更新日:2008年5月27日

バスク地方の暮らしとお菓子のレシピ「バスクの砂糖壺」


バスク地方は、フランス南西部~スペイン北部に広がる緑と水のゆたかな土地。お菓子とおいしいものが大好きなマテスク里佐さんのオーブンからは、今日も甘くて香ばしいいい匂いが立ち上っています。里佐さんがバスクで出会い・学んだお菓子やお料理、そして人々の暮らしの様子について、レシピとともにお届けします。

文=マテスク里佐
   

ここから始まった、「バスクのチョコレート物語」。




   今から500年程前(日本は徳川幕府開幕頃です)、チョコレートの原料であるカカオがメキシコからスペインに伝わります。当時はもちろん今みたいなチョコレートとしてではなく、南米に古くから伝わる手法で作られた健康食品のようなものでした。

    良質の健康食品を作るためには、カカオ以外にもう1つ重要な材料がありました。香辛料です。香辛料は当時、ユダヤ人の医者や薬草の売人だけが取り扱うことが出来る貴重な素材でありました。

   ところが、スペインの王様たちはユダヤ人を追放してしまいます。結果ユダヤ人は散り散りに移住。現在のスペイン側バスクに移住した人、そしてここバイヨンヌに移住した人……。それでも離れ離れになったユダヤ人同士の交流は続きました。そんなユダヤ人の交易のおかげで、カカオ健康食品がフランス側バスクに伝わったのです。

   健康食品はいつしか美味なるチョコレートに洗練されていきます。そしてバスク地方はヨーロッパにおけるチョコレート交易のメッカとなっていくのでした。

   折もおり19世紀半ば(日本は幕末、ペリー来航の時代です)、スペイン皇女がナポレオン3世に嫁ぎます。ナポレオンは彼女のために、当時ただの小さな漁村であったビアリッツに別荘を建てました。チョコレートが大好物だった妃はバスクのチョコレート職人達を優遇、あちこちにチョコレート工房が建ち始め、生産高はぐんぐん伸びました。こうしてバスクのチョコレート文化は絶頂期を迎えます。それまで極一部の階層しか口にすることが出来なかった魅惑の味は、庶民の口に届くまでになりました。めでたしめでたし……。

   以上が、バスク地方が「フランス・チョコレート文化発祥の地」となるまでのストーリー。時代と政治、そして人々のロマン……チョコレートにもたくさんの歴史が詰まっているんですよね。そしてその歴史を語る上で、バスクが重要な地点をマークしているわけです。

   それにしても、こんなに贅沢なチョコレートが巷に溢れる時代、それを味わうことが出来てしまう私たちって何て幸せ者なのでしょうね?


そんな訳でバイヨンヌは「チョコレートの町」として知られています。小さな商店街にはショコラティエが何軒も。


町中にあるチョコレート工房。ガラス張りなのでいつでも気軽にチョコレート作業が覗けます。もちろん中に入ってじっくり見学することも可能。


工房の横に貼ってある、とても有名な広告ポスター。大手チョコレートメーカー・Menier社の1893年のもの。

コメント (5)



Junkoさん、こんにちは。
緑のオレンジ、色が抜けるなんて!驚きですね。
ブラジルといえばカカオの一大産地のひとつなのに、チョコレートを買って帰らねばいけないとは。お菓子つくりをする人にはちょっと辛いところですね。でも貴重品で余計おいしく感じそう?

投稿者 マテスク : 2006年02月19日 01:10

里佐さん、こんにちは!
 オレンジのコンフィ、出来ました。例のブラジルの緑のオレンジで作ってみたら、冷水に一晩浸しておく過程で、あら不思議、翌日にはすっかり緑色が抜けて普通のオレンジ色に!?
 ちなみにブラジルはカカオの一大産地であるにもかかわらず、残念ながら美味しいチョコレートがほぼ皆無。もっぱら原材料をヨーロッパに売るのが主で、自国で質のよいものを作る技術は無いらしい・・・。
 昨年のバスク旅行中に仕入れた貴重なチョコレートを使ってオランジェットを作り、友達にプレゼントしたらとっても喜んでもらえました。

