カテゴリ: バスクのアドレス帳
2006年3月31日
「バスクのアドレス帳」、番外編。パリのアドレスです。
「バスク、行くにはちょっと遠いけど地方料理に興味あり」という方におすすめです。パリにいながら、ちょっぴりバスクな雰囲気が味わえます。ちょっぴりと付け加えてしまうのは、やはりそこはパリ、だいぶパリ的な要素も加わっている印象がしたから。
ビアリッツでよく行くレストランのシェフに薦められた店です。「弟子がやってる店だから、良かったら行ってみて」と。彼も「パリのビストロ」と説明していた点からして、地方料理の店というよりもバスクの味をパリの味に翻訳したような店。人間に例えたら、パリに上京してすっかり垢抜けたバスク青年といったところ?都会派なバスクの味、どれもこれも美味でした。

パリでバスク柄の布を見るのはちょっとヘンな気分。木曜の夜8時、私が到着した時はご覧の通りまだガラガラ。9時過ぎが来店ピーク時間です。みんなタフ。
バスクの純朴青年の善良魂そこにあり!と感動したのは、そのお値打ち感。今どき、パリ市内でこの値段でこのレベルの内容っていうのは滅多にお目にかかれないので。値段だけはバスク市価を保っているところが素晴らしいと思いました。
雰囲気も賑やかでバスク的です。カップル客はおらず、みんなグループでわいわいガヤガヤ。ついでに煙草の煙もモクモク。席が埋まってくるのに比例して声の音量を上げていかないと、会話が聞き取れないほどの賑わい様。ふと、この雰囲気日本の居酒屋にいるみたい、と懐かしく思えたほどです。

夫の学生時代の友人2人、昭和47年生まれ職業・金融コンサルタント。西洋人の醤油顔(死語)ってこういう顔のことかしらん、なんて思いながら撮影。

私のオーダーしたデザートは「洋なしのベッドの上のバニラクリーム・マカロン」。マカロン仕立てのデザートはパリっぽくて嬉しい!

黒板メニューの中から、前菜・メイン・デザートを選びます。バスク直送の素材も盛りだくさん。30ユーロ、安い。
Le Troquet
21 rue François Bonvin
75015 Paris
tel. 01.45.66.89.00 要予約
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カテゴリ: 食卓のお気に入り
2006年3月28日
渡仏して数ヶ月が経った頃、夫が買ってきたのがこちらの書物。
Larousse(ラルース/フランスの辞書辞典専門出版社)の『ガストロノミック辞典』。電話帳サイズ、そしてそれ以上にズドンと重たい。ABC順に、食の知識がびっしりと詰まってます。

上は2001年版、下は古本屋で買った1953年版。昔のは、写真の数こそ少ないけど中身はゴージャス。
とにかくフランスでの食生活・自炊生活は、何もかもが目新しかったし、知らないことが多すぎた。漠然として持っていた知識は自分の頭の中のイメージに過ぎなかったってことがよく分かったし、ここで自分らしく快適な食生活をしていくことがそう簡単でなさそうってことも最初の数ヶ月でひしひしと実感した。
外食するたび、一緒に食材を買出しに行くたび、夫を質問攻めにしたもんです。最初のうちは喜んであれこれ教えてくれましたが、そのうち疲れてしまったのか、「これ読んで自分で勉強して頂戴ね」ということか。
確かにこのラルースのおかげで、夫をたじたじさせる回数はぐっと減った。その回答が何となく腑に落ちず、モンモンとした気持ちを抱える機会も減った。そして、訳もわからず片っ端から料理本を買う回数もかなり減った(とはいえ、いまだに「雰囲気買い」はしてしまうけど……)。よって、夫のこの買物は大正解だったと言えましょう。
ちなみに、ガストロノミック辞典にはワイン知識はほんのさわり程度にしか書かれていません。「私、飲む人」をそろそろ卒業すべく、今度は「ワイン辞典」を読んでみよっか、と考え中です。

さすが牛さんの国、牛肉の部位の切り方が日本と違うし、マニアック。この図解入り説明は非常に助かります。

でもラルースより素晴らしいのは実はこちらだったりして。渡仏前に、東京で料理教室をやって35年の叔母が渡してくれたお料理ノート。「愛」の詰まった宝物です!

