更新日:2008年5月27日

バスク地方の暮らしとお菓子のレシピ「バスクの砂糖壺」


バスク地方は、フランス南西部~スペイン北部に広がる緑と水のゆたかな土地。お菓子とおいしいものが大好きなマテスク里佐さんのオーブンからは、今日も甘くて香ばしいいい匂いが立ち上っています。里佐さんがバスクで出会い・学んだお菓子やお料理、そして人々の暮らしの様子について、レシピとともにお届けします。

文=マテスク里佐
   

田舎ステイのすすめ、黒さくらんぼ村のオーベルジュ




   「バスクのアドレス帳」。田舎の宿・食事編。

   黒さくらんぼの産地、イッツァス村。フランス語なら auberge「オーベルジュ」、日本語なら「民宿」といった風情の宿が数軒あります。

   観光や散歩をたっぷりと楽しんだ後、部屋に戻ってひと休み。階段をトントンと下りるだけで、温かな地方料理が出てくる安心感。お腹いっぱいに身も心も満足したら、そのままお部屋に戻ってぐっすり眠るだけ。これぞ旅の極楽!

   こういう田舎のオーベルジュ、大きく分けて2種類あります。「宿泊客にのみ食事を出す宿」と「宿泊客以外も食事できる宿」。言い替えてしまえば、前者は「食事をだす宿」、後者は「宿泊も出来るレストラン」。このニュアンスの違い、分かってもらえますか? 「おいしいごはんが食べられるのはどっちのタイプ?」となると、答えは当然後者です。

   今回ご紹介する宿は、典型的な後者タイプです。冬のオフシーズン中、宿には閑古鳥が鳴いていようとも、レストランにだけは赤々と灯が灯って賑わっています。地元客に愛される店こそ観光客にも愛される店だな、としみじみ。

   代々親子で営みながら、現在は3代目が切り盛りしてます。オーナーシェフの郷土料理。マダムが庭でとれたさくらんぼで自ら作るジャムやキルシュ漬け。姑から嫁へと引き継がれてきたという秘伝レシピのガトー・バスク。バスクの味、家の味がたんまり味わえます。


さくらんぼの使いみちは、デザートだけにあらず。甘酸っぱさが鴨のローストにもとても合う。


さくらんぼのキルシュ漬け。こういうシンプルなデザート、私は大好きです。


近隣でも評判が高い、この家のガトー・バスク。とても特徴があって、お菓子屋さんのとは全く別の味。温めて焼きたてのようにしてサーブしてくれます。

   ちなみにこちらのマダム、親日家と言うには大袈裟かもしれないけど、少なくともアジア人の中では日本人に一番サンパシーを感じているご様子。理由はえらく単純、「日本人はよく食べるから」だって……。

   ある業界では知られた存在の工房が隣村にあるおかげで、アジア人ビジネスマンもちらほら訪れているんだとか。で当然、各国の人の食べっぷりを比較観察しているわけでして。「中国や韓国の人はほとんど食べずに残してしまうのよ。日本人はおいしいおいしいって食べてくれるから好き。そしてあなたもね」と言ってました。

   というわけで、非常に珍しい存在である日本人のお客様、かなり好奇と興味をもった目で観察されることもご覚悟の上……(私がここに来た当時も、相当に村のウワサになったようです)!


テラスで山を見渡しながら。昼もいいけど……


夜もいい。濃紺の空に山の稜線がくっきり。

Hôtel du Fronton-restaurant Bonnet
place du Fronton
64250 Itxassou
tel 05.59.29.75.10
fax 05.59.29.23.50
水曜休日
宿、食事ともに要予約

コメント (14) | トラックバック



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里佐さん、適切なアドバイスをありがとうございました。
田舎料理、繊細な料理、バスクのヌーヴェルキュイジーヌ・・・伺って、大変参考になりました。
今、ホテルとハイヤーの手配について相談しています。
またご報告させて頂きますね。
突然の問い合わせにもかかわらず、色々とご親切にアドバイスを頂いたこと、とても感謝しています。ではまた!

投稿者 ムーミン : 2006年05月31日 08:39

ムーミンさん
タクシーは実際に自分で乗ったことはないので大雑把ではありますが、1KM1.7ユーロくらいが相場だそうです。すると、例えば空港エリアからイッツァスなどの山間部は30~40ユーロくらいですね。
レストランの三者択一、うーん難しいなぁ。ジャンルがあまりに違うので。田舎料理、繊細な料理、バスクのヌーヴェルキュイジーヌの中から、一番興味あるジャンルを選んでくださいね。
それとサンセバのホテルに関しては、自分と周りの人と泊まったことある人がいないので分かりませんので、あしらからずです。フランスのバスクガイドブックをご参照になってみてください!

