度。

   条件その1、注ぎ口のキレの良さと鍋の軽さ。煮沸消毒したミルクを、鍋から保存瓶にジャーッと移し入れる作業には、無駄な重量感は不要なので。条件その2、材質・洗いやすさ。なぜなら、バスクのレ・クリュはやたら濃い。濃い牛乳が冷めるとどうなるか? バターに近いような濃い乳脂肪膜が鍋の表面にベッタリ。食洗機に入れると、熱でタンパク質がこびりついてしまうから始末悪いのです。条件その3、デザインはカワイイよりカッコイイやつを。

   ル・クルゼ、クリステルといったフランス大御所メーカーものも経て、ようやく辿り着いたミルクパンは、ドイツのWMFもの。結構、長い道のりだった(そして投資額もひそかに馬鹿にできない……)。

   ステンレスだけど、1リットルをヒョイっと難なく持てるほどの軽さ。持ち手がグリップタイプなので注ぎがラクチン。1滴も逃さないほどのキレの良さ。そして、あの厄介な乳脂肪の膜がツルンと一枚布のように剥がすことが出来る!

   初めて使ってみた時、ムムム……と唸り声をあげたくなるほど感動してしまった、あまりに使い勝手がよくって。この鍋の開発者の方は“生牛乳を沸かす”作業をご存知の方に違いない! 私は、そう確信しています。


届けてくれる酪農家の方は、ほとんど殺菌せずに飲んでいると聞いてビックリ。長年の飲用でカラダの免疫が出来てるのでしょうね。我が家では弱火でじっくり、70度前後で煮沸殺菌して愛飲してます。

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使用道具は「フォーク」と「すり鉢」!? ポーランドの小さな焼き菓子

   昨年教わって以来、すっかり気に入ってるお菓子です。姿かたち・色合い・味わい、どれも春がお似合いだと思ったので、この時期を待ちかねてのご紹介となりました。その名も『プティ・ソレイユ(小さな太陽)』、と今の季節に相応しい名前のお菓子です。


パッと見、ちょっとマカロン風。だけど、マカロンとは縁もゆかりも無さそうなお菓子です! さくっホロっとした生地にアイシングが焼けたパリパリ感が絶妙。そして、とても上品な甘さです。

   私にとっては未知なる国、ポーランドの家庭的なお菓子。パリに住む夫の従兄弟宅のブランチに登場しました。奥様がポーランドの方なのです。このお菓子に限らず、彼女の作るお菓子は私のツボにはまるものばかり。そして新たな驚きや発見を与えてくれるお菓子ばかりなのです。


めずらしく夫が撮影の1枚。

   この日も、お皿にこんもり盛られた焼き菓子に私の目は釘付けに! ツルツルした表面と小さな円形から、遠目にはバニラマカロンのように見える……でもちょっと違うみたい。そもそも、彼女がフランス菓子を作るハズがないしね(彼女は、フランス菓子はちょっと苦手だそう。ポーランドもウィーン菓子の影響の方が大きいようです)。

   なんて思い巡らしながら、口にしてみると……。

   初めての味なんだけど、懐かしい味ってありますよね。これはまさにそんな感じです。バター・砂糖・小麦粉・卵というベーシックな素材の小さな焼き菓子。フランス菓子で言えばサブレの範疇に入るのだろうけど、あれとも違う。食感や味わい、そして何よりもお菓子から醸し出される雰囲気自体が全く違う。これはまさに東欧のお菓子!

   彼女からレシピと作り方を伝授されたとき、ビックリして「えっ?」と何度も聞き直してしまいました。生地作りには「フォーク」、アイシング作りにはなんと「すり鉢・すりこぎ」を使います。そして、ポーランド産の「プラム・ジャム」をサンドします。

   半信半疑だったのですが、教わった通りに忠実に作ってみて納得でした。このお菓子のポイントは、この3点に凝縮してます。特に“フォーク使い”は目からウロコの技! 独特のおいしい食感の生地が出来上がります。騙されたと思って、お試しあれ。


お菓子作りに「すり鉢・すりこぎ」を使ったのは初めて! 確かにこれ、ダマのないトロリとしたアイシングをあっという間に作ることが出来ます。すり鉢はポーランドではもっぱらお菓子作りに欠かせない道具なんですって!


