フランス国内旅行中、見かけると必ずカメラに納めておく被写体テーマがあります。それは、ある建造物。
まずは下の写真をご覧あれ。場所は我が家から200キロ圏内のフランスの田舎のとある村。いわゆる石造りの建造物。さて、何の建物の入り口かお分かりでしょうか?

ヒント1、旅行客にも馴染みの場所。ヒント2、扉の左下に小さな差込口。ヒント3、右上方に表札らしきものが掛っていて、Pで始る単語が。
これ、「Post(郵便局)」の建物なのです。
郵便局のシンボルカラーといえば、日本は赤。フランスでは黄色。遠くからでもパッと目につく原色によって、目立って分かりやすいのが郵便局のハズ。
が、時々こういう「既定外」カラーの郵便局に出くわします。看板の色が黄色でなく茶色やグレーの地味色を使っているケース。上の例みたいに、下手すると見落としそうな場合もあり。要は、郵便局がカメレオンの如く周囲の景観に同化した佇まいをしているわけです。逆に言うと、人が郵便局を見落としてしまったら、それは意図的に大成功ということ?

上の写真左下に写っている、郵便物集配の時間案内プレート。ビニールテープや手書きで、何度も何度も書き直しているところが可笑しい。「投函口は右下です」を言わんとする矢印まで。
フランスには、文化省によって保護指定された「歴史的建造物」が各地にあるわけですが、この制度の尊敬すべき点はその徹底ぶり。保護対象が建物そのものだけでなく、周囲数百メートル圏内にまで及んでいるのです。
いくらグレードの高いダイヤモンドだろうと、縁飾りに安っぽい貴金属を散らばめたらせっかくのダイヤモンドの価値が落ちてしまう。同じく、どんな歴史的価値がある建造物だろうと、周囲に不釣合いな建物や色使いがあったらツヤ消しですよね。周辺全体の景観も整えることによって、建造物の歴史的価値を守っていく。そういう考えに基づいているのだそうな。

皆さんもフランスの地方巡りをされるときには是非チェックの程を! 「この町にはあるかしらン?」と、ちょっとした宝探しの気分になります。もちろんバスク地方には数軒あり。
ちなみに、この郵便局の存在・意義ウンヌンを私に教えてくれたのは、夫の友人ニコラ氏。日本で言うところの郵政官僚である彼は、紛れもないフランス愛国者、フランス文化崇拝者、そして建築オタクなのです。
私が「茶色い郵便局について教えて」と言ったものだから、彼は大ハリキリ! 後日、仏文化省の役割、フランスの遺産・歴史的建造物の定義から始まり、既定外郵便局のエピソードなど、それはそれは詳しい報告書がメールされてきた……。
今回ご紹介した内容は、そのニコラ氏レポートを辞書と首っ引きになりながら翻訳し、ごく一部を抜粋したもの。歴史的建造物をダイヤモンドに例えるくだりを読んだときは、思わず「へぇ」と感心してしまいました(日本人男性なら、こういう表現はしないだろうなぁ……と)。
missyさま
ご指摘ありがとうございます!
修正させていただきました。