野菜・果物の品種マニュアルはとても為になる。産地、収穫時期、味と香りの特徴などがリストされています。
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絶対ハマる! バスクの羊のミルク・デザート「マミア」
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バスク暮らし、最初の2ヶ月で私は3キロ太りました。我が人生最速ピッチな太り方に、自分でも目を丸くした! この頃、お菓子作りは再開していなかったし、外食の回数だって今よりずっとおとなしかったというのに。
太った原因の見当はすぐについた。チーズとミルクのせいでしょう、と。犯人は牛さんではなく、バスクの羊さんです。チーズ農家でチーズを大量買い、お昼はそれとバゲットで簡単ランチ、デザートには「マミア」という日々……。そりゃあ太るはずです。
「マミア」。誰もが発音しやく、ママンとマミーを足して2で割ったような、この甘ったるく郷愁をそそるネーミング。バスク語です。フランス語では Caillé de lait de brebis「羊のミルクの凝乳」。スプーンですくえる、ぎりぎりのやわらかさ。おぼろ豆腐のような食感です。
マミアの一番のマミアらしさは、その香り。ちょっと気恥ずかしくなるほど乳の香りがします。でもそれが決して嫌味な乳臭さではなく、なんだかとても心地よい匂いなのです。牛乳を温めたときのあの豊満な匂いは実は苦手な私でも、マミアの匂いは難なくクリア。「マミア」という音の響きの乳臭さに最初はたじろいだものの、初めて口にした時からこの味と香りの虜になりました。

マミアの友は、お砂糖かハチミツ。人によって好みが分かれるところです。私は昔はハチミツ派でしたけど、今はすっかりお砂糖派に転向。ふるふる&じゃりじゃりのメリハリが最高です。

バスク住民の台所には、一家に最低10個は溜まっているんでは?と思われるマミアの空き瓶。文房具立てにしちゃっているって人も何度か見かけました。
フランス側スペイン側どちらでも、魚レストランや郷土レストランで必ずお目にかかれます。もうお腹がはちきれそう。でも甘いものひと口食べたい。そんな時にもするする口に滑り込んでいくデザートです。
バスクのスーパーなら、どこでも売ってます。プラスチック容器入りのエセ(?)もありますが、ホンモノは必ず陶器入りということをお忘れなく。ミルクをただ凝固させただけ、だから賞味期限の短さもマミアの特徴の1つなのです。ホテルの朝食、またはカフェで砂糖の袋をこっそり拝借しておいて、パラリと振りながら食べてみてくださいね。
ちなみに、その後チーズとマミア狂いを卒業したら、私の体重はすんなり元の数値に戻ってました。羊のミルクってよっぽど乳脂肪が高いんでしょうかね?

羊ミルクと凝乳液が運ばれる。液を投入、待つこと3分。ふるふるの出来たてマミアが味わえるレストランもあり。
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ビアリッツで一番予約が取りにくい、リーズナブルなレストラン
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カテゴリ: バスクのアドレス帳
2006年3月21日
「バスクのアドレス帳」レストラン編。
「偉いよねー」「うん、偉い。偉すぎるね」
ここで食事をする度に、我々が繰り返し交わしている会話。とってもおいしいくってすっごく安いから、このお店は本当に偉いんです。
「偉い!」と思っているのはもちろん我々のみならず。各ガイドブックを見ても、どれも手放しの誉めようです。ミシュランではコストパフォーマンスを称える例のビバンダムマークが付いてるし、ゴエ・ミヨにいたっては「この値段でこの内容を出されては、近所のレストランはたまったもんじゃないだろう」なんていう殺し文句を載せてましたし。
バスクでは珍しく、女性シェフのお店です。ごく普通の食材を使って、女性ならではの家庭料理の延長のようなやさしさがうれしい。「どうだ、おいしいだろ!」という自信マンマンな男性シェフたちの味とは一線を画しているといいますか。料理がとっても上手なフランス人女性に招ばれたような、ほっとした気持ちで食事できる店です。

