更新日:2007年1月30日

バスク地方は、フランス南西部~スペイン北部に広がる緑と水のゆたかな土地。お菓子とおいしいものが大好きなマテスク里佐さんのオーブンからは、今日も甘くて香ばしいいい匂いが立ち上っています。里佐さんがバスクで出会い・学んだお菓子やお料理、そして人々の暮らしの様子について、レシピとともにお届けします。

文=マテスク里佐
   

オレンジの季節のご挨拶、「オレンジのビター・マーマレード」改訂版

   昨年1月にご紹介した「オレンジのビターマーマレード」に再挑戦。今回も義父へのクリスマスプレゼントのひとつでした。

   昨年と作り方をちょっぴりだけ変えてみました。ほんの僅かな点ながら、思った以上に出来具合が変わったのでここにご報告です。


前回のより、ぎゅっと濃厚なお味になった気がします……。

   というのも、義父本人から「せっかくなら皮の存在感がもうちょっと欲しいねぇ」という率直なご意見をもらっていたのです。こういうフィードバックって貴重ですね。有り難く拝聴し、改訂版に生かそうと思った次第です。

   そして、改訂版レシピをすぐに載せられるブログって素晴らしいっ。本だとこうはいきませんから……。

   それにしても、義父ほどマーマレードにうるさい人物を私は知らない! おいしいものをたくさん知ってる人ではあるけれど、やれ何がおいしい何処何処がうまいだのと語る人ではありません。でも、オレンジのマーマレードに関してはかなりのウンチクを持っています。

   彼はスペイン、イギリス、イタリアと、各国お気に入りのブランドを持っています(なぜかフランスものにはお気に入りを見つけていないらしい)。中でも、スペインのあるメーカーのマーマレードが偉くお気に入りのようで、我々のスペイン旅行中に携帯で「スーパーに行く時間があったら、マーマレードを20個(!)くらい買ってきてくれ」とメッセージを入れてくるほど。

   普通だったら絶対に賞味期限内に終わらない量なのに、これをほんとに数ヶ月で消費するのだから驚いてしまう。私も自分用に一瓶買ってきてと味見してみましたが、確かにとてもおいしいマーマレードでした。

   あれに出来るだけ近づきたいナ、と思いながら作ってみました。義父のコメント(そして皆さまのも!)が気になるところです。


水に浸して、皮をやわらかくする。ゆっくり数日間かけて作る方法は変わらずです。

●「オレンジのビター・マーマレード」作り方改訂版(出来上がり約800g)

オレンジ……1kg(5~6個)
レモン汁……1個分
グラニュー糖…… 700g

1.オレンジはこするようにしてよく洗う。太い針を使って、オレンジの皮に等間隔に穴をあける。(後の作業の浸透をよくするため)
2.大鍋にたっぷりの湯を沸かし、オレンジを2~3分茹でこぼす。再びたっぷりの湯の中で15分ほど茹でる。
3.ザルにあげて水けをきったオレンジを、冷水をたっぷり入れたボウルまたは鍋の中に36~48時間ほど浸しておく。(皮をやわらかくさせて砂糖を染み込ませやすくする)
4.水気を切ったオレンジを皮ごとひと口サイズに切り分ける。これをフードプロセッサーにかけて、皮が5mmくらいの大きさになるまでカットする。


去年のより、だいぶ荒くカットしました。

5.4をほうろう鍋に入れ、グラニュー糖を加えて火にかける。かき混ぜながら沸騰させる。アクを取りながら、10分間煮る。
6.蓋をして、36~48時間ほど休ませる。(砂糖を浸透させるため)


昨年は、この後さらにフードプロセッサーでピュレにしましたが、今回はそれを省略してあります。

7.6にレモン汁を入れる。火にかけて沸騰させ、かき混ぜながら20~25分間煮る。
8.あらかじめ煮沸消毒しておいた瓶に素早く詰める。縁ぎりぎりまで詰めたらフタをし、瓶をひっくり返した状態で冷ます。