投稿者 マテスク : 2006年05月31日 04:34

Bonjour 里佐さん!ご丁寧なご返信ありがとうございました。
私も思い切ってタクシーを使うという考え方に賛成です。
オスタペは、BIDARRAY PONT NOBLIA駅まで送迎してくれるそうです。とても感じの良い対応で、今からワクワクしています。一度ホテルの方にも相談してみるのもいいかもしれませんね。
でも里佐さんやみなさんのお話を伺っていると、だんだんサンセバにも行ってみたくなりました。電車の便も結構あるようですね。
そこでアドバイスを頂きたいのですが、もし「Hôtel du Fronton-restaurant Bonnet」と「Moulin d’Alotz」と「ARZAK」のうち、どれか一つしか行けないとしたら、里佐さんはどちらをお薦めになりますか?
「Moulin d'Alotz」やItxassouへはタクシーで大体どのくらいの予算をみておけばよいのかご存知でしょうか。
Biarritzではお薦めのレストランやホテルに是非行ってみますね。
サンセバで里佐さんのお薦めのお宿がありましたら、教えて頂けるととても嬉しいです。
そうそう、Le Troquetは前から気になっていたので、近々行ってみます!
いつも素敵なお話をありがとうございます。

投稿者 ムーミン : 2006年05月30日 19:59

ムーミンさん、はじめまして。
コメントありがとうございました!
交通面、費用やご旅行人数などにもよりますが、私はおもいきってタクシーを使ってしまうのが一番精神的にも時間的にも楽なのではと思います。そうやって楽しんでいた女性一人旅の方とお会いして、これが一番賢いなって思いました。イッツァスは、バイヨンヌの観光案内所からバスがあるらしいのですが、その為にバイヨンヌに行くのも大変ですよね。
少なくともMoulin dAlotzは、タクシーで。行かれてみたら、納得して頂けるような場所にあります。
ところで、オスタペはどこかまで送迎車などが出るのでしょうか?


投稿者 マテスク : 2006年05月30日 15:16

里佐さん、はじめまして。
来月末にオスタペに行くのですが、その前後にバスクを見て回りたくて情報を探していたら、幸運にもこちらのブログに出逢えました。
とても素敵なブログで、感激しています。
優しい文面が心にじんわり沁みるようで、バスクの心地よい風と里佐さんのお人柄の温かさがそのまま伝わってくるようです。
私はパリでお菓子の勉強をしているのですが、中でもガトーバスクが大好きです。バスクでどんなガトーバスク達に出会えるのかと思うとワクワクしてきます。また、chambres d'hôtesに滞在するのも好きで、地元の方との心のふれあいができる旅を大切にしたいと思っています。
こちらの記事を拝見して、是非、なんとかして(!)この「Hôtel du Fronton-restaurant Bonnet」か「Chene」に行ってみたいのですが、やはりバイヨンヌからだと車がないと無理なのでしょうか?
どうしても行ってみたくて・・・。
SNCFのサイトを検索してみたら、Itxassouまではバイヨンヌから電車が走っているようですが(かろうじて夕刻に1便)、帰りの便は検索をかけても出てきません。
里佐さん、何か良い案はありますでしょうか。
オスタペで2泊した後、バイヨンヌで里佐さんがご紹介されていた宿に泊まり、翌日にできればItxassouにて泊まることができれば、と考えています。
後、「Moulin d’Alotz」も車がないとやっぱり行けませんか?本当に行ってみたいです。
バスクの交通事情についてよく分からないので、お手すきの時にアドバイスを頂けますととても嬉しいです。
どうぞ宜しくお願いいたします。
長々となりましたが、これからも里佐さんのあったか~いブログ、楽しみにしていますね。

投稿者 ムーミン : 2006年05月30日 05:23

Rikaさん
イッツァス、足を運ばれたことありますか?のんびり散歩するにはもってこいの場所なのでぜひぜひ。そろそろテラスでの食事が気持ち良い季節ですね!

kazさん
早速のご報告ありがとうございました!いやー、バスクがおきに召したようで嬉しいです。オスタペにお泊りだったのですね。そうそう、あそこのジャムは私もかなり印象に残ってます。
アルザックも存分に楽しまれたようで!確かにあの後の運転はかなりハードでしょうから(しかもオスタペのあの山道!)サンセバに宿を取るのもいいかもしれませんね。どちらの食・飲みを優先するか、のチョイスになりますね。
またのバスクご訪問の際にお役にたてると嬉しいです。

marilleさん、ぷうさん
お菓子にお詳しいお二人のいろいろな研究的なご感想、楽しく拝読しました。ガトーバスクって作り手によって、かなり幅広い気がします。生地にはアーモンドパウダーは少しだとしても必ず入ってる場合が多い気がします。こちらのレストランのは、生地、フィリング、そして塗り黄身もたっぷりと、かなり卵黄たっぷりなお味です。