トーストの上にキノコのソテー、そしてポーチドエッグが乗った前菜。ちょっと真似して自分でも作ってみたくなる、そんな料理にたくさん出会えます。この地方にしてはボリューム控えめなので、日本人の胃袋にもやさしい。

サービスの人もとっても感じ良いお店。ただし1人で頑張っているので(これも安さの秘訣)、サービスが遅いのがタマにキズ。8時開店と同時に入店すれば、あまり待たなくて済みます。
町中なので、ヴァカンスでビアリッツに滞在する方にも真っ先にオススメしたい一軒です。春に向けて、「バスク行きます」のご報告を下さった読者の方、ビアリッツのホテルから徒歩圏内ですのでぜひお足運びを!

Le Clos Basque
12rue.L.Barthou
64200 Biarritz
tel. 05.59.24.24.96
予約は必ず! 電話に誰も出ないときはその日は既に満席というサイン。
休 水曜
夜 前菜・メイン・デザート 24ユーロ
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ル・クルーゼのミニ・ココットで「オレンジ・コンフィのスフレ」
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カテゴリ: お菓子の話(レシピつき)
2006年3月17日
連続してお届けしてまいりましたオレンジ保存食の応用編。
最後に「オレンジ・コンフィのスフレ」をご紹介します。
皆さん、「スフレ」ってお家で作ったことありますか? 何となくとっつきにくいイメージをもたれているかもしれませんが、私に言わせるとこんなに簡単でおいしいデザートってないよね?というほどです。
なぜって、卵・砂糖・牛乳・粉とバター少々というシンプルかつ経済的な材料。メレンゲは熱の力で必ず膨らむので、オーブンによって出来具合に差が出てしまうって心配は無用です(誰かのお家に行って、いきなりその場で作ることだって可能)。そして、デコレーションなんかしなくてもOK。ココットからふわっと膨らんだ姿そのものが最大の演出効果をもたらしれくれるから。

オーブンから出して5分もたつとこんな感じに。みるみるしぼむというけれど、この状態をずっとキープしてくれるのでご心配なく!
作り方も、案ずるより産むが易し。カスタードソースさえ前もって作ってしまえば、直前にメレンゲを混ぜるだけ。「膨らませる」というメインの仕事はオーブンがやってくれます。
卵の優しい味わいだからこそ、ピンぼけにならぬようリキュールは必ず入れます。そして果物を入れるとしたら、水気が出てしまうフレッシュな果物よりも、コンフィの方が相性がいい。ふわふわのスフレ生地に、甘みと口ざわりのコントラストが効果的です。