投稿者 Junko : 2006年02月17日 11:09

yukoさん
新婚旅行ですか!うーん、それは大事ですね。
書かれていたホテルは2軒とも、聞いたことがありませんでした・・・。ちょっと調べてみますね。

marilleさん、
首都パリだけの出店かと思っていたら、全国チェーンに発展していたのですね。でも地元の人にはそんなに人気がないっていうのが実情のような。観光シーズンにはとても混んでます。

そう、レプリカ!この言葉がどうにも思い浮かびませんでした。
昔の広告、可愛いですよね。集めてはいませんが見るのは私も大好きです。


投稿者 マテスク : 2006年02月16日 16:02

マテスクさん、こんにちは。

ナントに、chocolatier de Bayonneというショコラの専門店があります。最初の頃何でバイヨンヌ?と友達に聞いたら、「発祥の地だから」と教えてくれましたが、こんなバスクに経緯で伝わったんですね。勉強になりました。

ショコラティエの工房を見学できるなんてすごいですね!いいなあー。

実は私、フランスの昔の広告のレプリカを集めています。Menierの女の子は引越しのときにどこかに行ってしまったので、SuchardとLU、石鹸、出版関係しかないのが残念です。

投稿者 marille : 2006年02月16日 07:53

こんにちは!今日は、暖かくてちょっぴり春を感じてなんだか楽しい気分です。ところで、バスク旅行ですが、実は新婚旅行で行こうと思ってます。ビアリッツかバイヨンヌに三泊する予定です。そこを起点にいろいろと見てまわろうと思ってます。ネットでいろいろとホテルを検索してみらたvilla le goelandというホテルをビアリッツで発見しました。あとhotele de chaemeというかわいらしいプチホテルもあったのですが、せっかくのなのでちょっぴりリッチに?なんて思ってます。もしよければりささんおすすめのホテルをおしえくださいっ。

投稿者 yuko : 2006年02月15日 11:07


※名前とメールアドレスは必須です。このメールアドレスは公開されません。


保存しますか?




※お断り
・Cafeglobeまたは著者の判断により、断りなくコメントやトラックバックを削除さ せていただくことがあります。ご了承ください。
・当ページの「コメント」に掲載されている「投稿者」名は、Cafeglobeの登録メン バー名と同一人物とは限りません。


マテスク里佐プロフィール

バックナンバー
わたしのガトーバスク (5月27日)
パート・バスク作りの秘訣とは? (5月20日)
カスタードと黒さくらんぼジャム、2つの正統派フィリング (5月13日)
追悼、おばあちゃんとお菓子の想い出 (5月06日)
春の献立、「パイ皮包みの仔羊料理」 (4月29日)
“小嶋ルミさんレシピ”のシュークリームに初トライ! (4月22日)
目玉焼きトーストの朝ごはん (4月15日)
バスクの春景色をお届け (4月08日)
ふらりとスペイン・バスクへ
でもアレをお忘れなく!
(4月01日)
フランス人が大好きな「ジャンボン・ド・バイヨンヌ」 (3月25日)


カテゴリ
お菓子の話
お菓子の話(レシピつき)
バスクのアドレス帳
バスク地方について
バスクの暮らし
パティスリーBasque
ヴァカンス・旅行
食卓のお気に入り
外で食べたおいしいもの
料理の話(レシピつき)
今週の食材


月別アーカイブ
2008年05月
2008年04月
2008年03月
2008年02月
2008年01月
2007年12月
2007年09月
2007年08月
2007年07月
2007年06月
2007年05月
2007年04月
2007年03月
2007年02月
2007年01月
2006年12月
2006年11月
2006年10月
2006年09月
2006年08月
2006年07月
2006年06月
2006年05月
2006年04月
2006年03月
2006年02月
2006年01月
2005年12月
2005年11月
2005年10月
2005年09月
2005年08月
2005年07月
2005年06月
2005年05月