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「懐かし系」がお好き? フランス人女性が選ぶお菓子本

   先日、立て続けにふたりのフランス人女性からお菓子の本をプレゼントされるという幸運にめぐまれた私です。パリに住み、しっかり仕事をしながら妻・母業もこなしている多忙な日々の中、ちゃんとお菓子だって作ってしまうような女性たち……。バイタリティ溢れる女性は、気遣いの達人・プレゼント選びの達人でもあります。

   同世代のこういうフランス人女性が選ぶ料理本とは、一体どんなもの? 本をプレゼントされるという嬉しさと同時に、ものすごい好奇心が沸いたことは言うまでもありません!


横長の小さな版型、そして暖色系の表紙。コンセプトがそっくりな2冊のお菓子本、どちらも2006年刊行本。フランスの女性には、こういう本が圧倒的に人気なのでしょうね。

   偶然にも2冊の本がとても似たスタイルの本だったことに驚きました。有名パティシエの豪華本でもなく、きれいでお洒落な写真が載っている本でもない。どちらも写真がついていない「昔懐かし系」のお菓子本です。当たり前ですけど、フランス人にとってのフランス菓子は特別なものでも非日常的なものでもないわけで、だからこそお菓子屋さんでは買えないお菓子、家庭的なお菓子にこだわる人が多いのだと思います。

   シンプルなレシピの横に、ふんわりしたトーンの絵が描いてある。この絵がなんとも女心をくすぐってくれるのです。お菓子がある風景っていいなぁ……。そういう温かな気持ちを高めてくれる効果は写真以上! もともと絵本料理本には弱いタチなので、すっかり気に入って何度も手にとって眺めています。

   タルトやサブレ、オーブンで焼いたシンプルな果物デザート。紹介されてるお菓子はどれも馴染みの家庭菓子ばかりです。例えば「タルト」っていうとどこか肩の力が入ってしまう人でも、こういう本を手に取れば、ちょっとハードルが低く感じるのではないでしょうか。


とてもフランスらしいイラストの数々。

   件のふたりにもお手製タルトをご馳走になったことがあります。ブルーベリーのタルトとりんごのタルトでした。料理が好きな彼女たちだからかもしれないけど、生地もちゃんと手作り(市販の生地を使う人もかなり多いご時世なのに)していて、ただただ尊敬。

   仕事帰りに子どもの保育園からのピックアップ、平日の夜8時に自宅ディナーに招待してくれることだけでもスゴいのに、ちゃちゃっとお手製タルトも焼いてしまうのね……。フランス人女性のパワーをこういう時につくづくと感じます。今度、私も日本の料理本をプレゼントしたいと思う(うーん、どんな本が喜んでもらえるでしょうね)。


こちらのお菓子本は、全国の「おばあちゃんのお菓子」投稿レシピを集めたもの。レシピの由来なんかも載っていて、読んでて楽しい。

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生ハムにチョコレート、そしてもうひとつのバスクのおみやげ

   今回ピックアップしてみたのは、「塩」の話題。わが町バイヨンヌといえば「生ハムとチョコレート」が有名でありますが、実は塩の産地でもあるんです。


赤いシンボルカラーが目印です。

   塩は大別して「大地の塩」と「海の塩」に分けられますが、バイヨンヌの塩は大地の塩。余分な水分を抜いてサラサラにした「sel fin(細かい塩)」、適度な水分と塩本来の旨みを含んだ「sel gros(粗塩)」の2種類があります。

   スーパーの塩売り場へ行くと、日本でも有名なイル・ド・レ産の「塩の花」のお隣に、このバイヨンヌ塩が並んでます。「お土産に塩」というのは、お手軽ながらも(重いですけどね)意外と外れなく喜んでもらえるし、バスクの塩っていうのは結構目新しいのではないかと。バスクのおみやげ候補のひとつにどうぞ!