我が家でも最も消費しているリキュール、グランマルニエ。

腕の力には自信あり、なのでメレンゲ作りはハンドミキサーよりも、マニュアル派。実家のお下がりの横向き泡だて器(もう40年選手!)は、本当に使いやすくって大切な道具。
●「オレンジ・コンフィのスフレ」作り方
(ココット3個分、または大きめなグラタン皿1個分)
カスタードソース
卵黄……2個
「オレンジのコンフィ」のシロップ……大さじ1
薄力粉……大さじ2
牛乳……120cc
バター……10g
「オレンジのコンフィ」の微塵切り……大さじ2
グランマルニエ……大さじ1
メレンゲ
卵白……3個分
グラニュー糖……50g
カスタードソースと型の準備(前もってやっておける作業)
1. ボウルに卵黄をときほぐし、コンフィのシロップを入れてかき混ぜる。薄力粉も入れてかき混ぜる。
2. 小鍋に牛乳を軽く温め、1に注いでなめらかに混ぜ合わせる。小鍋にこし戻し、弱火にかけて木べらで混ぜながら軽くとろみがつくまで火を通す。火からおろしてボウルにうつし、バター、オレンジのコンフィ、グランマルニエを加えて混ぜる。
3. 型の内側にバターをうすく塗り、グラニュー糖をうすくまぶしておく。
メレンゲを作ってオーブンへ
1. オーブンを180度に予熱する。
2. 卵白にグラニュー糖を少しづつ加えながら、つやのあるしっかりしたメレンゲを作る。これの1/3量をカスタード・ソースにきれいに混ぜ合わせ、残りのメレンゲも加えてふんわりと混ぜる。
3. ココット型に山盛りに入れ、表面をパレットナイフで真平らにならす。縁にナイフをぐるりと入れて型から離しておく。
4. 天板にのせて60度ほどの湯を注ぎ、15分ほど湯煎焼きにする(途中でオーブンの扉を開けないこと!)。
5. 粉砂糖をふってあつあつをサーブする。
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カテゴリ: お菓子の話(レシピつき)
2006年3月15日
「オレンジの丸ごとコンフィ」の応用編その2。
「オレンジのサバイヨン・スープ」をご紹介します。
サバイヨンとは、卵黄ベースのもったりしたソースのこと。リキュールや果汁で濃度を少しゆるめてあげると、甘いスープに仕上がります。

スープ皿は、料理よりもデザートによく使います。
サバイヨン・スープというと、忘れならい失敗談がひとつあります。数年前、某イスラム国の方々の接待ディナーへ出かけたときのこと。前菜・メインがつつがなく終わり、夫も私もすっかり気を抜いてしまっていた。本日のデザートがよりによって「サバイヨン・スープ」だったのに気も留めず、彼らの前にもお酒たっぷりのデザートが運ばれる……。禁断のアルコールの味を口にした途端、ムスリムの方々がびっくり顔でスプーンを置いてしまったときは後の祭り。5皿ものサバイヨンはそのまま厨房に送り返されてしまう羽目に! あぁ……。何とも哀しい瞬間でした。
イスラム圏の方々であらずとも、フランスのレストランで口にするサバイヨンは、ひと口目は「おぉっ」と唸りたくなるほどお酒が効いてます。お好み・お酒の許容量に合わせて、ジュースで割ったり代用してみてください。そしてオレンジリキュールのチョイス、私は圧倒的にグランマルニエ派ですが、コアントロー好きな方はもちろんそちらでどうぞ!

スープ皿にサバイヨンを注ぎ、オレンジの実とコンフィを浮かせます。ラング・ド・シャの生地を丸く焼いたものをカップ型に成形。バニラのアイスクリームをのせ、真中において完成。
●「オレンジのサバイヨン・スープ」作り方(2~3人分)
卵黄……2個
オレンジの丸ごとコンフィのシロップ……大さじ5~6
レモン汁……小さじ1~2
グランマルニエ……大さじ3~4
ボウルに卵黄をときほぐし、90度くらいの湯煎にかけます。シロップを加え、もったりとしてレモン色になるまで泡立てます。湯煎にかけたまま、レモン汁とグランマルニエを加え、さらに泡立てます。キメの細かいクリームになったら出来上がり(時間を置くと泡が消えてしまうので、サーブする直前に)。
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オレンジ保存食で簡単! 夏と冬の「クレープ・シュゼット」。
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カテゴリ: お菓子の話(レシピつき)
2006年3月10日
真冬の甘い保存食、「オレンジのビターマーマレード」と「オレンジの丸ごとコンフィ」、応用編です。数回にわたってお届けします。再びオレンジ色の画像が続きますが、どうぞお付き合いのほど……。
料理するとき、作りおきのタレやソースが重宝する場合ってありますよね? いちいち調合しなくても味のベースがぴたっと決まる。便利なおいしさの素。私にとって、甘い保存食もそんな存在です。果物のダシが効いた「甘いタレ」。