ポーランドへ里帰りする度に買って帰るという、貴重な郷里のお味を頂きました。ねっとり濃厚なのに、甘み控えめで酸味が強く、美味! とても“お菓子向き”なジャムです。

●「マリアに教わったポーランドの焼き菓子・プティ・ソレイユ」(30~35組)

生地
バター……125g(室温にもどしておく)
グラニュー糖……15g
卵黄……1個
レモンの皮すりおろし……1/2個分
薄力粉……175g

アイシング
卵白……1/2個
粉砂糖……50g

プラムのジャム(代用品は、アンズジャムや梅ジャムなどがよろしいかと)……適量

1.クリーム状のバターを、フォークでざっざっと潰すように練る。グラニュー糖、卵黄、レモンの皮を順に加え、その都度フォークで練り混ぜる。
2.ふるっておいた粉を加え、木べらでざっと混ぜ込んだ後、手の平でまとめる。手につかなくなるまでまとめ、つるんときれいな塊にする。
3.めん棒で3mm厚さに伸ばした後、冷凍庫で数分間冷やす(型抜きをキレイにしやすくする)。直径4cmの抜き形で型抜きし、天板に並べる。
4.アイシングを作る。すり鉢に卵白と粉砂糖を入れ、すりこぎでとろりとなめらかになるまですり混ぜる。
5.4のアイシングを3の生地の上に、刷毛で塗る。出来るだけムラなく均等に。
6.170度のオーブンで15~17分焼く。クーラーの上で冷ます(焼き立てはとても繊細なので取扱いに要注意!)。
7.プラムのジャムをスプーンまたはパレットで1枚に塗り、もう1枚でサンドする。

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ミシュラン2007度版の速報、バスクの星が増えました

   今年もこの時期がやってきた……『ミシュラン・フランス2007度版』発売です。数年前には覆面調査員が暴露本を出したり、とかく噂やワルグチを耳にすることもありますが。それもガイドの王者ゆえの宿命なのでは? それだけ世の注目を集めているってことですね。

   もちろん我が家でも、他のガイドよりもダントツに使用頻度は高いです。旅行中やパリへの移動途中にこそ利用価値が出てくるので、もっぱら家の中ではなくって車の中に常備させてます。

   新年度版が出た時には、車に置く前に必ず中身をザザっとチェック。まずは、ご当地バスク地方の更新情報から。と言うより、発売日にそれをチェックするのが毎年の楽しみだったりして……。


ところでミシュラン日本版の発売はいつなのでしょう? 確か今年のハズでしたが。

   というわけで、ホヤホヤのバスク地方2007年度リニューアル情報をお届けします!

   結論から言うと、新たに星を獲得したレストランが増えました。しかも2軒も。これによって、フランス側バスク(スペイン側バスクの星数には到底追いつかない!)の星つきレストランは、計9軒ということに。人口密度から言ってもなかなかの健闘率のハズ?

   星つきに格上げした2軒のうち、1軒目はビアリッツの中心にあるお店。日本で頂くフレンチを彷彿とさせるような小奇麗さ、そしてポーションもおとなしめなレストランです。友達や家族とっていうよりかは、接待・仕事ディナー向けな雰囲気ですね。とても薄暗い店内ゆえ、まだ料理写真を撮れません。夏の夜が長い頃に激写してご紹介したいと思います!

   今回最も注目すべきは2軒目の方。なんと、シャンブル・ドットの料理が、星を獲得! これは、ミシュラン史上でも初の快挙だそうな。シャンブル・ドットは、日本で言うところの「民宿」のこと。民宿の食事は宿泊客しか味わえない為、ふらりと料理だけを楽しみに行く事が出来ないのが地元民としては残念な限りです……。

   しかし、お値段情報を見てビックリ。やはり民宿の常軌を逸してました。「1泊2食・1人300ユーロ~」現レートで約5万円~ってところですね。うーん、こうなると「民宿」って訳してしまうのは語弊があるかもしれない。“贅沢な隠れ宿”、そんなところでしょうか。

Ferme Hegia
chemin de Curutcheta
quartier Celhai
Hasparren
tel 05.59.29.67.86

   特別なバスク旅行をお考えの方にはオススメかも。そして、もし行かれた方がいらっしゃたら、ご感想ご意見お待ちしております!

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マテスク里佐プロフィール

バックナンバー
ドイツの田舎へひとっ飛び、葡萄畑と桜の風景 (3月30日)
お作法道具の仲間入り、おばあちゃんからの「銀のケーキサーバー」 (3月27日)
「フランス綴じ」とバイヨンヌの装丁工房 (3月23日)
マルシェの春野菜、まずは「菜の花」からスタート (3月20日)
バスクの春とニーヴ川の散歩道 (3月16日)
バリエは無限大、アイスクリーム使いのデザート (3月13日)
遂に見つけた! 私の理想のミルクパン (3月09日)
使用道具は「フォーク」と「すり鉢」!? ポーランドの小さな焼き菓子 (3月06日)
ミシュラン2007度版の速報、バスクの星が増えました (3月02日)


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