   バイヨンヌのsel grosは、粗塩としてはかなり小粒な部類に入ります。何にでも使いやすいので、私はこちらを愛用。寒さ厳しいこの季節、湯船に一掴みの塩を入れて入る塩風呂にも、このバイヨンヌ塩を惜しげなく入れてます。保温効果は抜群です!


我が家の基本の塩はこの2つ。上が「バイヨンヌの粗塩」、下が「イル・ド・レの塩の花」。これに時々、日本の塩が仲間入りします。

   さて、バイヨンヌの塩を生産しているのはフランスの大手の製塩会社であるため、雑誌・テレビ向けの広告も行ってます。その広告に現在起用されているのが、ジャン・クロード・テレチャ氏。バイヨンヌの星つきレストランCheval Blancのオーナーシェフであります。


料理雑誌の広告ではかなりメジャー級な登場率!

   そして笑ってしまうような話なのですが、彼の料理はおいしいけどかなり塩がきつい!「彼の料理はしょっぱすぎる」と言ってる人には何度かお目にかかったことがあるので、私がコマーシャルの洗脳効果を受けている訳ではないと思う。

   彼がもともと塩を多用するから広告に起用されたのか、広告に出るようになったから塩使いが多くなってしまったのか?ちょっと気になるところです……。

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お酒とブラックコーヒーがお似合いな味、「くるみペースト」

   おばあちゃん直伝の「くるみペーストのブリオッシュ」レシピ後編。

   ブリオッシュ生地を発酵させている間に、くるみペーストを作ります。おばあちゃんをお迎えして作った日は発酵待ち時間のあいだにゆっくり昼食を食べ、午後にまたのんびりと取り掛かりました。日がな一日かけて作るお菓子であります。

   最初の作業はくるみを細かく挽くこと。昔はグルグルと手動で廻すミルを使っていたそうです。「あのミル、どこに行っちゃったのかしら。見つかったら、リサにあげるのにねぇ……」とよく言ってるおばあちゃん。10年程前からフードプロセッサーを使い始めたとはいえ、いまだに行方不明のミルが気になって仕方ないようです。


フードプロセッサーのパルスを使うと程よい感じに。

   フードプロセッサーは便利な反面、パワーが強いとあっという間にくるみの油分が出てしまうので注意します。矛盾した言い方ですが、くるみをペースト状にしないことがおいしいくるみペーストのポイント。ざらざらっと粗めの粒子にするつもりで。おばあちゃんは、コマめに指で触ってチェックしてました。

   数年前、義母が「今回のは、くるみを挽きすぎね」と率直コメントを言ったものだから、おばあちゃんがご立腹! クリスマスの朝から母娘喧嘩が勃発して、まわりの人がフォローにアタフタしてしまったという年がありました……(今となっては懐かしいエピソードだけど)。まあ、それくらいこのお菓子の要を握っているということですね。

   くるみの香ばしさに、レーズン、バニラ、そしてレモンの香りを加え、砂糖と卵が繋ぎ合わせをします。お互いの個性がぶつかりあった芳醇な香りのペーストの出来上がり。リキュールなんて加えていないのに、まるでお酒をたっぷり入れたお菓子を彷彿させるお味になります。


ねっとりとしたくるみペーストの出来上がり。クルミ好きにはたまらない味! このペースト、他のお菓子にもいろいろ応用してみたいと思う。

   その証拠に、以前日本帰国前におばあちゃんがこのお菓子をお持たせしてくれたとき、意外にも気に入ったのは甘党な母ではなく左党な父でした。ブランデーをちびりちびりやりながら堪能するのにぴったりなお菓子なようです。

   ちなみにこのお菓子を朝食に頂くなら、断然にコーヒー向き。普段はミルクティ派な私ですが、ちょっと顔をしかめながらも濃いブラックコーヒーをすすりながら味わっています。