オレンジの香りが凝縮した「丸ごとコンフィ」のシロップ。使わない手はない!
例えば、フレンチデザートの王道を行く「クレープ・シュゼット」。オレンジとバター、そしてグラン・マルニエの香り高いソースがすてきなデザート。フランス側バスクのレストランでは、冬場この手のデザートに遭遇する機会がとっても多い。ご近所スペインのオレンジは、恰好のデザート素材なようです。
本来ならば、生のオレンジの果汁と砂糖でとろりとしたソースを作ります。シャバシャバと水っぽいとイマイチなので、ある程度煮詰めないといけない。これが意外と時間がかかるんです。でもマーマレードやコンフィのシロップがあれば、煮詰める手間なしにあっという間に作れてしまう! 逆の発想で、とろりとしているものをゆるめてあげればいいのだから。
大事なのはレモン汁。甘いタレに酸味を呼びもどし、甘みもゆるめるのに欠かせません。もちろん酸味具合、とろり具合、お酒の効き具合はお好みで。デザート作りはお菓子と違って、お料理感覚でいくとうまくいきます。
「甘いタレ」のデザート続きます。お楽しみに。

夏バージョン。やわらかくなったバニラアイスクリームをクレープの中に包み、熱々のシュゼット・ソースを上からたっぷりと。これまた地元のレストランで頂戴したアイディア。上の飾りは、スライスオレンジをオーブンで乾燥焼きしたもの。
●シュゼット・ソース作り方(2人分)
バター……ひとかけら
オレンジのビターマーマレードまたは
オレンジの丸ごとコンフィのシロップ……大さじ4~5
レモン汁……大さじ1~2
グランマルニエ……大さじ2~3
フライパンを火にかけ、バターを溶かします。マーマレードまたはシロップを加え、木べらでかき混ぜながら温めます。オレンジの香りがたってきたら、レモン汁とグランマルニエを加え、ぐつぐつと泡立つまで火を通します。好みに応じて、マーマレード・レモン汁・グランマルニエを追加して、甘み・酸味・お酒の香り・濃度をととのえます。

冬バージョン。先日のお客さんディナーの日もこれ。古典的なデザートだから年配の方に特に好評。クレープにオレンジの皮で香り付けしたバターを塗って四つ折、ソースに浸して温めてサーブします。
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アンティークのル・クルーゼ鍋、こんな形と色してます!
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カテゴリ: 食卓のお気に入り
2006年3月07日
「わー、いいお鍋!」っていうのがこの鍋を見たときの第一印象。これ実は、今住んでる家の前の持ち主の遺品です。今生きていらっしゃればおそらく90歳くらいの女性。その方が亡くなって、娘さんが家を売りに出した。お母様が使っていた調理道具の幾つかを「良かったら使ってあげてね」と残していってくれた物の1つです。
喜んで頂戴して、煮物・汁ものと料理全般に重宝しました。すっかり自分の鍋として手に馴染んできた頃、ふと鍋底の裏に刻まれた文字(かすれて読みにくい)を読んで驚く。なんとLe Creusetと刻まれていた! 色と形が現在のラインアップと違うので、長い間ちっとも気がつきませんでした……。嬉しくなって、ますます愛着が湧いてきたのは言うまでもなく。今は専ら、ご飯鍋として活用させてます。

「ココットロンド」の変形ラインアップ、「ママ」シリーズ。耳の形と底の丸みに特徴があります。前の人はどんな料理を作っていたのでしょう?
こちらは、70年代のル・クールゼ社発行のレシピ・ハンドブック。古本屋で見つけました。昔は購入者向けにこういうサービスがあったんですね。巻頭ページには、当時のラインアップがずらりと紹介されていてとっても興味深い。色使いに時代感が溢れていて、見ているだけで楽しくなります。橙色は「火山色」、オレンジは「かぼちゃ色」というネーミングも個性的です。その他、黄緑、茶色、そして目にも眩しいターコイズ色など。