投稿者 マテスク : 2006年05月10日 05:45

 こんにちは、もうすぐさくらんぼの季節ですね。レストランのガトーバスク、おいしそう! フィリングはどんな感じなのでしょうか。
 この間からいくつかガトーバスクのレシピを眺めているのですが、フランスのレシピとスペインのレシピに、ある違いがあることに気が付きました。スペインのレシピでは、生地とクリームの両方あるいはどちらかに必ずアーモンド粉が入るのですが、フランスのレシピでは、オプションで入れてもいいという感じでした。でもこれは私が見た本がたまたまそうだったのかもしれません。実際のところはどうなんでしょうね。
 このレストランのも、とっても興味があります。

投稿者 ぷう : 2006年05月09日 10:18

こんにちは。今朝、フランスから戻ってきました。バスク、とてもいいところでした。Itxassou、なんと読むのだかわからなくて、イツクサとか読んじゃってました。はははは。今回OSTAPEに泊まったのですが、そのときにいただいた黒さくらんぼのジャムがおいしくて、ホテルの方にきいたら、Itxassouのものだとのこと、買い求めてまいりました!帰り道、Itxassouを通ってジャムを買い求めようと思ったのに、確かにお店も何もなかった!でもこーんな素敵なところもあるんですねぇ。次回は是非という感じです。
それから、ARZAK。すばらしかったです。アミューズからプティフールまですべて残すことなく完璧にいただきました。というか、すんなりおなかに収まってしまった。おすすめのムニュデギュスタシオンにして大正解でした。今度はスペイン側に泊まって、車の運転を気にせずお酒とともに楽しみたいと思っております。(そう、今回は思いっきり酒飲んで運転しました…)
というわけで、バスク大ファンになって帰ってきたkazでした。次回に向けて、またよろしくお願いします。

投稿者 kaz : 2006年05月08日 14:34

インゲンがハムで巻いてあったりして、さくらんぼ以外にもさりげなく「地元」を主張するお料理なのかなあと思いました。ガトー・バスク、見た目がCrapiauxに似てますね。

中国・韓国では、全部食べるのはマナー違反(特に中国では、完食できる=量が足りない=お前はもてなすつもりがないのか?という意味になるらしい)なので、多分その感覚で残してしまうんでしょうね。食べきれない時は、このマナーがありがたく感じることもあります(笑)。

投稿者 marille : 2006年05月07日 14:46

最近フランにはまってます、、といってもメゾンカイザーのしか知りません。他にもオススメありますか、、又レシピおしえてください。

投稿者 eri : 2006年05月06日 21:59

こんにちは、里佐さんがお察しの通り
国境辺りに住んでいる者です(^-^)

さくらんぼのテーブルクロスがとても可愛いですねぇ。
お料理もおいしそうですし、マダムのセンスの良さも素敵ですね。

お昼のテラスも気持ち良さそうですが、夏場は日暮れも遅いですし、
こんなところでおいしいディナーと楽しいおしゃべりを
しながら、ゆったり過ごせたら
至福の時間を味わえそうですね。

投稿者 RIKA : 2006年05月06日 19:21

Takako Saga様
はじめまして。前回のとあわせて、コメント頂いてありがとうございます!
ボネさん家とCheneにご滞在予定とのこと、楽しいステイになりますように!あとはお天気がよくなることを祈るばかりです。Chene、私もとても好きな店です。ここのコカ(キャラメルプリン)、おすすめです。感想、ぜひお聞かせくださいませ。

シシさん
こんにちは。
レストランのデセール用ガトーバスクは、相当に違います。食後においしく、そしてお酒と一緒に食べておいしい。私は何にしてもレストランのデセールの方が口に合います。(ただの酒呑み?)
サイズは確かにパンケーキサイズ、生地はずっと薄めにしてあります。粉っぽさが少なくて良いです。

投稿者 マテスク : 2006年05月06日 18:31

前回のコメントは夫が代筆して失礼しました。改めて、はじめまして!2ヶ月位前から楽しませていただいてます。お菓子もいろいろ試しては、家族や友達に食べさせ、いつも好評ですよ。もちろんオレンジのコンフィも冷蔵庫に保存してます。あと一ヶ月で訪れるバスク地方、マダムボネにお会いするのも楽しみのひとつになりました。

投稿者 Takako Saga : 2006年05月06日 15:53

よく食べるから・・・という理由でもうれしいことですね。
ところで、このガトーバスクが、写真を見ても私の知っているものとは全く違うのですが、これはどんなものなのでしょうか?
何度見てもホットケーキのように見えてしまいます。

投稿者 シシ : 2006年05月06日 09:04


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