二次発酵。おばあちゃんは「ぬれ布きんかぶせて暖房の前」派ですが、わたしは「点火していないオーブンの中に熱湯を張ったバットを入れる」派。湿度も保てるので確実に発酵してくれます。

●「くるみペーストのブリオッシュ」作り方(後編)

くるみ……140g
グラニュー糖……100g
バニラ……少々
レーズン……大さじ4
レモンの皮……1個分
卵(小)……2個

1.くるみペーストを作る。くるみをフードプロセッサーで細かくカットする。胡麻粒くらいの大きさになるまで。
2.レーズンを湯で戻し、水気をよく切っておく。
3.1、2、その他の材料を全てボウルに入れ、へらで混ぜ合わせてペースト状にする。
4.型にバター(分量外)を塗り、底だけにベーキングペーパーを敷く。
5.発酵が終わったブリオッシュ生地を、打ち粉をした台の上に取り出す。めん棒で20x25cm(型の長さによって調節)に伸ばす。
6.くるみペーストを全面(縁1cmほど残す)に広げ、ロールケーキを巻くときのように、くるくるっと2回巻く。ペーストが飛び出ないように、巻き終わりの部分と両端の生地をつまんで綴じる。
7.型の中に入れる。ぬれ布きんをかぶせ、部屋の暖かい場所において30分ほど二次発酵させる。ひとまわり大きくまるまでが目安。
8.卵黄1個(分量外)を水小さじ1で溶いたものを、刷毛で表面に塗る。200度のオーブンで10分間、180度に下げてさらに20分ほど焼く。

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お酒とブラックコーヒーがお似合いな味、「くるみペースト」

   おばあちゃん直伝の「くるみペーストのブリオッシュ」レシピ後編。

   ブリオッシュ生地を発酵させている間に、くるみペーストを作ります。おばあちゃんをお迎えして作った日は発酵待ち時間のあいだにゆっくり昼食を食べ、午後にまたのんびりと取り掛かりました。日がな一日かけて作るお菓子であります。

   最初の作業はくるみを細かく挽くこと。昔はグルグルと手動で廻すミルを使っていたそうです。「あのミル、どこに行っちゃったのかしら。見つかったら、リサにあげるのにねぇ……」とよく言ってるおばあちゃん。10年程前からフードプロセッサーを使い始めたとはいえ、いまだに行方不明のミルが気になって仕方ないようです。


フードプロセッサーのパルスを使うと程よい感じに。

   フードプロセッサーは便利な反面、パワーが強いとあっという間にくるみの油分が出てしまうので注意します。矛盾した言い方ですが、くるみをペースト状にしないことがおいしいくるみペーストのポイント。ざらざらっと粗めの粒子にするつもりで。おばあちゃんは、コマめに指で触ってチェックしてました。

   数年前、義母が「今回のは、くるみを挽きすぎね」と率直コメントを言ったものだから、おばあちゃんがご立腹! クリスマスの朝から母娘喧嘩が勃発して、まわりの人がフォローにアタフタしてしまったという年がありました……(今となっては懐かしいエピソードだけど)。まあ、それくらいこのお菓子の要を握っているということですね。

   くるみの香ばしさに、レーズン、バニラ、そしてレモンの香りを加え、砂糖と卵が繋ぎ合わせをします。お互いの個性がぶつかりあった芳醇な香りのペーストの出来上がり。リキュールなんて加えていないのに、まるでお酒をたっぷり入れたお菓子を彷彿させるお味になります。


ねっとりとしたくるみペーストの出来上がり。クルミ好きにはたまらない味! このペースト、他のお菓子にもいろいろ応用してみたいと思う。

   その証拠に、以前日本帰国前におばあちゃんがこのお菓子をお持たせしてくれたとき、意外にも気に入ったのは甘党な母ではなく左党な父でした。ブランデーをちびりちびりやりながら堪能するのにぴったりなお菓子なようです。