最近、昔のシリーズの復刻版も売り始めているル・クルーゼ。ターコイズ色を復活させてくれたら、おもわず買ってしまいそうな予感……。
レシピのページをめくると、これまた時代を感じさせる料理が満載です。狩猟料理、煮込み料理、グラタンなどなど。鳩やウサギは当然丸ごと、カエルの足(48本!)の煮物、じゃがいものグラタン(3kg!)、そのボリュームに驚いてしまう。今やフランス家庭料理も、すっかりライト志向になっていますが、私はこの60~70年代のコテコテなボリューム感もかなり好き!と言いつつ、読むだけでなかなか実行にうつしていないのでありますが……。

表紙を飾っている料理は、右上から時計まわりに「イカのトマト煮込み」、「りんごのグラタン」、「鶏のスペイン風」、「うさぎのテリーヌ」。
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カテゴリ: バスクのアドレス帳
2006年3月03日
 「バスクのアドレス帳」お店編。ショコラティエをご紹介します。
「チョコレートの町」として知られるバイヨンヌ、当然ショコラティエの数がとても多い。町の中心に、といっても東京のちょっとした私鉄沿線の駅前商店街くらいの範囲なのですが、何軒もの店がぎゅっと集まっています。
商店街の目抜き通りPort-Neuf通りには、老舗の3軒が並んでいます。その中の1軒が「ダラナーツ」、1890年創業です。扉を開けると、赤い絨毯、鏡張りの壁、天井にはシャンデリアという、今どき珍しいほどのクラシカルな空間です。カウンターに計り売りのガナッシュ、棚にはガラス瓶に入ったキャラメル、そしてレトロなボンボンなどが陳列されてます。

「古き良き時代」って雰囲気のお店です。店員さんのレトロな制服やエプロン(昔の映画に出てくるお手伝いさん風)も要注目!
数ある商品の中でも、おすすめがこちら。この通り、ひじょうに地味な板チョコです。ベースはカカオ72%、これ以上のブラックはありえないってほどストイックなお味です。さらに「Eclats de fèves de cacao(カカオ豆のかけら)」が散りばめられているので、カカオの香りを堪能できます。

自分用に台所の隅にストックしておきたくなるチョコレート。疲れたときに口にすると、エネルギーが沸いてくるような。チョコレートはなんせ元来「健康食品」だったのだから……と実感できる味。
さて、ここで前もって一言お断りが……。バイヨンヌのチョコレート、正直言って見た目はパっとしません。都会の宝石のようなチョコレートを見慣れていると、ちょっと野暮ったく見えると思う(私も初めて見たとき、あれれ?って思った)。なぜってツヤ感がいまいちなんですね。以前、日本の某有名料理学校の「お菓子研修旅行記」なるものを読んでいたら、この店のチョコレートを見て「そのツヤのなさに、味が想像できたので買わずに帰った」なんていう、お店の人が読んだら泣いて(怒って?)しまいそうな感想が載ってました。
で、お店の名誉のために代弁させていただくと、チョコレートの質が悪いためでも、技術が悪いためでもない。それは100年以上も昔のレシピを忠実に守っているから。昔のレシピは、現代のチョコレートよりもコク出しの油脂分が少量ゆえ、光沢感が控え目になるのだそうです(去年、お店のオーナーに話を伺う機会があって、じっくり解説してもらいました)。
板チョコは全17種。このほか、コーヒー、オレンジ、スパイス、シナモン、ヘーゼルナッツ、アーモンド風味など。バスクらしく、エスプレット村の特産物赤とうがらし入りもあります。
Daranatz
バイヨンヌ本店
15, arceaux Port-Neuf, Bayonne
ビアリッツ店
12, avenue Foch, Biarritz
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