   ちなみにこのお菓子を朝食に頂くなら、断然にコーヒー向き。普段はミルクティ派な私ですが、ちょっと顔をしかめながらも濃いブラックコーヒーをすすりながら味わっています。


二次発酵。おばあちゃんは「ぬれ布きんかぶせて暖房の前」派ですが、わたしは「点火していないオーブンの中に熱湯を張ったバットを入れる」派。湿度も保てるので確実に発酵してくれます。

●「くるみペーストのブリオッシュ」作り方(後編)

くるみ……140g
グラニュー糖……100g
バニラ……少々
レーズン……大さじ4
レモンの皮……1個分
卵(小)……2個

1.くるみペーストを作る。くるみをフードプロセッサーで細かくカットする。胡麻粒くらいの大きさになるまで。
2.レーズンを湯で戻し、水気をよく切っておく。
3.1、2、その他の材料を全てボウルに入れ、へらで混ぜ合わせてペースト状にする。
4.型にバター(分量外)を塗り、底だけにベーキングペーパーを敷く。
5.発酵が終わったブリオッシュ生地を、打ち粉をした台の上に取り出す。めん棒で20x25cm(型の長さによって調節)に伸ばす。
6.くるみペーストを全面(縁1cmほど残す)に広げ、ロールケーキを巻くときのように、くるくるっと2回巻く。ペーストが飛び出ないように、巻き終わりの部分と両端の生地をつまんで綴じる。
7.型の中に入れる。ぬれ布きんをかぶせ、部屋の暖かい場所において30分ほど二次発酵させる。ひとまわり大きくまるまでが目安。
8.卵黄1個(分量外)を水小さじ1で溶いたものを、刷毛で表面に塗る。200度のオーブンで10分間、180度に下げてさらに20分ほど焼く。

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おばあちゃん秘伝のブリオッシュ、そのおおらかな作り方

   おばあちゃんに教わった「くるみペーストのブリオッシュ」、レシピ前編。今回はブリオッシュ生地、次回はくるみペーストと仕上げと、2回に分けてお届けします。


おばあちゃんレッスンから2週間後、クリスマス用に私が1人で焼いたもの。家族みんなに絶賛されて少々照れくさかったです。

   実はレシピを載せるにあたって、正確な分量算出にはちょっと苦労しました。なぜなら今時のきっちり数字が並ぶレシピと違い、おばあちゃんのレシピ(特にこのお菓子)は勘と目分量にモノを言わせる部分が多いから。

   「お菓子作りは分量を正確に計るところから始る」とはよく言われますが、おばあちゃんのお菓子つくりに限っては必ずしもそうではない! お菓子つくりは生活の一部、料理の延長だった彼女の口からは、「そんな感じ」「自分の好きなように」「おいしそうになったらね」なんていう、おおらかな台詞が連発されます。60年間以上の経験に裏打ちされた余裕っぷりでもあります。


手順はロールケーキと同じ。ブリオッシュ生地でくるみペーストを巻いたものを型に入れて焼き上げます。

   「何グラム入れるの?」「何度のオーブンで何分焼くの?」とついつい数字を追い求める私にむかって、おばあちゃんが諭すように言いました。
「作っているうちに分かるから、心配しなさんな」。

   彼女の昔のノートを見ても、材料名は書かれていても全ての分量は記入されていません。例えばブリオッシュ生地に加える水分量。これは使う粉の質や卵の大きさ、それから部屋の気温や湿度によって変わってきて当然。「見て触って自分で調節しなさいよ」ということです。

   つまり、おばあちゃんのお菓子つくりは1回1回が真剣勝負なんですね。じーっと見る。指で触れる。匂いを嗅ぐ。ときには味見する。数字に頼らず、自分の感覚と経験をフルに生かして一生懸命作る姿勢には頭が下がります。

   今回のレッスンで学んだことをずばり一言で表すとしたら……「レシピより五感を使え!」そんなところです。

●「くるみペーストのブリオッシュ」作り方(前編)
(10x25x8cmブリオッシュ型1台分)

ブリオッシュ生地
小麦粉(中力粉)……330g
グラニュー糖……30g
ドライイースト……小さじ2
卵黄……2個
牛乳……卵黄とあわせて約220~230cc
バター……90g(室温にもどしておく)

1.大きめなボウルに小麦粉、グラニュー糖、ドライイーストを入れ、均等に混ぜる。
2.人肌に温めた牛乳と卵黄を混ぜたものを加え、手でよくこねる。柔らかすぎると感じた場合は、打ち粉を軽くしながら、固すぎると感じた場合は牛乳を大さじ1ずつ加えながら調節する。
3.なめらかにまとまってきたら、バターを少しづつ加える。よくなじませ、べたべたしていた生地が手につかなくなるまで、しっかりこねる。ツヤのあるしっとりした生地に仕上げる。
4.ボウルの上にぬれ布きんをかぶせ、部屋の暖かい場所に置いて発酵させる。1~1時間半、生地が約2倍にふくらむまでが目安。

(続きは19日に掲載予定です!)

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我が家に招いたお菓子講師とは? そう、あの方です

   12月のある日、我が家に「お菓子の講師」をお招きしました。

   暖房を全開にし(我が家は「耐えられないほど寒いっ」とおっしゃるので……)、冷蔵庫にはキンキンに冷やしたシャンパンを用意し、台所で腰かけてもらえるように小さな椅子を用意しました。その講師とは、夫のおばあちゃん。まさにご老体に鞭打っていただいて実現したレッスンでした。

   一緒にお菓子をつくったのは実に数年ぶり。今よりずっと体力があった頃は、彼女が自ら作ってくれるのを私が横で見守ったけれど、残念ながら今回は逆。おばあちゃんが口頭で指導してくれるのに従って私が手を動かす、というレッスン方式にしました。

   習ったお菓子は、「胡桃ペーストのブリオッシュ」。ブリオッシュ生地で胡桃のペーストをくるっと巻いて焼いた、滋味あふれるパン菓子です。私も今まで何度ご馳走になったか数えきれない、十八番中の十八番レシピであります。


おそらく普通の日本人にとっては、未知なる味わいのお菓子だと思う。私も初めて口にしたとき、新しい味覚との出会いを感じました。

   今回改めて知ったことですが、おばあちゃんが26歳でお嫁入りしたときに、お姑さんから「家の味」として教わったお菓子だそう。女の歴史が詰まったお菓子であります。

   以来昨年までの64年間(!)、年に数度は作り、そしてクリスマスの朝ごはんは必ずコレという慣習となっているもの。私にとっても、すっかり嫁ぎ先の「クリスマスの朝の味」と化しています。これがないとクリスマスの朝って気分にならないから不思議……。


年季の入ったご愛用ブリオッシュ型も引き継ぎました。使い込まれていながらもコンディションも良くって感激。私にとっては、高価な骨董品級のお宝モノです。

   そんな訳で、いつか必ず教わっておかなければいけなお菓子でした。おばあちゃんもずっとその機会をうかがっていたようです。しかし、「教えてあげるわよ」とは決して言わず、私が「教えて」と自発的に言い出すのをずっと待ってくれていた。こんなところにも、おばあちゃんの懐の大きさを感じます。


頂いたノートをチェックしてみたところ、どのノートにもこのお菓子が載ってました。ノートを新調しても、このお菓子だけは必ず写し書いていたのです。お菓子の名前は「おかあさんのブリオッシュ」となっています。おばちゃん、可愛い……。

   果たして行ったレッスンは、ハプニングあり笑いありの数時間でした(シャンパン飲みながら……)。無事に焼きあがった時は、お互いの顔を見て笑ってしまいました。

   それにしても今回のレッスン実現に向けて誰よりも張り切り、出来上がったお菓子に歓喜していたのは、まぎれもなく夫! 子どもの頃からの「クリスマスの朝のおばあちゃんの味」を、まさか私が引き継ぐことになろうとは想像していなかったみたいです。

   次回、レシピをお届けします。お楽しみに!

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主食はパンより米派!な私が通うブーランジュリー

   「バスクのアドレス帳」お店編。
今年初回にご紹介するのは、ブーランジュリー(パン屋さん)です。

   こう言うと大抵の人に驚かれるのですが(お菓子好き→パン好きと思われる?)フランスに住んでいる割に私はパンを食べてません。パン屋へ行く習慣がないため、フランス人のお客さんを招いておきながら、「どうしよう! パンを買ってくるのを忘れてしまった!」となり、お客さんにパン持参で来ていただくという、お恥ずかしい経験も何度かあり。

   理由はただ単にご飯が好きだから。もちろん、レストランやよそのお宅でパンを出されれば喜んで頂きます。とびきりおいしいパンと、熟成されたチーズ、そしてワインの組み合わせの素晴らしさも心底認める! しかし哀しいかな、DNAは日本人ですから……。日々の主食はお米のほうがしっくり来るなぁ、が本音。そして、「そう簡単に主食を変えてたまるか!」という頑固さも、私の生き方(ちょっと大袈裟?)の一面です。

   そんな私でも、フランス人の行列に混じってパンを買ってみることが時々あります。そしてそれは何故か今の季節、真冬の気持ち良い快晴の朝だったりする。1年365日ルーティン化しているフランス人と違い、私にとってのパン屋通いは気持ち良い朝のリフレッシュ行動といったところです。

   家から半径数キロ圏内のパン屋を1軒1軒食べ歩いていった結果、今のところこちらのお店に落着いてます。午前中はどの時間帯もだいたい5~6人待ちの行列は当たり前。バゲットやクロワッサンの売り切れ時間が早いことも町の人に信用されている証拠です。

   昨年の春、日本人観光客の方たち(年配ご夫婦のグループだったというところもポイント)の男性陣がこの店のクロワッサンをかじり、女性陣が朝市で果物のお買物をしているシーンを見かけました。その様子がとにかく楽しそうで素敵な人達だったので、印象に残ってます。

   フランスの田舎町にステイするなら、ホテルの朝食をパスしてこんな朝ごはんも素敵だと思う。そして、バイヨンヌという町は「朝ごはん散歩」をするには理想的な大きさと雰囲気なのです。


町に計4店舗あります。こちらはマルシェ広場(Halles Centrales)店。

Mauriac
*23 rue Port Neuf
*9 rue d’Espagne
*2 rue Port de Suzeye
*Halles Centrales


パン屋さんなれどウィンドーを飾るのはガトー・バスク、っていうのがこの地方ならでは。

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バター量はヒ・ミ・ツな「ガレット・デ・ロワ」

   新年といえばこのお菓子、「ガレット・デ・ロワ」の季節がやってまいりました! クリスマスのお菓子と入れ替わるようにしてお菓子屋さんの店頭に続々と登場してます。

   折込パイ生地の中にぎっしりとアーモンドクリームを敷きつめた、これぞフランス菓子の真骨頂とでも言うべき伝統菓子。フランス人なら老若男女みんなが愛してやまないお菓子でもあります。

   このお菓子を食べているときの人々の嬉々とした表情といったら……。フランス菓子の本質、フランス人とお菓子の濃密な関係をしみじみ感じる瞬間です。


バイヨンヌのパン屋さんMauriacのガレット・デ・ロワ。ここのパイ生地は良質のバターを使ってるのがよーく分かります。

   実は自分でこのお菓子を作ったことは一度もありません。そして、これからもきっとないだろう……。今月中はこれを口にする機会がとても多いので、さらに自分でも作っていたりしたら大変なことになりそうだから。

   何と言っても折パイ生地とアーモンドクリームのコンビですもの。バター摂取量はフランス菓子の中でもピカイチなお菓子ではないでしょうか。これを何度も口にするのはさすがに避けたい、っていうのが本音。

   私はお菓子をつくるとき、カロリーのことは全く忘れてます。気にするくらいなら最初っから作らない方がマシって考え。あくまで作りたい気持ちを優先です。ただし、食べるときに全く意識しないかと言えばウソです! 特にフランスのお菓子屋さんのお菓子などは、日本のそれよりポーションも濃度も大柄なので、頭の中で使用バター量などを空想計算しながら心の中で冷や汗……なんてことがよくあります。


ガレットにフォークを入れる瞬間……いろいろな思いが頭の中をよぎる。

   昔、自宅に友人を呼んでお菓子つくりをしたときのこと。私がいとも平気な顔をしてバターの塊を用意してるのを見て、彼女が小さな悲鳴をあげました。「エっ、こんなにバター入ってんの!?」。その叫びを聞いて、逆に私はとても新鮮な感情をおぼえました。お菓子の内訳を全く知らないでいるのも、ある意味幸せだなぁと。

私は、自分の中に一線というものを引いてます。「これを超えたらちょっとマズいんでないの?」という一線。それを超えているお菓子の1つがガレット・デ・ロワです。そしてその線引きの基準は、1ポーションあたりの摂取バター量が〇〇g以上という数値。〇〇の数値は敢えて内緒にしておきますね。皆さんを恐怖させるといけないので……。

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ビタミンCたっぷり! 真冬の果物「クレマンティーヌ」

   あけましておめでとうございます。

   お正月はいかがお過ごしですか?
日本だったら、おコタに入ってミカン食べながらテレビや映画三昧という方をされてる方も多いのでは?

   コタツといえば、去年の春にパリに日本のマンガ喫茶がオープンしました。木枯しが吹き始めた頃に「コタツ始めました」とチラシに書いてあったのがちょっと可笑しかったです。パリのど真中で、コタツに入って漫画を読む。なかなかシュールだなぁと思います。

   脱線しましたが、取り上げたい話題はずばり「ミカン」。フランスでも、師走の声を聞く頃には果物売り場の顔的存在になります。「Clementine(クレマンティーヌ)」と「Mandarine(マンダリン)」という名で、おおまかに分けて2種類あります。さらに両種とも国産以外にスペインやモロッコなど南の国々からの輸入品も多いので、柑橘類の品種はかなりの数にのぼります。


マルシェの「葱のおじさん」(とてもおいしい葱を売ってる人)から買ったクレマンティーヌ。暖冬のせい?去年のより甘い。

   どちらかと言うとクレマンティーヌの方が爽やかな甘味で、私はこちらを好んで買っています。年末年始のご馳走続きで胃がお疲れ気味のときなど、まるでビタミンCがカラダにじわじわ染み入るかのよう! ラルース食材辞典を読んでみると、クレマンティーヌ2個で1日に必要なビタミンCが摂取できるそうです。

   フランスでいえばコルシカ島産が有名です。しかし、こちらバスクでも細々ながらも生産してます。朝市では、農家の人が実益・趣味半々で庭で育てているクレマンティーヌを手に入れることが出来ます。地元贔屓目を差し引いても、コルシカ産に負けず劣らずおいしい。

   やっぱり、フード・マイレージを意識したい。そして地元農家の人を応援したい。今年もこの心意気をキープしつつ、楽しく健康的な食生活を送っていきたいと考えてます。

   今回の「今週の食材」はじめ、バスク暮らしのこと、おいしいもの、そして旅先で出会ったことなど、満遍なく(?)網羅していくつもりです。

   2007年もご愛読どうぞよろしくお願いします!

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「懐かし系」がお好き? フランス人女性が選ぶお菓子本 (1月26日)
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